Xヒーロー

語り部

第84話 雛は産まれ鸞となる(脚本)

Xヒーロー

語り部

今すぐ読む

Xヒーロー
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇病室
  2021年 イリノイ州 ピオリア市 ピオリア郡 前日 病院内
鸞「鸞は美しく煌びやかな『蒼い羽』を持つ伝説上の鳥で···」
鸞「その姿から鳳凰の幼体や鳳凰が老いた姿とされている。また鸞はその羽に雛が怯えるため」
鸞「自身に泥をコーティングし『ワザと汚い容姿』を見せることで雛の警戒心を解くとされている···」
  鸞は諱(いみな)忍術の習得の為に鸞の記述がされた本をひたすらに読み返していた。
  全てはレッドスモークを倒すため、斎王達を守る為。しかし一向に進展を見せず外を見る
  外は満月だった。鸞は『どうすれば···』とボソッと呟くと一人の女性が鸞の前に現れた
ルナ「なにか困り事?雛鳥ちゃん♪ママが何でも解決しちゃうぞー?」
鸞「母さん···すまない、母さんには解決できない事だから気にしないでくれ」
  するとルナは怒った様子で鸞に話し始めた
ルナ「こら~!またママに隠し事なの!?いいからママにも教えて教えて!いっつも鶻くんと雛鳥ちゃんだけで話が進んじゃうんだから!」
鸞「いや本当に分からないと思う··· ··· ···まぁ一応説明すると···」
ルナ「うんうんなるほどね···自身の名前に関した術を見出す諱忍術を習得したいと···」
ルナ「ママわかんない」
鸞「だろうな···まぁいい、元から期待はしてないし」
ルナ「あ、でもいい方法があるわよ?雛鳥ちゃん」
ルナ「『いっそ変身しちゃえば』いいんじゃないかしら?どう?」
鸞「鸞にか···?想像上の生き物に変化するのは難しいんだ、すぐ出来る事じゃないし実用的じゃない···」
  するとルナは鸞に触れる。鸞は『どうせ思いつきの変なことをするんだろう』とルナを見ると
  ルナは驚いた表情を見せながら手を離し、鸞に話し始めた
ルナ「ママがきっかけ作ってあげようと思ったけど『ちゃんときっかけ』があるじゃない」
鸞「きっかけ···?どういう事だ···?」
ルナ「雛鳥ちゃんはきっかけさえ掴めれば『いつでも鸞になれる』って事よ」
鸞「きっかけか··· ··· ···鸞に変化するきっかけ···」
  俺は結局答えを出せなかった。だが今こうやって追い詰められて死ぬ直前になってようやくわかった
  思えば祖父も父もそうだ。『自身の名に沿った技』ということはつまり
  その鳥を観察し『なりきる』事で技へ昇華していったという事だ。では鸞になりきるにはどうすればいいか?
  蒼いドレスを着る?自分を泥まみれにする?違う、答えは···これだ

〇広い屋上
チョ・ヨンス「うああぁぁぁぁっ!クソッ、イかれ女め!」
チョ・ヨンス「『自分ごと火をつける』なんて正気じゃねぇ!そんなんで俺を倒せると思ってるのか!?」
  鸞はヨンスの発言に何も返さずその場に膝をつき、ヨンスを見つめる
  まもなく鸞は倒れ、そこに残ったのは『ひとつの焼死体』だった
チョ・ヨンス「クソが···思わぬダメージを食らったが、これで鸞は死んだ···ははっ···アハハハハ!」
チョ・ヨンス「後はエンチャントを殺せばXヒーローなんてウドの大木!後始末は紅色派が適当につけるだろう!」
チョ・ヨンス「こうしちゃいられない!サッサと下に降りてエンチャントをブッ殺そう『恋はいつだって焦燥的』だ!」
  ヨンスが屋上のドアノブに手をかけた瞬間
  ヨンスは強い衝撃と共にフェンスの方まで吹き飛ばされる。ヨンスは体を起こし反対の方向を見るとそこには
チョ・ヨンス「は···?なんだあれ··· ··· ···蒼い···鳥?」
  蒼い鳥は轟々と燃え盛る炎を纏いながら、ただヨンスを見つめていた。
チョ・ヨンス「きっと鸞の術だろう···だったら俺の術中にハマる!『奥手な心!』」
  蒼い鳥はその場で足を止め羽をばたつかせる。しかしそこから飛び立つ事はできず、やがて身に纏っていた炎も鎮火していった
チョ・ヨンス「無様だねぇ···ネズミ捕りに捕まって死にかけのネズミがもがいてる様だ」
チョ・ヨンス「予想外の変身に驚きはしたが、もうどうって事ない。お前はサッサと殺すことにするよ鸞」
  ヨンスはナイフを抜くと迷わず鸞の心臓目がけて一刺しした。勝ちを確信したヨンスだがある異変に気づいた
チョ・ヨンス「ナ···ナイフが···『抜けない!?』なんだこれ、俺の能力使ってないのに···!」
  蒼い鳥はその大きな羽でヨンスを吹き飛ばす。ヨンスはまたもフェンスまで吹き飛ばされると
  蒼い鳥の『変化』に気づく
チョ・ヨンス「なんだあれ···ナイフの刃が『溶けて滴ってる』···というかなんだあの血···あれじゃまるで···」
  蒼い鳥から滴る血は地面を溶かし、周りには『異常な暑さ』が広がっていた
  蒼い鳥は一つ大きな声で鳴くとその場で羽ばたき、屋上付近の空を飛んでみせた

〇渋谷ヒカリエ
  シビックセンター 地上部分
キング「なんだあのバカデケェ鳥は!!?どっから出てきたんだありゃ!」
エンチャント魔導法士「現代じゃ考えられないデカさだ···見ろあれ、体は人間程の大きさで翼は4mは越えてるぞ···」
斎王幽羅「凄く··· ··· ···綺麗だ···」
  皆一様に動揺をしていたが中でも一番動揺をしていたのはフェードであった
フェード「あれは···中国神話の···『鸞(ルァン)』だ。鵬や鳳凰に並ぶ幻鳥···」
フェード「なんて事だ···天と地を繋ぐ天子様が···」
斎王幽羅「どういう事?教えてフェード」
フェード「鸞は鳳凰の幼体、もしくは老体とされている。つまり言ってしまえば『鳳凰』ではあるんだ」
フェード「日本じゃどうかは知らんが中国では様々な言い伝えがあってだな···」
フェード「『鳳凰は天と地を繋ぎ、天上に地の声を届け、天下に天の声を届ける』とされている」
斎王幽羅「つまりそれって···」
フェード「『神のいる国』に行くことが出来るという事だ。とんでもないぞこれ···」
斎王幽羅「様々な神に知恵を貰ったり、道具借りてきたりとかできるって事だよね?でも···どう?キング」
  斎王は一通り聞いたあとキングを見つめる。するとキング『ねェだろ』と言い、2人は再び上を見上げた
キング「知恵を借りるのはあるかもしれねェが、道具を借りるなんて···『あいつらしくねぇって』」
斎王幽羅「だね、何だったら鸞なら何かオシャレな言い回しして拒否しそうだしね」
  2人は笑みを浮かべながら空を飛びまわる『鸞鳥』の返りを地上で待った
  To Be Continued··· ··· ···

次のエピソード:第85話 雪を越え、その先へ

成分キーワード

ページTOPへ