3 メイドとの対談(脚本)
〇街中の道路
木村宏斗「あなたは、確か・・・」
緑川彩芽「先程ぶりですね・・・私は明石家グループのメイドの緑川彩芽と申します・・・以後お見知り置きを・・・」
速水瀬奈「え?明石家グループって、あの大手企業の?」
緑川彩芽「左様です・・・私はあなたの事を捜してました・・・木村宏斗さんですよね?」
木村宏斗「はい、そうですが・・・」
緑川彩芽「見つける事が出来て良かった・・・あの、この後お時間宜しいですか?どうしてもお話したい事がありまして・・・」
緑川彩芽「もし良ければ、そちらの方も・・・」
速水瀬奈「あ、良いですよ?」
緑川彩芽「決まりましたね・・・では行きましょう・・・」
酷く落ち込んでた時に、今日内の部署に来た社長夫人の付き添いの人に誘われ、俺は近くの店に行く事となった。
〇テーブル席
それから俺達はメイドの緑川さんに誘われて近くのカフェに行く事に。
緑川彩芽「どれでも好きな物を注文して下さい・・・今回は私が奢ります・・・」
速水瀬奈「ありがとうございます!」
木村宏斗「・・・・・・」
速水瀬奈「木村さん、余り落ち込み過ぎるのは良く無いですよ?」
緑川彩芽「まぁ、今はそっとして置きましょう・・・何か食べれば、少しは気も晴れると思います・・・」
それから、注文したコーヒーが届き、俺は無言で飲む事に。
木村宏斗「あぁ、うめぇ・・・」
緑川彩芽「少しは落ち着きましたか?」
木村宏斗「はい、すみません、みっとも無い所見せちゃって・・・」
速水瀬奈「・・・良かった・・・」
木村宏斗「あぁ、もう何て謝れば良いか・・・」
速水瀬奈「・・・まぁ、ちゃんと復活してくれたから大丈夫ですよ・・・」
木村宏斗「速水さんも、本当ごめん・・・」
緑川彩芽「これなら大丈夫そうね・・・木村さん、本題に入りたいのですが、宜しいですか?」
木村宏斗「本題?大丈夫ですよ・・・」
緑川彩芽「はい、今日の事でお話したい事がありまして・・・社長夫人を助けて頂いたの、木村さんですよね?」
木村宏斗「え?でも聞いてましたよね?あの人を助けたのは影山だって・・・」
緑川彩芽「何故自分がやった事を隠すんです?私も奥様から聞いたのですが、奥様は車に轢かれそうになった所を助けて貰っており、」
緑川彩芽「助けて頂いた方は見返りすら求めて無かったとお聞きします・・・今日名乗り出た影山と言う方は、私から見ても」
緑川彩芽「とても軽薄そうで謙虚な方と呼ぶには些か無理がありました・・・」
速水瀬奈「・・・!木村さん、もしかして影山さんにまた手柄を横取りされたんですか!?」
木村宏斗「あ、うん・・・」
緑川彩芽「そうだったんですね・・・何か変だと思って調べた甲斐がありました・・・」
緑川彩芽「木村さん、何故あの時反論しなかったのです?何か訳でもあるんですか?」
木村宏斗「う〜んそうですね・・・俺、昔から揉め事とか駄目なんですよ・・・両親は喧嘩ばかりで、怒声とか、暴力が絶えなくて・・・」
木村宏斗「そのせいもあると思うんですが、俺、余り自分を押し出すって出来なくて・・・何より、俺が我慢すれば揉め事にならないと」
木村宏斗「思えば・・・」
緑川彩芽「本当にそれで良いのですか?」
木村宏斗「え?」
速水瀬奈「私もそう思います・・・確かに揉め事とかは嫌ですよ・・・でも、それで自分を抑え込んでたら、それこそ収拾付かなくなりますよ?」
木村宏斗「・・・・・・」
緑川彩芽「大体の事は良く分かりました・・・木村さんは自分を押し出すのが苦手なのも、我々としてもこのままでは駄目だと・・・」
木村宏斗「緑川さん?」
緑川彩芽「今回の事は私から奥様に報告させて頂きます・・・それと、その影山と言う男にお灸を据えて行きませんか?」
木村宏斗「え?でもそんな事しても・・・」
緑川彩芽「言いたい事は分かります・・・ですが、やられてるばかりだとあなた自身が持ちませんよ?」
緑川彩芽「少し話が逸れますが、私は昔から両親に厳しい教育を受けてました・・・その過程で私は何度も心を折られそうになりましたが、」
緑川彩芽「ある時私は何故両親が厳しくするのか気になって、とある漫画があって読んで見たのですが、」
緑川彩芽「その内容が親に甘やかされて育った子供と言う内容で、その先はとても見るに耐えられない物でした・・・」
緑川彩芽「常に自分が中心で、自分の思い通りにならないと気が済まない性格になってしまい、周囲に対する協調性も皆無で・・・」
緑川彩芽「仕舞には好き嫌いの果てに重度の病気に掛かったり、親に頼り過ぎた挙げ句1人で何も出来なくなったりと、」
緑川彩芽「親に甘やかされた末路は、どれもこれも悲惨な物ばかりでした・・・私の両親は、私がそうなるのが嫌で厳しくしてたと、」
緑川彩芽「その時再認識したのです・・・」
速水瀬奈「あぁ、それ何と無く分かりますね・・・もし自分がそんな風にされてると思うと・・・」
緑川彩芽「はい、その影山と言う男にも、甘い汁ばかり吸ってるとどうなるか知らしめる必要があると思います・・・」
木村宏斗「・・・ですが、本当にそれで良いのでしょうか・・・もしそれで今後に影響が出たら・・・」
緑川彩芽「・・・なら木村さん、想像して見て下さい・・・もし自分に子供がいて、あなたがその子を甘やかして育てたら、」
緑川彩芽「その後どうなると思います?」
木村宏斗「・・・やっぱ嫌ですね・・・」
緑川彩芽「そうですよね!DVとかは確かにいけませんが、甘やかすだけの教育も、立派な虐待なんです!」
緑川彩芽「木村さん、あなたはあなたの為に生きて良いんです・・・好きでも無い人の為に尽くす理由等、最初から無いのですから・・・」
木村宏斗「緑川さん・・・ありがとうございます、俺、目が覚めました・・・出来るなら、俺ももっと活躍したいし褒められたい・・・」
木村宏斗「でも、やっぱ影山の事は何とかしたい・・・」
速水瀬奈「・・・!良かった!木村さん、あたしからも協力させて下さい!」
木村宏斗「・・・速水さん・・・」
緑川彩芽「話は纏まりましたね・・・では木村さん、今後の方針を・・・」
木村宏斗「はい!」