第82話 擬態、そして羽ばたく(脚本)
〇ホール
2021年 イリノイ州 ピオリア郡 ピオリア市 シビック・センター 音楽祭会場
キング「ひゃー···すげェなこりゃ、映画館並のデカさじゃねェか!」
フェード「一般参加も出来るとはいえ騒ぎすぎるな、田舎者だと思われる」
キング「そ、そうだな···ふーっ···何か始まってもいねェのに緊張してきた」
フェード「何を緊張する必要がある··· ··· ···席に着いて黙って音楽を楽しむだけだろ···だよな?斎王」
しかし斎王はフェードの問いには答えず、どこかソワソワした様子であった。
そんな斎王に2人は声をかけた
フェード「斎王···鸞が心配かもしれんが考えるだけ考えて『鸞を信じる』とお前は判断した」
フェード「今からやっぱり別の作戦に変えよう。など言ってもどうしようもないんだ」
フェード「今は···あいつの邪魔にならないように私達はサポートできるようにすべきだ」
キング「だな、三人で組んだ時あいつはよく単独行動してたし大丈夫だろうよ。それに···」
キング「あいつは間違っても『命捨てるマネはしねェ』。俺はそう思ってるがお前はどうだ?」
斎王はキングの言葉に疑う余地が無かった。だがそれでも心のどこかで『説明できない不安感』があった
斎王はその場で2人に『ありがとう』と返すと、ビーっ!とブザーが鳴り会場の照明は徐々に明るさを失っていった
〇ホール
エンチャント魔導法士(しかし妙だな···)
エンチャント魔導法士(音楽祭がこうやって行われて今現在も動きなしか···レッドスモークはともかく、鸞は何をするつもりだ···?)
エンチャント魔導法士(会場にも受付にもいないとなると···誰かに変化でもしているのか?しかし誰に···?)
エンチャントの警戒を他所に、音楽祭は順調に進んでいき
次のグループが現れ演奏と歌を披露していた。エンチャントもそれを何気なく見ていた時『それ』は起こった
ある歌手の曲が終わり、盛大に紙吹雪と鳩が放たれると会場には拍手が巻き起こった
しかし、飛んでいる鳩達は次々に謎の発火を繰り返しバタバタと客席へ落下
客がパニックになったと同時に警報装置が作動し、会場にはけたたましい警告音が鳴り響いた
姫騎士「皆様落ち着いてください!どうか冷静に!」
マリア・イアハート「開口部付近の姫騎士達は封鎖をし、残る姫騎士達は観客の対処を行え!」
斎王幽羅「マリ姉!レッドスモークは既に外に出ている、俺が誘導するからここは任せていい!?」
マリア・イアハート「了解致しました幽羅様、おい!幽羅様をお通ししろ!」
そうして斎王はそこから走り去ったがマリアはヨンスを探していた。そしてある事に気づいた
マリア・イアハート「ゆ···幽羅様が居らっしゃる···?じゃあさっき出ていったのは誰だ···?」
斎王幽羅「え?いるも何も···俺『ずっとここで座ってたけど?』」
マリア・イアハート「しまった···!モニタールーム、監視カメラに幽羅様は映っているか!?」
はい、映っております。今緑色の煙のようなものを追うように『屋上』へ向かっています
マリア・イアハート「姫騎士達!観客を外に避難させろ、1人も負傷者を出すな!」
突然起こった騒動に皆が混乱状態に陥るが、マリアの的確な指示もあってか
観客を含め斎王達は避難をし、斎王達のみ外で屋上を皆で見上げていた
〇渋谷ヒカリエ
シビック・センター外
斎王幽羅「じゃあ屋上に鸞とレッドスモークが···?」
マリア・イアハート「はい···気づくのが1歩遅く食い止められませんでした···」
キング「あの野郎最初からこうするつもりだったのかよ···『下で待っててくれ』ってこういう意味か」
マリア・イアハート「今姫騎士達を編成中です、あと数分で突入させ援護に···」
しかし斎王はそれを『やめて欲しい』といい、キングと一緒に強ばった顔を緩ませていた
斎王幽羅「あの時と全く一緒だね···覚えてる?キング、ギャンググループのやつ」
キング「覚えてるぜ~?俺と斎王と鸞で下の階にギャングおびき寄せて全員ブチのめそうって作戦立てて」
キング「いざ当日になってあいつ、ドタキャンしてよ」
斎王幽羅「ギャングも見当たんないから探してたら、屋上で鸞がギャング16人全員倒してて」
キング「『報酬の50万は俺の総取りでいいな?』って血まみれになりながら言ってたよな。あれヒドかったなー···」
斎王幽羅「でもあの時俺とキング別のギャングの抗争鎮圧でケガしてたから、鸞なりの『優しさ』だと思うよ」
キング「そうかー?まぁでも今回もあいつなら···」
「大丈夫だろうね(な)」
2人の安心した顔を見た凪園達は『2人が安心と言うのなら』と皆で屋上の方に顔を上げた
To Be Continued··· ··· ···