3 我儘おぼっちゃま(脚本)
〇立派な洋館
それから数日。夏休み初日となった今日、俺は結城さんの屋敷に赴いていた。
佐々木冬弥「こうして見ると本当に金持ちなんだなぁ・・・実際実現出来てるのが本当凄い・・・」
結城まどか「あ、佐々木君お早う!待ってたわよ!」
佐々木冬弥「あ、お早う結城さん!今日から宜しく!」
結城まどか「えぇ!今日から宜しく!部屋に案内するから、着いて来て頂戴!」
〇城の客室
結城まどか「佐々木君にはあたしと同じ部屋を使って貰うから、何かあれば言ってね・・・」
佐々木冬弥「え?てっきり1人用の個室かと思ったけど・・・」
結城まどか「あ、あのね!やろうとしたんだけど、どうしても丁度良いのが無かったのよ!他に使える部屋がここ以外に無かったのよ!」
結城まどか「変な勘違いとかしないでね!」
佐々木冬弥「あ、あぁ・・・まぁ、良いけど・・・」
滝沢エリカ「それでは、佐々木様のお荷物はこちらに置かせて頂きます・・・お嬢様、何かあれば・・・」
結城まどか「えぇ、お疲れ様!もう下がって良いわ!」
滝沢エリカ「畏まりました、では後程・・・」
佐々木冬弥「ま、まぁ、取り合えず宜しく・・・」
結城まどか「えぇ、決してやましい事とか無いからね?お風呂とか覗かない様にね?」
佐々木冬弥「あ、覗く気無いから大丈夫・・・」
結城まどか「いや覗きなさいよ!!」
佐々木冬弥「もう、勘弁してよ・・・」
佐々木冬弥「それはそうと、前に話してくれた所のお子さん、いつ頃来るの?」
結城まどか「あ、今日の10時頃よ・・・」
佐々木冬弥「10時か・・・それまで宿題やりながら待ってるよ・・・」
結城まどか「えぇ、お茶とか出す?」
佐々木冬弥「あ、お願いしようかな?」
部屋に案内されて荷物を整理した後、俺は持って来た宿題をしながら時間が来るのを待つのだった。
〇立派な洋館
それから、約束の時間となり、
セバスチャン「お待ちしておりました、杉本様・・・」
杉本父「やぁ、結城さんの所のセバスチャン!今日から家の子を暫くの間宜しくお願いします!」
佐々木冬弥「あの人達が、話してくれた人達?」
結城まどか「えぇ、あたしの父と同じ、お金持ちの家系で、お父様の会社とも取引してるのよ・・・親同士仲も良いんだけどね・・・」
杉本母「セバスチャンさん、家の子供をくれぐれも、くれぐれも丁重に扱って下さいね?」
セバスチャン「あ、はい、心得ております・・・」
杉本父「あぁ、期待してるよ!健人、おいで!」
杉本健人「うん!パパ!」
セバスチャン「あぁ、お久し振りです、健人おぼっちゃま・・・」
杉本母「健人、暫くママ達迎えに来れないから、ここで暫く遊んでてね・・・」
杉本健人「分かった!ママ、待ってるからね!」
杉本父「では、我々はこれから仕事なので、健人の事を宜しくお願いします・・・」
杉本母「何度も言いますけど、健人に変な真似をしたら、どうなるか分かりますよね?」
セバスチャン「は、はい!勿論でございます!」
杉本母「・・・えぇ、それで良いわ・・・あなた、行きましょう・・・」
セバスチャン「・・・大人しくしては、くれないでしょうね・・・」
杉本健人「おい!まどかいるか!?」
結城まどか「あ、うん、久し振りね健人・・・」
杉本健人「僕暫くここにいる事になったからいっぱい遊ぶぞ!」
結城まどか「あ、うん、好きにすれば良いと思うわ・・・あたしこれから宿題しないといけないから・・・」
杉本健人「はぁ!?宿題なんてどうでも良いだろ!僕お馬さんごっこやりたいからまどかお馬さんやれよ!」
結城まどか「えぇ・・・あなたもう小学2年生でしょ?小学校でもお兄ちゃんになるんだからさ・・・」
