夜空の星を、君へ(脚本)
〇宇宙空間
それでは『みよぽん』さんで
曲は『初恋』です──
〇島
〇堤防
達洋「つまんねぇ歌」
航一「サボりか、タツ坊」
達洋「言ってんだろ」
達洋「民宿なんか継がない」
航一「この前まで手伝ってたろ」
達洋「小6の時だ」
航一「たった5年前さ」
航一「明日から騒がしくなるぞ」
「夜更かしすんな~」
達洋「つまんねぇ」
〇海辺の街
ただ星が綺麗なだけ
そんな地元が嫌いだ
〇海辺の街
〇昔ながらの一軒家
「ごめんくださ~い」
〇日本家屋の階段
「アカ抜けたわねぇ!」
〇広い玄関
幸江「今なら綺麗な部屋あるわよ」
灯里「常に用意しとけッ」
達洋「お客さん?」
幸江「母ちゃんの同級生よ」
幸江「”本土”から帰って来たの」
灯里「初めまして、達洋くん」
幸江「しばらくウチで暮らすから」
達洋(・・・出戻り、か)
灯里「ほら、アンタも挨拶なさい」
灯里「ご、ごめんね」
灯里「ウチの子──」
〇海辺の街
〇海辺の街
〇海辺の街
〇堤防
達洋(本土の子、か・・・)
達洋(やっぱ都会は美人ばかりだな)
今日の歌い手は──
「────♪」
達洋(誰か歌ってる・・・?)
〇海辺
〇堤防
達洋「今朝の・・・」
ご、ごめんね
ウチの子
“目が見えないの”
達洋「バカヤローがッ!」
お便りの紹介です
〇海辺
〇海辺
〇水中
〇宇宙空間
〇海辺
達洋「お前」
達洋「目よりもアタマが悪いだろ」
達洋「『ありがとう』くらい言えよ」
渚「”お前”じゃない」
渚「『なぎさ』」
達洋「ウチの裏がすぐ海だからって」
達洋「なんで1人で浜に出た」
達洋「波の怖さも分からないのか?」
渚「アンタ・・・」
渚「今朝の人?」
達洋「いま気づくのかよ」
渚「海なんて」
渚「”見たこと”ないもん」
達洋「もう海には来んな」
渚「別に助けなくて良かった」
達洋「はぁ!?」
渚「私がいなくなれば」
渚「お母さんは”自由”になるし」
達洋「本土から戻る人は」
達洋「大抵は都会に”折れた”人だ」
達洋「それで娘亡くして ”自由”なんて思えるかよ」
達洋「さっさと風呂でも入れ」
達洋「風邪ひくぞ」
渚「ねぇ」
達洋「あ?」
渚「連れてって」
〇宇宙空間
〇海辺の街
〇日本家屋の階段
〇広い玄関
渚「連れてって」
〇ボロい校舎
〇教室
達洋「お前キャラ違──」
〇海辺の街
〇堤防
「タ~ツ~ぼぉ~~」
達洋「『タツ坊』言うな」
渚「幸江さんが手伝えって」
達洋「俺はやらない」
達洋「なんだよ!お前に関係な──」
渚「帰れない」
渚「連れてって」
達洋「・・・ズルいぞ」
〇島
〇堤防
〇昔ながらの一軒家
〇古いアパートの廊下
航一「もう見廻りはいいよな」
達洋「おい!浴場にメシ持ってくな!」
渚「お風呂で食べるプランって言えば!?」
達洋「ざけんな!俺に掴まってろ!」
〇昔ながらの一軒家
いつのまにか
〇昔ながらの一軒家
夜釣りはしなくなった
〇海辺の街
〇堤防
渚「ラジオ派だよね」
達洋「見たくねぇもん、映んねぇし」
渚「拗らせた性根、直しなよ」
達洋「うるせぇ」
達洋「渚、声は綺麗だよな」
渚「惚れていいよ」
達洋「ムリ、他の要素が酷すぎる」
渚「諦めんなよ、自分の可能性を信じろ」
達洋「何様・・・」
達洋「でもまぁ」
達洋「渚となら 民宿継いでもいいかもな」
渚「いま気づいたけど」
渚「告白はちゃんとされたい派かも」
達洋「違ぇわ!調子乗んな!」
達洋「渚?」
〇海辺の街
それから渚は
部屋から出て来なくて
翌週
本土へ”戻った”
〇沖合
決めつけていた
渚は“ここ”にいるのだと
〇宇宙空間
そんなはず、ないのに
〇島
〇海辺
〇堤防
今日の歌い手は──
『夢は美人女将』さん
お便りの紹介です
優しいくせに憎まれ口ばかり
私を“可哀想”にしなかった君へ
『ありがとう』を送ります
〇海辺
〇海辺の街
〇宇宙空間
〇広い玄関
〇水中
〇海辺
〇教室
〇堤防
〇古いアパートの廊下
〇堤防
〇海辺の街
地元が嫌いだった
〇島
”見よう”としなかった
〇宇宙空間
渚が見せてくれた
かけがえのない美しさを
〇島
〇海辺の街
〇昔ながらの一軒家
「こんにちは~!」
〇広い玄関
達洋「ご予約の方で──」
達洋「おかえり」
〇海辺の街
王道じゃないすか😂そしてそれがとても良いッ!
不器用同士の関係性の歩み寄り方がエモいのと、ラストのシンプルな『おかえり』は私に“効”きました。クリティカルヒットです🤤
タップの表現は本当に色々と研究・拡張できる余地あると思ってるので、色んな方にこれ読んでいただいて刺激になって欲しいですマジで😂😂
ラジオに民宿とノスタルジックな舞台装置に捻くれた跡継ぎ、捻くれたヒロイン、でぃっくさん色満載のいいお話でした。立ち絵やアイテムの出し入れが相変わらず神がかって紙芝居感を感じさせないのが凄いです。
ディックさんのこういう作品は久しぶりな気がしてます😊
暖かくて優しいストーリーがラストに流れる歌を盛り上げていて世界観に浸れました✨