あの星が死ぬまで

花信風描

読切(脚本)

あの星が死ぬまで

花信風描

今すぐ読む

あの星が死ぬまで
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇フェンスに囲われた屋上
  ___たとえ結ばれなかったとしても愛し愛された記憶は永遠に消えることはない

〇華やかな裏庭
星絵「今日は一段と綺麗ね」

〇華やかな裏庭
恵「星絵さんッこんなところに居たんですか!」
恵「わぁっ、凄く星が綺麗!星絵さん、もしかしてこの星を見にお庭に出られたんですか?」
星絵「えぇ、あまりにも綺麗すぎて窓から見るのは勿体無くて」
星絵「ねえ、恵さん」
星絵「少し私の昔話でも聞いてくれないかしら?」
恵「は、はい!(星絵さんがこんなことおっしゃるなんて!?)」

〇名門校の校門(看板の文字無し)
  ___60年前、2025年
  
  所謂"お嬢様学校"に通っていた私は、ある教師と恋に落ちていた

〇フェンスに囲われた屋上
  現実的な恋愛じゃない
  そんなことは分かっていたけれど、それでも彼と心通わすひと時は生まれて初めて感じる幸せだった
星絵(学生時代)「陽司さん、まだ目を開けては駄目?」
陽司「もう良いよ、目を開けて空を見上げてみて」
  目を開け夜の空を見上げると、そこには無数の星たちが今にも零れ落ちてきそうなほどに光り輝いていた
星絵(学生時代)「わぁっ!!とっても綺麗な星!」
星絵(学生時代)「陽司さんが私に見せたかってものって、」
陽司「そう、前見つけてね どうしても星絵を連れてきたかったんだ」
星絵(学生時代)「ありがとう、陽司さん!」
陽司「ねえ、星絵。 実は、一緒に聴いてほしい歌があるんだ ほら、」
  そう言って彼はイヤホンの片方を渡してきた
星絵(学生時代)「・・・陽司さん、この歌、」
陽司「僕が星絵に伝えたいことが全部伝えられる気がしてね」
陽司「僕たちはこんな関係だから普段多くを伝えられないけど、僕は星絵のことを本当に大切に想っているよ」
陽司「多くの困難があるかもしれないけれど、僕は一生星絵と一緒にいたいと思ってる」
星絵(学生時代)「・・・陽司さん、」
星絵(学生時代)「私も、心からそう想ってるわ」
星絵(学生時代)「ありがとう・・・愛してる」

〇フェンスに囲われた屋上
  結局親や学校にもバレて、結ばれることはなかったけれど、あの時の彼の瞳、言葉、夜の香りでさえ今まで忘れたことはない
  私はいつまでも彼が好きなままだった

〇華やかな裏庭
星絵「今日の星があの日に似ていて、思わず感慨に耽ってしまったわ 聞いてくれてありがとう、恵さん」
星絵「あらッ恵さん どうしてあなたが泣いているの?」
恵「だって、そんなにお互い大事だったのに結ばれないなんて、あんまりです!」
星絵「若い頃はそう思うこともあったけれど 今はずっと彼を好きでいた自分に誇らしささえ感じるぐらいだから、これでいいの」
星絵「あ、良いこと思いついたわ! 恵さん、一緒に思い出の歌、聴きましょう!」
恵「えぇ!相手、私で良いんですか!」
星絵「良いに決まってるじゃない! ほら、早く早く!」
  あの日の星絵さんは、なんだか恋をしている少女のように可愛くて、前よりずっと仲良くなれた気がした___

コメント

  • 禁断の恋の経験を語る星絵さんの姿が逞しく見えました。😄

ページTOPへ