杉本健人「だからぁ!お馬さんやれって言ってるんだろ!?」
佐々木冬弥「あ、あの結城さん?この子は一体・・・」
杉本健人「ん?誰だお前?」
結城まどか「ちょ!健人!初対面の相手にその言い方は失礼でしょ!?」
杉本健人「だって知らないんだもん・・・」
結城まどか「もう!この人はあたしの婚約、ゲフンゲフン!あたしのクラスメイトの佐々木冬弥君よ!ちゃんとお兄ちゃんと呼びなさいね?」
杉本健人「ふーん・・・冬弥って言うんだ・・・そんな事よりお馬さんごっこやるからお馬さんやって・・・」
結城まどか「・・・分かった、やれば良いんでしょやれば・・・」
杉本健人「何だよ?そう言う時ははいやりますだろ?」
結城まどか「はい、やります・・・ごめん佐々木君、あたし暫く離れてるから・・・」
佐々木冬弥「と、飛んだ大物が来たな・・・」
〇城の客室
数時間後。
結城まどか「た、ただいま・・・」
佐々木冬弥「お帰りなさい、まどかお嬢様・・・こっちは宿題しながらチマチマ様子見させて貰ったよ・・・」
結城まどか「あ、うん・・・」
佐々木冬弥「あの子、健人君って言ったっけ?いつもあんな感じなの?」
結城まどか「そうよ、両親から溺愛され捲ってるからか、いつの間にかあんな風になっててね・・・」
結城まどか「何でも買って貰ったり、何でも言う事聞いて貰えてたから、自分は王様か何かと勘違いしてるのよ・・・」
結城まどか「あたしから見れば独裁者だけど・・・」
佐々木冬弥「呆れた・・・その家の中ならまだしも、こっちまで言う事聞いてどうするのさ?それに、お嬢様が他所の家の子の」
佐々木冬弥「下僕になんかなってさ・・・」
結城まどか「うん、返す言葉も無いわ・・・」
佐々木冬弥「子供が子供なら、親も親だな・・・結城さんはあのままで良いと思ってるの?ずっとあのままなら、」
佐々木冬弥「あの子いつか破滅するよ?」
結城まどか「そ、そうよね・・・でも健人の親から釘を刺されてるし・・・」
佐々木冬弥「なら、そんなの無視すれば良い・・・」
結城まどか「え?でもそんな事したら・・・」
佐々木冬弥「そんなのこっちだって知らないよ・・・何より、ここにいるならここのやり方に乗って貰った方が結城さんとしても助からない?」
結城まどか「・・・まぁ、確かに・・・」
佐々木冬弥「でしょ?もしあの子が我儘言っても聞かない方が良い・・・泣いたり喚いたりすれば何でも言う事聞いてくれるなんて」
佐々木冬弥「思われてるからさ、そう言うのは通じないって先ずは分からせないとね・・・後は、自分でやれる様になれば・・・」
結城まどか「う〜ん、それなら先ず何からしたら良いかな?」
佐々木冬弥「あぁ、結城さんが戻って来る前に、ここのメイドさんに料理手伝わせて欲しいって頼んだからさ、その時話すよ・・・」
結城まどか「え!そんな事してたの!?」
佐々木冬弥「まぁ、お世話になりっぱなしは良く無いし・・・」
結城まどか「そ、そうなのね!佐々木君がやるなら、あたしもやるわ!」
佐々木冬弥「え?結城さんもやるの?流石に大丈夫だと思うけど・・・」
結城まどか「あ、あたしだって料理習ってるわよ!勘違いしないで!男の子に女子力負けたら、乙女としての示しが付かないじゃん!」
佐々木冬弥「・・・まぁ何がともあれ、俺は明日早起きして、バイト行って来るから、今日はもう寝るよ・・・」
結城まどか「あ、そ、そうなのね!なら、セバスチャンに車頼んで置くから!好きなだけ頼って頂戴!」
佐々木冬弥「あはは、まぁ本当にそうなったらね・・・」
結城まどか「(・・・まどかお嬢様、か・・・どうせなら、まどかって呼んで欲しいな・・・)」