歩夢視点。怜くんは僕よりもスマホが好き①(脚本)
〇幻想2
『怜くんが僕に依存する』
願いを書いた紙を、ピンク色の小さなお守り袋に入れた。
効果はあるのかな?
〇水色(ライト)
❄❄──僕に依存してほしい。──❄❄
〇ラーメン屋
──12月の休日
〇ラーメン屋のカウンター
怜くんとふたりで、僕が生まれる前からあったラーメン屋に来ていた。
他のお客さんはいなくて
僕たちと、ラーメンの湯気
テレビの中でニュースの原稿を読み上げている女の人だけが動いている。
小谷歩夢「ねぇ、僕といるのつまらない?」
園田怜「いや、そんなことないよ」
そう言いながら怜くんは僕と視線を一切合わせずに醤油ラーメンの麺をすすりながら
スマホをいじっていた。
怜くんのスマホがうやらましい。
いつも見つめられていて・・・・・・
僕はスマホに嫉妬をしていた。
小谷歩夢(怜くん、スマホじゃなくて僕に依存してよ)
〇一戸建て
園田怜くんとは小さな頃から家が隣同士の、僕の幼なじみ。
親同士も仲良くて、うち、小谷家と園田家は家族ぐるみの付き合いをしていた。
〇菜の花畑
一緒に旅行に行ったり
〇クリスマス仕様のリビング
クリスマスやらイベントも一緒にしたり。
〇白
僕は小さな頃から怜くんに憧れていた。
すごくカッコよくて、僕と違って何でも出来て・・・・・・。
たくさん一緒にいてくれて、ひとりじめ出来る時間が多くて
それだけで贅沢で満足だった。
〇ラーメン屋のカウンター
小谷歩夢(だけど最近はスマホに怜くんが奪われている気がして)
小谷歩夢(ちょっと、いや、結構悔しい)
「寒いから一緒にラーメン食いに行こ?」って怜くんが誘ってくれて
一緒に近所のラーメン屋に来た。
なのに今、会話はなくて、怜くんはスマホばっかりいじっていた。
小谷歩夢「怜くんはいつもスマホで何見てるの?」
園田怜「ダンス動画だよ。そしてよかった動画にはコメントをしたり」
園田怜「あとは漫画とかかな・・・・・・」
会話しているのに怜くんの視線はスマホに釘付け。
小谷歩夢(僕のこともっと見て欲しいけど、スマホの方が怜くんにとって魅力あるんだろうなぁ)
僕もスマホをカバンから取り出した。
ちなみにスマホを使うのは、怜くんと連絡とるぐらいかな?
あとは家族と連絡取るぐらい?
他はいつもカバンかポケットにしまってある。
小谷歩夢(自分のスマホを見つめてもつまらないな)
再びカバンにしまうと怜くんとお揃いの醤油ラーメンの麺をすすった。
小谷歩夢「雪の時期のラーメンって、あったかくて特に美味しく感じるよね」
園田怜「そうだね」
返事はしてくれるけれど、怜くんの視線は相変わらずスマホ。
怜くんがスマホを持ったのは僕が中学1年生怜くんが中学2年生くらいの時。
その時はまだ僕の目を見て話してくれていた。
小谷歩夢(その時を思い出すたびになんだか寂しくなる)
先にラーメンを食べ終えた僕はじっとして怜くんが食べ終わるのを待っている。
〇ゆめかわ
なんか怜くんとスマホはふたりだけの世界にいて、カップルみたいだ。
怜くんは食べ終わってもスマホをぽちぽちしている。
〇ラーメン屋のカウンター
園田怜「よし、帰るか?」
小谷歩夢「うん」
スマホの用事が終わったらしい。
怜くんがバイトで稼いだお金でいつも奢ってくれる。
今日も怜くんがお金を払ってくれて
払い終わると、店を出た。