1 ツンデレのお嬢様(脚本)
〇ゲームセンター
佐々木冬弥「それ!それ!ここをこうすれば・・・」
佐々木冬弥「よっしゃ!親記録だ!」
俺の名前は佐々木冬弥。高校2年生。先日期末テストが終わり、バイト代が幾らか余ってたので息抜きにゲーセンに来ていた。
佐々木冬弥「暫く対戦物やって無かったから腕が落ちたかと思ったけど、案外感覚は覚えてるもんだな・・・」
佐々木冬弥「ん?乱入対戦?しかもこれ、同じ場所じゃ無いか・・・折角だから付き合うか・・・」
同じ店で突如乱入対戦の希望者が出たが、俺は迷わず相手をする事にしたのだが。
佐々木冬弥「あ、あれ?思ったより弱いぞ?これなら小学生の方がまだ手応えがあったが・・・」
佐々木冬弥「え?またやるの?まぁ、断ったら失礼だし・・・」
それから俺は、知らないド素人相手に2.3回程勝負し、全勝した。
佐々木冬弥「いやもう、どこの誰だよ?素人なのにここまでしつこく挑んで来るのは・・・」
「お嬢様、これ以上は駄目ですよ・・・」
佐々木冬弥「ん?」
結城まどか「こんなの納得出来ないわよ!!このあたしが手も足も出ないだなんてぇ!!」
セバスチャン「悔しい気持ちはお察し致します・・・ですが、ゲームセンターでのお金の使用は300円までです・・・」
セバスチャン「それ以上使えば、旦那様からお叱りを受ける事になりますよ・・・」
結城まどか「あぁ、それさえ無ければなぁ・・・」
佐々木冬弥「あ、あれ?もしかして、さっきまで俺と格ゲーしてたのって、結城さん!?」
結城まどか「あら佐々木君、このあたしに勝てて誇らしいかしら?」
何と俺がさっきから相手してたのはクラスメイトの結城まどかさんだった。結城さんは金持ち家系のお嬢様で、
色んな人から羨望の眼差しを送られてるのだが、
佐々木冬弥「え?何でお嬢様の君がこんな所にいる訳?」
結城まどか「な、何って、佐々木君が何だか怪しそうなお店に入るのを見たから気になって尾行してたのよ!」
佐々木冬弥「(今明らかに聞き捨てならない事言ったよね?言ったよねぇ!?)」
結城まどか「それで何だか騒がしいと思ったら、ここって巷で言うゲームセンターって所なのは驚いたわ・・・」
結城まどか「無駄に騒々しいけど、暇潰しとしては悪く無いわね・・・」
佐々木冬弥「お、おう、それはご苦労様・・・で、俺の事追い掛けてどうするつもりだったの?」
結城まどか「そ、そんなの決まってるでしょ!佐々木君が怪しい店で騙される様な事が無いか見て上げたのよ!」
結城まどか「でもここはそんな感じじゃ無かったし、無駄に心配して損したわ!」
佐々木冬弥「そ、そうなんだ・・・俺の事心配してくれてたのか・・・そこはありがとう・・・」
結城まどか「あ、あたしはあなたに恩を着せたかっただけよ!勘違いしないで頂戴!」
佐々木冬弥「はいはい・・・そう言う事にして置くよ・・・」
結城まどか「今日は負けたけど次は負けないからね・・・セバスチャン、帰るわよ!」
セバスチャン「畏まりましたお嬢様・・・お友達の方、佐々木君と申しましたか・・・本日は、まどかお嬢様のお相手をして頂き、」
セバスチャン「ありがとうございました・・・」
佐々木冬弥「い、いえ!大した事して無いです!たまたま来てただけなので・・・」
セバスチャン「はい、それでは失礼致します・・・」
佐々木冬弥「・・・お嬢様がゲーセン・・・何かレアな体験だったな・・・」
〇車内
セバスチャン「・・・・・・」
結城まどか「きゃあ佐々木君今日もカッコよかったぁ!ゲーム好きだとは聞いてたけどゲーセンにも行ってたのねぇ!」
結城まどか「家庭用ゲーム機とは勝手が違うから全く分からなかったけど、次は絶対に佐々木君に勝って見せるからぁ!」
結城まどか「あぁでも、もう直ぐ夏休みだし、佐々木君部活入って無いし、会う頻度減っちゃうしどうしようかなぁ・・・」
セバスチャン「ははは!お嬢様、そこまで言うなら、直接お会いして見たら宜しいのでは?」
結城まどか「えぇ、でもいきなり押し掛けたら迷惑に思われないかなぁ?」
セバスチャン「ならば直接彼と話し合って、約束事を取り付けたりするのは如何でしょうか?」
結城まどか「約束事?」
セバスチャン「はい、事前に約束事を取り付ければ、相手も困る事無く対応出来ますし、事前の準備も出来ますでしょう・・・」
結城まどか「・・・!ナイスアイディアね!明日やって見るわ!」
セバスチャン「ははは!お嬢様、折角ですから、今の感じで接して見たらどうですか?こちらの方が柔らかくて宜しいかなと・・・」
結城まどか「む、無理無理無理!!佐々木君の前だとどうしても!!」
セバスチャン「まぁ良いでしょう・・・確かにさっきの接し方で今の状態のお嬢様を見たら彼も驚きますね・・・」
〇立派な洋館
滝沢エリカ「お帰りなさいお嬢様!本日もお疲れ様です!」
結城まどか「只今エリカ!」
セバスチャン「それではお嬢様、私は車を戻して参ります・・・」
結城まどか「えぇ、お願い・・・」
結城まどか「エリカ、夕飯の用意は?」
滝沢エリカ「あ、これからですので、今暫くお待ちを・・・」
結城まどか「そうなのね・・・ならあたしもやりたいわ・・・」
滝沢エリカ「畏まりました!最近お嬢様が花嫁修業に積極的になられて、私は感激です!」
結城まどか「当然よ!あたしは佐々木君に相応しくなりたいんだもの!早く行きましょう!」
〇城の客室
数時間後。
結城まどか「良し、宿題終わりと・・・」
結城まどか「あ〜肩凝ったかも・・・セバスチャン呼ぼうかしら・・・」
結城まどか「ん?はいどうぞ?」
結城孝四郎「まどか、今大丈夫か?」
結城まどか「あ、お父様!急にどうしたの?期末の結果なら隠さずに見せた筈だけど?」
結城孝四郎「あぁ、いつも頑張ってるのは私の目にも入ってる・・・今日は珍しくゲーセンに行ってたそうだな?」
結城まどか「あ、うん・・・指定されてたのはちゃんと守ったからね!」
結城孝四郎「あぁ、全てセバスチャンから聞いた・・・それはそうと、本題に入りたい・・・」
結城まどか「あ、うん、どうしたの?」
結城孝四郎「あぁ、もう直ぐ夏休みだろう?親戚が夏休みの始まり頃に子供を家に預けたいとの事でな・・・」
結城まどか「え?親戚ってあの親戚?」
結城孝四郎「そうだ、夏休みの間面倒を見て欲しいとの事だ・・・」
結城まどか「え、えぇ?マジで?そう言えばお父様、夏休みになったら確か・・・」
結城孝四郎「そうだ、夏休みになったら私は暫く出張だからな・・・暫くは帰れない・・・」
結城まどか「あ、うん・・・そうなのね・・・」
結城孝四郎「セバスチャン達にも事は伝えてある・・・確り面倒を見て上げるんだぞ?」
結城まどか「あたし、あの子苦手なんだけど・・・」