4 獅子は我が子を(脚本)
〇城の会議室
翌日。
滝沢エリカ「お2人共、朝方から本当にありがとうございます!お嬢様は勿論ですが、お客人である佐々木さんまで朝食作りを」
滝沢エリカ「手伝って頂けるとは・・・」
佐々木冬弥「いえ、俺も一人暮らしの身なので・・・」
結城まどか「でも本当凄いわよね・・・一人暮らしの経験があるとは言え、あんなに手際が良かったもの・・・」
佐々木冬弥「そりゃ最初から出来た訳じゃ無いよ・・・俺も母さんから家事のやり方教わってたから・・・」
滝沢エリカ「確かに、最初から出来る人はいませんからね・・・お嬢様だって、同じ条件で始めてますから・・・」
結城まどか「こうして見ると、あたしがお金持ちの家系なのって何だかついでに見えちゃうわね・・・」
結城まどか「お父様達がどれだけ凄いか分かる気がするわ・・・けど、」
結城まどか「ねぇ佐々木君、本当に子供が嫌いな野菜全部盛りにして良かったの?健人食べないで駄々捏ねると思うんだけど・・・」
佐々木冬弥「何言ってるのさ・・・子供内から病気になられた方が困らない?」
結城まどか「それはそうだけど・・・」
佐々木冬弥「メイド長さん、セバスチャンさんにも話した通り、お願いしますね?」
滝沢エリカ「勿論でございます!」
セバスチャン「健人おぼっちゃま、朝食が出来上がりましたよ!」
杉本健人「もう!折角の夏休みなのに何で寝坊させてくれないのかなぁ!!」
セバスチャン「おぼっちゃま、早起きは三文の徳とも言います・・・寝てばかりでは、良い事はありませんよ?」
杉本健人「え〜、面倒臭いなぁ・・・」
結城まどか「健人お早う・・・」
杉本健人「あ、まどかか・・・もう起きてたんだな・・・」
結城まどか「そりゃそうよ・・・朝ご飯作ってたから・・・」
杉本健人「へぇ、ご飯作りなんてメイドとかにやって貰えば良いのに、それでもお嬢様か?」
結城まどか「お嬢様だからよ・・・御託は良いから食べましょう・・・お腹減ったし・・・」
杉本健人「あぁそうだな・・・って、」
杉本健人「おい!何だよこれ!?料理の中にピーマンや人参とかが入ってるじゃ無いか!!誰が入れて良いって言った!?」
佐々木冬弥「え?美味しいじゃん、この手の野菜・・・」
杉本健人「あぁん!?お前が入れたのか!?今直ぐ別の奴に取り替えろ!!」
佐々木冬弥「何でさ?」
杉本健人「僕はもっと美味しい物が食べたいんだ!」
結城まどか「いや、だから今それを作って来たじゃん・・・」
杉本健人「あぁもう!僕は野菜なんか食べないからな!おい誰か!別の料理持って来い!」
セバスチャン「申し訳ありませんおぼっちゃま、これから私は車の用意をしますので・・・」
滝沢エリカ「私も、今手が離せない状態ですので、また後程・・・」
杉本健人「な、何で僕の言う事聞いてくれないんだよ!?パパとママと、家の人は聞いてくれるのに!!」
結城まどか「そんなの知らないわよ・・・一応、ここはあなたの家じゃ無いし、ここにいるからにはここのやり方に乗って貰うから・・・」
結城まどか「てかもうあたしも食べたいから、そこで勝手にしてれば?」
杉本健人「はぁ!?ふざけるなよ!!」
杉本健人「おい!誰か僕のご飯用意しろよ!誰か!誰かぁ!!」
杉本健人「うわ〜ん!!」
佐々木冬弥「結城さん、やれば出来るじゃん・・・」
結城まどか「う〜ん、こうしてやって見ると心苦しいわね・・・寧ろ可哀想にも見えちゃうし・・・」
佐々木冬弥「駄目だよ、ここで言う事聞いたら台無しだからね・・・」
結城まどか「そ、そうよね・・・あたしはライオン、あたしはライオン・・・」
結城まどか「崖の下に落としたなら、自力で上がらせないとね・・・」
佐々木冬弥「あぁ、それで自分でやって出来たら、褒める事も忘れないで・・・」
結城まどか「あ、うん・・・」
杉本健人「うわ〜ん!お腹減った〜!!」
その後、健人君は暫く泣いた後に落ち着いたら、余程疲れたのか、俺達が作った朝食をそのまま食べるのだった。
〇城の客室
それから、俺は1人でバイトへと赴き、結城さんはと言うと。
結城まどか「良し、終わった・・・何とか今月中には終わらせたいわね・・・」
杉本健人「あれ?まどか何してるの?」
結城まどか「ちょっと、ノック位しなさいよ・・・」
杉本健人「良いじゃん、面倒臭いし・・・」
結城まどか「全く・・・てか、何しに来たの?」
杉本健人「学校の宿題代わりにやって貰おうとしたらメイド長達に断られた・・・だからまどかが代わりにやれよ・・・」
結城まどか「嫌よ・・・やらないからね?」
杉本健人「えぇ!何でだよ!!僕のパパは年収1000万のお金持ちなんだぞ!!」
結城まどか「知ってるわよ・・・」
杉本健人「僕のパパは社長やってて偉いんだ!だから僕も偉いんだよ!!」
結城まどか「へぇ、だから?」
杉本健人「だから、僕の宿題はまどかがやれよ!!」
結城まどか「・・・健人、あなた考えた事ある?」
杉本健人「え?何をだよ?」
結城まどか「健人のパパの事はあたしも良く知ってるわ・・・でも、そのパパはいつまで頑張れるの?」
杉本健人「はぁ?」
結城まどか「人の命って永遠じゃ無いの・・・もし自分のパパとママが突然いなくなったら、健人その後どうするのよ?」
杉本健人「んな!パパとママがいなくなる訳無いだろ!?」
結城まどか「これがいなくなっちゃうのよ・・・」
杉本健人「だ〜か〜ら〜!!」
結城まどか「そもそも、あたしも健人も自分で稼いでお金持ちになった訳じゃ無いでしょ?それで自分が偉くなるっておかしく無い?」
杉本健人「何だよ?それとこれとは・・・」
結城まどか「関係あるわよ・・・もし自分がパパの会社継ぐってなれば、何にも知らないと何も出来なくなるわよ?」
結城まどか「もしかしたら、パパの会社潰れちゃうかも・・・」
杉本健人「・・・!?う、嘘だ!そんな事は!!」
結城まどか「これが有り得るんだよなぁ・・・本当にパパとママもいなくなったりしたら、あなたもうどうしようも無いわよ?」
杉本健人「・・・・・・」
杉本健人「・・・・・・」
杉本健人「ねぇ、宿題自分でやれば良いの?」
結城まどか「ん?もしかしてやる気になった?」
杉本健人「う、うん・・・僕自分でちゃんと宿題やった事無かったから、まどか、教えろよ・・・」
結城まどか「・・・その言い方じゃ教えて上げないわよ?」
杉本健人「・・・!?えっと、教えて、下さい?」
結城まどか「はい!良く言えました!教えて上げるから、早く持って来なさい?」
杉本健人「わ、分かったよお姉ちゃん!」
結城まどか「・・・ここに来て平気そうって事は、ちゃんと朝ご飯食べた見たいね・・・」
それから、結城さんは健人君に宿題を教えて、朝ご飯を確り食べていた事を知るのだった。