大耀系、第二惑星

篠也マシン

これは、私だけに輝いて見える小さな惑星(脚本)

大耀系、第二惑星

篠也マシン

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〇教室
深月(みづき)「ねえ」
  そっか
  私は透明人間なんだ
  だから、みんな私を無視する

〇屋上の入口

〇フェンスに囲われた屋上
  このまま飛び降りても──
  誰も気づかず、朽ちるのだろう
???「あー!」
大耀(たいよう)「観測会に参加希望の方ですよね!?」
  こいつ・・・私が見えるのか?
大耀(たいよう)「嬉しいな。このままだと、1人寂しく星を見ることになりそうだったから」
大耀(たいよう)「僕は天文部の大耀。君の名前は?」
深月(みづき)「み・・・深月」

〇宇宙空間
大耀(たいよう)「あそこの明るい星が見えますか?」

〇フェンスに囲われた屋上
大耀(たいよう)「時計周りに、ベガ、アルタイル、デネブ」
大耀(たいよう)「夏の大三角と呼ばれてて──」
  広い空を見上げると、自分の悩みが小さいと分かる

〇黒
  よく聞く言葉だ
  ──ざけんなよ
  こんなものを眺めても、悩みが消えるわけない

〇白い校舎

〇フェンスに囲われた屋上

〇白い校舎

〇フェンスに囲われた屋上

〇宇宙空間

〇フェンスに囲われた屋上

〇黒
  けど、誰かと──
  いや、彼と空を眺めていると
  心が温かくなる気がした

〇宇宙空間
大耀(たいよう)「寒くないですか?」

〇フェンスに囲われた屋上
深月(みづき)「別に」
大耀(たいよう)「温かい紅茶もあるので、遠慮なく言ってください」
深月(みづき)「あの赤い星は?」
大耀(たいよう)「オリオン座の『ベテルギウス』ですね」
大耀(たいよう)「お気に召しましたか?」
深月(みづき)「綺麗だと、少し思っただけ」
大耀(たいよう)「そうですね。遠くから見ている限りは」
深月(みづき)「え?」
大耀(たいよう)「実は太陽の千倍も大きいんですよ」
大耀(たいよう)「もし太陽と入れ替わったら、地球が飲み込まれるほどです」
深月(みづき)「そう・・・なんだ」
大耀(たいよう)「近くで輝くシリウスとプロキオンを結ぶと、冬の大三角といって──」
  綺麗だと思った

〇黒
  ひたすら、星に夢中になる彼が
  けど──
  心が熱い
  これ以上近づくと、私は燃えてしまう
  彼の言う通りだ
  綺麗なモノは──

〇白い校舎

〇白い校舎

〇フェンスに囲われた屋上
大耀(たいよう)「ここに来るのも、最後ですね」
深月(みづき)「ああ」
大耀(たいよう)「初めて会った時のこと、覚えてますか?」
深月(みづき)「さあ」
深月(みづき)「観測会を開いてたんだっけ?」
大耀(たいよう)「あれ、実は嘘なんです」
深月(みづき)「は?」
大耀(たいよう)「観測会なんて、なかった」
深月(みづき)「どうして・・・そんな嘘を?」
大耀(たいよう)「深月さんの顔です」
深月(みづき)「顔?」
大耀(たいよう)「あんな死にそうな顔を見たら、放っておけないですよ」
深月(みづき)「じゃあ、1人で寂しがってたのも・・・」
大耀(たいよう)「僕、1人でも平気な方なんです」
深月(みづき)「ただの・・・同情だったのかよ」
大耀(たいよう)「深月さんって、馬鹿ですか?」
深月(みづき)「なっ!」
大耀(たいよう)「それだけで、ずっと一緒にいるわけないでしょ」
大耀(たいよう)「深月さんと星を眺めるのが──」
大耀(たいよう)「楽しかったからに、決まってるじゃないですか」

〇フェンスに囲われた屋上
  1人が好きなのに寂しがり屋で

〇フェンスに囲われた屋上

〇宇宙空間

〇フェンスに囲われた屋上
  口が悪いのに優しくて
  そんな深月さんといると──

〇フェンスに囲われた屋上
大耀(たいよう)「夜空の星が何倍も輝くんです」
大耀(たいよう)「だから、来年も──」
大耀(たいよう)「僕と一緒に星を見ませんか?」
  これ以上、私から何を奪う気だ

〇黒
  真っ暗な未来も

〇グレー
  孤独も

〇パールグレー
  冷たさも

〇白
  初めてのこの想いも
  こいつは──
  私からすべて奪っていく
  だったら、私も──

〇フェンスに囲われた屋上
深月(みづき)「・・・」
深月(みづき)「ざけんな」
大耀(たいよう)「え?」
深月(みづき)「ざけんなよ!」
大耀(たいよう)「み、深月さん! ひっぱらないで──」
深月(みづき)「バカ」

〇屋上の入口
  心が熱い

〇渡り廊下
  今の私には、これ以上近づけない

〇白い校舎
  でも、いつか

〇桜並木
  そばにいられる日が来る
  そう信じて、一歩ずつ、歩きだそう

〇フェンスに囲われた屋上
大耀(たいよう)「あれ?」
大耀(たいよう)「制服のボタンが・・・」

〇桜並木
  私だけに輝いて見える、この──

コメント

  • オシャレ過ぎる火の玉ですねぇ!?(とてもこういうのが大好きな人)
    第2惑星…曲の歌詞とかテーマとの掛け合いが上手くて凄かったです🤣🤣

  • 深月が大耀に言葉で好意を伝えるのではなく、ボタンを取る行動で示すのが良いですね。☺️

  • リアルな台詞と詩的なモノローグのバランスが最高でした。篠也マシンさんの台詞×演出×歌のコラボレーションがすごすぎる!
    「夜空の星を取って」のところで星の写真を撮る、などの演出も発想が素晴らしくてお洒落で✨
    光り輝くものを掲げる深月ちゃんのイラストも神々しくて目を見張りました✨

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