5 謝罪(脚本)
〇城の客室
数時間後、俺はバイトが終わって結城家に戻って来た。
セバスチャン「お嬢様、冬弥君をお連れしました!」
結城まどか「あら、ご苦労様セバスチャン!佐々木君もバイトお疲れ様!」
佐々木冬弥「うん、ただいま・・・」
セバスチャン「それでは、私はこれで失礼致します・・・」
佐々木冬弥「あ〜やったやった!」
結城まどか「その分だと結構動いた見たいね・・・いつもそんな感じなの?」
佐々木冬弥「かもね・・・本気で疲れた時はそのままグッタリして寝ちゃう事もあるけど・・・」
結城まどか「ま、マジか・・・一人暮らしした事無いからとやかく言えないけど、無理しないでね?」
杉本健人「・・・・・・」
佐々木冬弥「あれ?健人君どうしたの?」
杉本健人「・・・えっと・・・」
結城まどか「ほら健人、このお兄ちゃんにちゃんと言うんでしょ?」
佐々木冬弥「言う?何を?」
杉本健人「・・・わ、」
佐々木冬弥「わ?」
杉本健人「わ、我儘言ってごめんなさい!お兄ちゃんが作ってくれた朝ご飯、ピーマンとか入ってたけど凄く美味しかった!!」
杉本健人「宿題とか掃除とか、ちゃんと自分でやる様にするから、だから!その・・・」
佐々木冬弥「・・・!?まさかここまで行くなんて・・・てか、ちゃんと食べてたんだね・・・」
杉本健人「う、うん・・・」
結城まどか「さっきエリカにも確認したのよ・・・余程お腹減ってたのか、残さず綺麗に食べてたって!」
佐々木冬弥「マジか!偉いよ!ちゃんと残さず食べるって!」
杉本健人「・・・ね、ねぇ、好きな物ばかり食べてたらどうなるの?」
佐々木冬弥「え?」
杉本健人「お姉ちゃんが言ってたんだ・・・好き嫌いしてると病気になるって・・・それ本当なの?」
佐々木冬弥「あぁ、本当だよ・・・今日の帰りに結城さんに頼まれた漫画持って来たから、それ読めば分かり易いと思うよ?」
結城まどか「あ、頼んだ奴持って来てくれたのね!」
佐々木冬弥「あぁ、今渡すよ・・・」
結城まどか「・・・!ありがとう!」
杉本健人「好きな物ばかり食べたら病気になるって、何か嘘見たいな話だなぁ・・・」
佐々木冬弥「読めば分かるよ・・・それじゃあ、俺風呂入るから・・・」
結城まどか「あ、そしたら背中流す?」
佐々木冬弥「子供の前でそう言うの厳禁!」
結城まどか「で、ですよねぇ・・・」
佐々木冬弥「まぁ、後はごゆっくり・・・」
結城まどか「う〜ん、水着持ってるから行けると思ったんだけどなぁ・・・」
杉本健人「ねぇお姉ちゃん・・・」
結城まどか「ん?どうしたの?」
杉本健人「背中流すって何?」
結城まどか「え?あぁ!何でも無いわ!気にしないで!持って来てくれた漫画読みましょう!」
杉本健人「・・・?まぁ良いか・・・」
〇城の客室
佐々木冬弥「う、ううん・・・」
佐々木冬弥「あ、もう朝か・・・」
結城まどか「あ、佐々木君お早う・・・」
杉本健人「お早う・・・」
佐々木冬弥「あ、2人共お早う・・・って、」
佐々木冬弥「あれ?どうしたの?朝からそんな暗い顔して?」
結城まどか「あぁ、昨日貸してくれた漫画2人で読んだのね・・・それを1から最後まで読んだら、さっきまであった楽しい気持ちが、」
結城まどか「一瞬で沼に沈んで拾えなくなったわ・・・」
杉本健人「糖尿病って言うんだっけ?主人公がそれになって足を切られちゃってさぁ・・・」
結城まどか「あたしの方は親に甘やかされ過ぎて両親がいなくなった後、1人で何も出来なくなった所が効いたわ・・・」
結城まどか「自分がそうなったらって考えたらもう怖くて怖くて・・・」
佐々木冬弥「あぁ、やっぱりそうなったか・・・」
結城まどか「え?て事は佐々木君も?」
佐々木冬弥「あぁ、結城さん達と同じだよ・・・俺も初め軽弾みで読んだら、その楽しい気分とか本当に沼に沈んだからさ・・・」
佐々木冬弥「暫く落ち込んで、その後はやれる事はちゃんとやろうと思ってね・・・」
結城まどか「なるほど、バイトしてる佐々木君もお父様達も増々尊敬したくなったわ・・・それなのにあたしと来たら・・・」
佐々木冬弥「いやいや、そこまで卑下する事じゃ無いから!」
杉本健人「お兄ちゃん、もう僕我儘言うの辞めるからさ・・・宿題とか分からない事とか教えて・・・下さい・・・」
佐々木冬弥「まぁ、2人の気持ちは分かったよ!取り合えず朝食作ろう!」
結城まどか「う、うん、そうね!所で、今日はバイトは?」
佐々木冬弥「あ、今日は休み・・・」
結城まどか「・・・そっか・・・予定とかあるの?」
佐々木冬弥「特に決めて無いよ・・・街のゴミでも拾おうかなって・・・」
杉本健人「え?何でそんな事するの?」
佐々木冬弥「まぁ、暇だってのはあるけど、それやったら幸せになれるから・・・」
杉本健人「え?それ本当なの?」
佐々木冬弥「あぁ、本当だよ・・・」
杉本健人「そ、そうなの!?僕にも出来る!?」
佐々木冬弥「あぁ、出来るよ!やって見る?」
杉本健人「・・・!うん!」
それから、俺は結城さんと共に健人君に宿題を教えたり街で一緒にゴミを拾ったり、俺は単身バイトに勤しんだりと、
夏休みを謳歌するのだった。