B-side<ビーサイド>

篠也マシン

どうか私の歌が「いつまでもそばに」(脚本)

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〇ラジオの収録ブース
ラジオパーソナリティ「今日のゲストは──」
ラジオパーソナリティ「歌手の『絵-side』さんです」
絵-side「こんにちは」
ラジオパーソナリティ「久々の新曲ですね」
ラジオパーソナリティ「どんな想いを込められたんですか?」
絵-side「今回も──」

〇白い校舎

〇教室
クラスメイト「『絵-side』の新曲聴いた?」
クラスメイト「もちろん!」
  聴くわけない
クラスメイト「今回もファンに刺さる歌詞で最高」
クラスメイト「『明日も頑張ろう』って気持ちになるよね」
  いつも、ファンに媚びた歌ばかり

〇タワーマンション

〇おしゃれな玄関

〇豪華なリビングダイニング
光莉(ひかり)「お、お母さん!?」
光莉(ひかり)「今日は帰ってこれないって・・・」
絵奈(えな)「荷物を取りに来ただけよ」
絵奈(えな)「もう出ないと」
絵奈(えな)「何か話しておくことはある?」
光莉(ひかり)「・・・別に」
絵奈(えな)「そう」
絵奈(えな)「じゃあ姉さん」
絵奈(えな)「後はよろしくね」
陽子(ようこ)「任せて」
陽子(ようこ)「光莉ちゃん、夕飯はちょっと待っててね」
光莉(ひかり)「いつもすいません」
陽子(ようこ)「いいのよ」
陽子(ようこ)「独りより、光莉ちゃんと一緒の方が楽しいもん」
光莉(ひかり)「陽子さん、一生結婚しないでくださいね」
陽子(ようこ)「ちょっと、それはひどくない!」
  ねえ、お母さん

〇田舎の学校

〇グラウンドのトラック

〇豪華なリビングダイニング
光莉(ひかり)<幼少期>「どうして来なかったの!」
光莉(ひかり)<幼少期>「友達のお母さんは、みんな来てたのに」
絵奈(えな)「ごめん」
絵奈(えな)「どうしても外せない仕事があって」
絵奈(えな)「今度は──」

〇グラウンドのトラック
  そうじゃないよ・・・
  お母さんのバカ!

〇黒
  いつも
  いつも
  お母さんは、私を放っておいて歌ばかり
  もう──
  聴きたくない!

〇白い校舎

〇教室

〇大学病院

〇病院の廊下

〇SNSの画面
  『絵-side』が亡くなったって?
  収録中に倒れたらしいよ
  ずっと病気を隠してたんだって

〇豪華なリビングダイニング
光莉(ひかり)「どうして病気のこと、教えてくれなかったんですか」
陽子(ようこ)「絵奈に口止めされてたから」
光莉(ひかり)「そう・・・ですか」
光莉(ひかり)「お母さんは、私を家族とも思ってなかったんですね」
陽子(ようこ)「それは違うわ!」
陽子(ようこ)「絵奈はずっと──」
光莉(ひかり)「ずっと、私のことなんか考えてなかったじゃない!」
光莉(ひかり)「最後まで、歌だけを・・・」
陽子(ようこ)「ねえ、光莉ちゃん」
陽子(ようこ)「一緒に来てほしい場所があるの」

〇怪しい研究所

〇音楽スタジオ
陽子(ようこ)「小さい頃、よくここに来てたよね」
光莉(ひかり)「はい、母の曲作りを見に」
陽子(ようこ)「昔から絵奈は口下手でね」
陽子(ようこ)「ただ、歌では雄弁だった」

〇音楽スタジオ
  売れ始めてからは──
  「こういう歌を作ってほしい」という依頼ばかりでね

〇音楽スタジオ
陽子(ようこ)「生活のためとはいえ、よく悩んでたわ」
光莉(ひかり)「そう・・・ですか」
陽子(ようこ)「でもね」
陽子(ようこ)「絶対にゆずらないものがあったの」
陽子(ようこ)「これを読んで」
光莉(ひかり)「作詞ノート?」
光莉(ひかり)「B面・・・?」
陽子(ようこ)「絵奈は、1つのメロディーに必ず2つの歌詞をつけてたの」
陽子(ようこ)「1つはたくさんのファンに向けて」
光莉(ひかり)「もう1つは・・・?」
陽子(ようこ)「かけがえのない──」
陽子(ようこ)「1人に向けたもの」

〇水たまり
  これは、光莉が辛い時に聴いてほしい歌

〇幻想2
  これは、光莉が楽しい時に聴いてほしい歌

〇音楽スタジオ
  これは光莉が──
陽子(ようこ)「そう──」
陽子(ようこ)「全部、あなたのための歌よ」

〇豪華なリビングダイニング
光莉(ひかり)<幼少期>「ねえ、お母さん」
光莉(ひかり)<幼少期>「私はどうして『光莉』っていうの?」
絵奈(えな)「それはね──」

〇黒
  私が暗闇にいて
  「もうダメだ」って思った時──

〇白
  星のように、私を照らしてくれたからよ

〇音楽スタジオ
  お母さんのバカ!

〇宇宙空間
  言わせてよ
  『ありがとう』の言葉ぐらい

〇空
  ねえ、光莉

〇教室
  あなたが恋に悩んだ時

〇豪華なリビングダイニング
  あなたが道に迷った時

〇川沿いの道
  あなたにも愛する人ができた時
  どうか私の歌が──

コメント

  • 母にとって我が子は唯一の輝く星ですよね😭
    ウルッと来てしまいました😢
    BSide、なるほど。そういう意味だったのですか。
    辛いお別れですが、ひかりちゃんにとってもこのB面に刻まれた歌が未来を照らし続ける星となり続けますように✨😊

  • 素晴らしい感動作ですね!!
    物語の構造が上手いです!
    構造ができていて凄いなと思いました😮
    亡くなってから届くメッセージが切ないですね
    Bサイドの曲も歌詞だけでなく、お母さんの歌声が残ってるのかな?
    それを娘が聞いたら本当に涙そうそうですね!
    やっぱり書き文字が染みますね😂

  • 「 言ってくれなきゃ、何も分からないじゃないか……!!言ってくれなきゃ……!」
    byロシアの小熊もといアンドレイ・スミルノフ

    ファンに答えている絵-sideではなく1人の母である絵奈として、B面に書いた歌。
    光莉が絵奈の真意を知ったのが、彼女の死の後というのが切ない……。😭

    ラストで光莉にも大切な家族が出来て良かったです。😌

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