繋ぎのハンカチ

夏目心 KOKORONATSUME

2 横取り(脚本)

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〇オフィスのフロア
  それから数日。
木村宏斗「部長、資料出来上がりました・・・確認お願いします・・・」
部長「分かった、直ぐ確認しよう・・・」
部長「うむ!もう大丈夫だ!」
木村宏斗「はい、ありがとうございます・・・」
部長「所で、また影山君の分まで持って来てくれたのかい?」
木村宏斗「はい、影山は他に仕事があるので代わりに持って行くのを頼まれて・・・」
部長「そうか・・・でもどうせなら自分で持って来て欲しい物だから、木村君からも言ってくれないかな?」
木村宏斗「まぁ、分かりました・・・(まぁ、この資料押し付けられて俺がやったからな・・・)」
部長「ん?電話か・・・もう下がって良いぞ・・・」
木村宏斗「あ、はい・・・」
部長「はい、どちら様でしょうか・・・」
部長「・・・・・・」
部長「え?内の部署の者が、ですか?」
  部長に電話をして来たのはこの職場の社長だった。数時間後に社長が話した理由を、俺も聞かされる事となる。
部長「社長、お待ちしておりました・・・」
樫村誠一「あぁ、要件は先程話した通りだ・・・明石家グループの社長夫人が内の職員に助けて貰ったお礼がしたいとの事でな・・・」
樫村誠一「間もなく到着するから、失礼の無い様にな?」
部長「はい、無論であります!」
影山博「えぇ!内の職員が明石家グループの社長夫人を助けただって!?誰だよそんな美味しい事した奴は!?」
木村宏斗「・・・そんな凄い奴いるんだな・・・」
  それから数分後。
部長「あぁ、お待ちしておりました!」
明石家加奈子「こちらこそ、本日は無理を言って申し訳ありません・・・御社の職員様には、どうしてもお礼が言いたくて・・・」
部長「左様でございますか!畏まりました!直ぐお呼びしますので!」
  部長に呼び出され、俺達は集まる。
木村宏斗「・・・・・・」
部長「社長夫人、助けて頂いた方の名前はお分かりでしょうか?」
明石家加奈子「その事ですが、その方は名を名乗らずに去ってしまって・・・分かるのは、このハンカチと、とても謙虚な方としか・・・」
明石家加奈子「これがそのハンカチなのですが・・・」
部長「あぁ!確かにそれは我が社で取り扱っているハンカチです!私を含め、新入社員には必ず1枚支給される物でして!」
明石家加奈子「やはりそうでしたか!このハンカチの持ち主の方に是非お礼を言いたいのです!それと、主人からお礼の後に、」
明石家加奈子「是非御社との取引をしたいとの事でして!」
部長「おぉ!それは本当ですか!!」
木村宏斗「(え!あの車椅子のおばさん、社長夫人だったの!?驚いた、もう会う事も無いと思ったし、しかも内と取引だなんて・・・)」
木村宏斗「(しかも、通りでハンカチが見つからないと思ったら、あの人が持ってたのか!だったら!)」
影山博「部長!その人を助けたのは僕です!」
木村宏斗「え?」
部長「おぉ!君が社長夫人を助けてくれたのか!」
明石家加奈子「え?ま、待って下さい!私を助けてくれたのは・・・」
影山博「いやぁ!報告するの忘れてました!通勤中に車椅子の方が道に迷ってたのを見て僕が助けたんです!」
影山博「最近ハンカチを無くしたと思ったら、あなたが持っててくれたんですね!ありがとうございます!」
木村宏斗「え、ちょま・・・それは・・・」
明石家加奈子「あ、あの、失礼ですが、あなたとお会いするのは・・・」
影山博「いえいえ!拾ってくれて本当ありがとうございます!しかも道案内しただけで取引の持ち掛けまでしてくれるとは!」
影山博「部長、後の事は僕に任せて下さい!」
部長「そうだったのか!大手柄だな影山君!」
明石家加奈子「ま、待って下さい・・・私を助けてくれたのは・・・」
影山博「そう畏まらないで!早速今後の方針を話し合いましょう!」
木村宏斗「(う、嘘だろ・・・仕事の手柄だけじゃ無く、一個人でやった事すら横取るのかよ・・・)」
緑川彩芽「・・・・・・」

〇街中の道路
  その日の帰り。
木村宏斗「くそ!くそ!!くそおぉぉ!!!」
木村宏斗「何でだよ・・・何でなんだよ・・・」
速水瀬奈「あぁ!やっと追い付いた!」
木村宏斗「・・・速水さん?」
速水瀬奈「木村さん、何があったんですか?物凄く辛そうな顔して出て行ったから気になって・・・」
木村宏斗「・・・関係ねぇよ・・・」
速水瀬奈「木村さん?」
木村宏斗「速水さんには関係ねぇよ・・・元はと言えば、俺がもっとちゃんと言えばこんな事にはならなかったし、」
木村宏斗「いつもそうだ・・・俺が何かやってもいつも影山がやった事になって・・・影山が悪い事しても俺のせいにされて・・・」
木村宏斗「もうウンザリだ・・・俺この職場辞めるよ・・・」
速水瀬奈「木村さん・・・」
緑川彩芽「あぁ、やっと見つけました・・・」
木村宏斗「え?あなたは?」

次のエピソード:3 メイドとの対談

コメント

  • ビジネスものとして安定の力量がありますね!!
    今回は人情噺としても興味深いです😀

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