ハレの惡左府

山本律磨

信西入道(脚本)

ハレの惡左府

山本律磨

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〇後宮の廊下
  頼長の随身 公春(こうしゅん)
鬼丸「すっげー(凄い)ひっれー(広い) おっきー(大きい)」
公春「この東三条殿は藤原摂関家の本拠地。 本来は儀式用の館なの」
公春「我が君は氏長者としての自覚を その身に染み渡らせるため、 常時ここに滞在されているってわけ」
鬼丸「えっれー(偉い)かっけー(恰好良い)」
公春「鬼丸ちゃんと言ったわね。 改めて左府様にご挨拶なさい」
鬼丸「もう何べんも何べんも会ってるよ」
公春「そんな汚くてクッサイ恰好じゃなくて、 改めて身ぎれいにして挨拶なさいって 言ってるの」
公春「見た所『素材』はいいんだから」
鬼丸「ソザイ?」
公春「はい。これを着て」
鬼丸「なんだこのヒラヒラ」
公春「お気に召さないなら他にもあるわよ」
公春「殿は衆道を嗜まれているの。 アナタもここで漢を磨きなさい」
鬼丸「しゅどー?何それ?」
公春「夜のお相手ってこと」
鬼丸「短い間でしたがお世話になりましたァ!」
公春「逃がすかァーーーッ!」
鬼丸「やめろ!放せ!ばか!ヘンタイ!」
公春「こらこら~ そういう多様性の無さでは、 都で暮らしていけないぞ~」
鬼丸「いやだ!けえる(帰る)! オラ、田舎さけえる!」
公春「大丈夫大丈夫。 夜の左府様はとってもお優しいから」
公春「そしてあの方の最初のお相手は何を隠そう」
鬼丸「あーあーあー!聞きたくありませーん!」
「いやああああああん!」

〇英国風の図書館
左府「似合うではないか」
鬼丸「オソレイリマース・・・」
左府「では、着替えて次の勤めに移れ」
鬼丸「何ですかこの箱?」
左府「中に文が入っておる。通告書だ」
鬼丸「通告?」
左府「私は愚者共に裂く時など一刻もないゆえな」
鬼丸「なんか凄く嫌な予感のする仕事っすね」
左府「疾く、勤めよや」

〇後宮前の広場
  平安京 某公達邸
貴族「・・・」
鬼丸「・・・」
貴族「承知した」
鬼丸「あの~お返事を頂くよう言われまして~」
貴族「承知した!それでよいだろう! とっとと左府に伝えよ!」
鬼丸「は、ははーっ!」
  某神社
宮司「よよよ。何たる無体な言いざまか」
鬼丸「あの~泣く前にお返事を・・・」
宮司「左府様に伝えられませ! 断じて隠し金などございませぬ!」
鬼丸(オイラに言われてもなあ・・・)
宮司「ええい、今に神罰が下ろうぞ!」
鬼丸(オイラに下られてもなあ・・・)
  某諸大夫の舘
貴族「ひ、ひ、ひゃあああああ~!」
鬼丸「あの~お返事を~」
貴族「あひゃあああ!ひぎゃあああ!」
鬼丸(何書かれてたんだろ?)

〇屋敷の一室
鬼丸「あ~疲れた~。 心っ底くたびれた~」
鬼丸「どこに行っても文句言われてばかり。 山暮らしの方がよっぽど気楽だよ」
信西「お待たせ致しました」
  雅仁皇子の側近 信西入道

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