〇レンガ造りの家
勇者一族の長「この目の色は」
勇者一族の長「魔王と同じ」
　　魔王の生まれ変わりに違いない
母「そんな・・・」
父「どうすれば」

〇砂漠の基地
　　両親に捨てられた僕を
　　助けてくれたのは
　　ミケという人だった
　　この子は俺が育てます

〇赤い花のある草原
　　同じく身寄りのないミケとの暮らしは
　　暖かくて
　　幸せだった

〇砂漠の基地
　　ある日
「知ってるか？」
「願いを叶える星っていう宝の話」
「確か勇者一族が管理してるっていう」
「年に一度」
「誰かの願いを叶えてくれるとか」
「それが今朝何者かに粉々にされたらしい」
「本当か」

〇王宮の入口
勇者一族の長「お前がやったんだろう！」
シロ「ち 違います!!」
勇者一族の長「来い！」
シロ「そんな」
ミケ「待ってください」
ミケ「やったのは俺です」
　　ミケは罰として
　　数年間
　　体が人形のように動かなくなる
　　魔法をかけられた

〇砂漠の基地
　　五年後
シロ「ミケ」
シロ「僕はもう大人だよ」
ミケ「──」
シロ「ねぇ嘘なんでしょ」
シロ「教えてよ」
勇者一族の長「ここにいたか」
勇者一族の長「魔王の生まれ変わりめ」
シロ「な なに」
勇者の息子「コイツですよ父上」
シロ「?」
勇者の息子「とぼけるな」
勇者一族の長「あれ以来」
勇者一族の長「星の力が戻っていない」
勇者一族の長「完璧に修復したのにだ！」
勇者の息子「きっとあの男がコイツを庇ったから」
勇者の息子「本物の犯人を罰しないとダメなんだ」
勇者一族の長「ああそうだな 違いない」
勇者一族の長「来い！」
シロ「や やめて離して」
シロ「僕じゃない」
シロ「助けて」

〇時計
ミケ「ヤ メロ」
ミケ「シ」
ミケ「ロを」

〇歯車
ミケ「は なせ」

〇砂漠の基地
ミケ「シロ！」
シロ「ミ」
シロ「ミケ!?」
ミケ「シロを離せ！」
ミケ「大丈夫か!?」
シロ「う うん」
勇者一族の長「何をする!?」
勇者一族の長「そいつには罰を」
ミケ「罰だと!?」
ミケ「シロが何もしてない事くらい」
ミケ「アンタもわかってるはずだろ!!」
ミケ「なぜ 瞳の色だけでここまでされなきゃいけない」
勇者一族の長「何を」
ミケ「俺は」

〇王宮の入口
　　あの日偶然
　　犯人を見た

〇砂漠の基地
ミケ「アンタの息子だよ」
勇者の息子「ま まさかそんなわけ」
勇者一族の長「そうだ何を言う」
ミケ「真実を言っても誰も信じなかった」
ミケ「いや 認めようとしなかった」
ミケ「そしてシロに罪を着せようとした」
ミケ「俺が庇うしか」
ミケ「助ける方法がなかった」
勇者の息子「言いがかりだ！」
ミケ「アンタらだってもうわかってるはずだ」
ミケ「本人が認めないと」
ミケ「星の力は永遠に戻らない」
勇者一族の長「・・・!?」
勇者一族の長「息子よ」
勇者の息子「ち 違うんですよ父上」
勇者の息子「ほんの少し触っただけで」
勇者の息子「そしたら粉々に・・・」
勇者の息子「あ」
勇者一族の長「・・・来なさい」
勇者の息子「そ そんな」
勇者の息子「父上」
勇者の息子「父上！」
ミケ「シロ」
ミケ「大丈夫か」
シロ「ミケ」
シロ「ごめん」
シロ「ごめんね」
ミケ「お前が謝る事じゃねぇ」
ミケ「もう大丈夫だ」
ミケ「帰るぞ」
シロ「うん」

〇美しい草原
シロ「ミケ」
シロ「僕大きくなったんだよ」
ミケ「そうだな」
シロ「これからは僕がミケを護るよ」
ミケ「ははそりゃ頼もしいな」
シロ「・・・」
シロ「ねぇミケ」
シロ「なんか」
シロ「体が透けてるよ」

〇美しい草原
ミケ「え？」
ミケ「本当だ」
ミケ「そうか」
ミケ「魔法を無理やり解いたか・・・」

〇美しい草原
シロ「え ミケ」
シロ「なんで」
シロ「そんな」
シロ「やっと話せたのに」
シロ「ミケ」
シロ「ミケェ」

〇宇宙空間

〇美しい草原
シロ「星」
シロ「お願い」
シロ「ミケを助けて」
シロ「僕はどうなってもいいから」
シロ「お願い」
シロ「もう一度」

〇宇宙空間

〇美しい草原
シロ「ミケ！」
ミケ「驚いたな」
シロ「う」
シロ「ミケェ」
ミケ「泣くなよ」
ミケ「大丈夫だから」
ミケ「多分」
ミケ「星が粉々になったのは」
ミケ「勇者一族が星を独占していたからだ」
ミケ「これからはきっと」
ミケ「皆んなの願いが平等に」
ミケ「叶えられるはずだ」
ミケ「シロの願いは？」
シロ「僕はもう叶ったよ」
シロ「一生分の願いがね」
ミケ「そうか」
ミケ「ならこれからは」
ミケ「ずっと一緒だな」
シロ「だからお星様」
シロ「今度はまた誰かの」
シロ「願いを」

〇宇宙空間