〇宇宙空間
　　秋の終わりに
　　銀河鉄道が空を走り

〇白
　　私たちは冬を迎えた。

〇オフィスビル前の道
天音（あまね）「結歌、お疲れー」
結歌（ゆいか）「お姉ちゃん」
結歌（ゆいか）「また迎えに来たの？」
天音（あまね）「塾が終わったら真っ暗でしょ」
結歌（ゆいか）「無理しなくていいって言ってるのに」

〇黒背景
天音（あまね）「寒い、疲れたー。GPSもあるじゃん」

〇オフィスビル前の道
天音（あまね）「いいから、車に乗る！」

〇車内
結歌（ゆいか）「夕飯はどうするの？」

〇黒背景
天音（あまね）「面倒～」
天音（あまね）「お弁当買っちゃおうよ」

〇車内
天音（あまね）「鶏肉は下ごしらえ済みだから、帰って揚げたらすぐだよ」
結歌（ゆいか）「そういうの、いつやってるの？」
天音（あまね）「昨日の晩」
結歌（ゆいか）「よくやるわ」
結歌（ゆいか）「音楽、流さないの？」

〇黒背景
天音（あまね）「音楽は日々の潤いだよ！」

〇車内
天音（あまね）「静かな方が運転に集中できるから」
結歌（ゆいか）「歌わないの？」
天音（あまね）「もっと気が散るでしょ」

〇おしゃれなリビングダイニング
天音（あまね）「すぐできるからね」
結歌（ゆいか）「スマートさん、音楽流して」
天音（あまね）「スマートさん、止めて」
天音（あまね）「ごめん、ちょっと頭が痛いから、音楽はヘッドホンで聴いてくれる？」
結歌（ゆいか）「・・・うん」
結歌（ゆいか）「お父さん？」
結歌（ゆいか）「うん、こっちはお姉ちゃんがしっかりやってくれてるよ」
結歌（ゆいか）「はーい」
天音（あまね）「お父さん、何だって？」
結歌（ゆいか）「春にはこっちに戻れるって」
天音（あまね）「そう」
結歌（ゆいか）「単身赴任、長かったよね」
結歌（ゆいか）「もう少し早く戻れてたら良かったのに」

〇黒背景
天音（あまね）「全くだよ、なんでいないの。 お父さんのバカ！」

〇おしゃれなリビングダイニング
天音（あまね）「結歌、ご飯よそって」
結歌（ゆいか）「・・・」
結歌（ゆいか）「お姉ちゃん、 なんだかお姉ちゃんじゃないみたい」
天音（あまね）「なにそれ」
結歌（ゆいか）「ぐうたらしないし、わがまま言わないし」
天音（あまね）「いいことでしょ？」
結歌（ゆいか）「音楽聴かないし」
天音（あまね）「・・・」
結歌（ゆいか）「スマートさん、「夜空の星を」を流して」
天音（あまね）「ダメ！」
結歌（ゆいか）「コードひっぱって抜くと、危ないよ」
天音（あまね）「ごめん」
結歌（ゆいか）「聴きたくないの？」
天音（あまね）「だって」
天音（あまね）「聴いたら多分」
天音（あまね）「ダメな私に戻っちゃうから」
天音（あまね）「ぐうたらで、わがままで、 困らせてばかりで」
結歌（ゆいか）「お姉ちゃん」
天音（あまね）「やだ」
結歌（ゆいか）「ちゃんと聴いて！ お母さんの好きな曲」
天音（あまね）「やだ、思い出したら私」
結歌（ゆいか）「思い出せばいいじゃん！ お姉ちゃんまだ、泣いてないじゃん！」
天音（あまね）「だって私、結歌を守らなきゃいけないのに」
結歌（ゆいか）「私もう、お姉ちゃんを支えられるよ」
結歌（ゆいか）「無理して完璧にならなくていいから！」

〇オフィスビル前の道

〇車内

〇飾りの多い玄関
母「いつまでも手がかかってほんと、可愛いなあ」
　　お母さん

〇綺麗なキッチン

〇女の子の一人部屋

〇綺麗なリビング
母「そのままの天音がお母さんは大好き」
　　お母さん

〇カラオケボックス

〇銀杏並木道

〇おしゃれなリビングダイニング
母「お母さんの『君』はね、あなたたちよ」
　　お母さん
　　
　　お母さん
　　
　　お母さん

〇葬儀場

〇おしゃれなリビングダイニング
天音（あまね）「そばにいなきゃダメなのに」
天音（あまね）「なんでよ、バカああぁ！」
結歌（ゆいか）「そうだね、バカだよね」
結歌（ゆいか）「お母さんのこと、話そう？」
結歌（ゆいか）「私たちが覚えていれば、お母さんは消えないよ」
天音（あまね）「・・・いつも私たちを構いたがって」
結歌（ゆいか）「うん」
天音（あまね）「歌ってると下手なボイパで参入してきて」
結歌（ゆいか）「あれは迷惑」
天音（あまね）「変なスタンプばかり送ってくるし」
結歌（ゆいか）「筋肉キャラ多かったよね」
天音（あまね）「誤変換多いし」
結歌（ゆいか）「『今日』がよく『キョンソ』になってたね」
天音（あまね）「『キョンソの夕飯は昨日の残りがあるから』」
結歌（ゆいか）「食べ残しをお出しするなよ」
天音（あまね）「私たちのこと、可愛い可愛いって言ってたけど」
天音（あまね）「可愛いのは、お母さんだよ」
結歌（ゆいか）「ほんとだよ」

〇宇宙空間
　　一緒に守るよ
　　心のそばにいる、あなたを