第一話、突然のアクシデント。(脚本)
〇繁華街の大通り
20xx年x月xx日、S県S市──。
彩町彩果「はぁ・・・、何だか退屈だな・・・」
彩町彩果(どこを歩いても何事もなさそうだし、犯罪とか起きそうもないし・・・)
彩町彩果(かといってこれと言った特別な何かが起こるって訳じゃなさそうだし・・・)
彩町彩果(俺を楽しめそうな”イベント”とかないみたいだし・・・)
彩町彩果(さすがにつまらなすぎる・・・。もっと”楽しい事”とか”面白そうな事”とかないのかよ・・・)
こんな状態だが、一応自己紹介をしておこう。俺の名前は彩町彩果(あやまちさいか)。私立の高校に通う高校生だ。
彩町彩果「はぁ・・・、何か”面白そうな事”とかないかな?」
彩町彩果「くそっ、暇!!暇すぎて本当につまんない・・・!!」
コバット「やれやれ・・・。彩果、さっきからぶつくさと文句ばかり言ってるよ?」
コバット「気持ちは分からないわけじゃないけど、あまり愚痴をこぼさないほうがいいよ?」
彩町彩果「ん?・・・あぁっ、悪い。つい、イライラしてしまって・・・」
右肩にちょこんと乗っかっているこのシラコバトの名前は”コバット”で、俺の相棒だ。
見た目はシラコバトだが、こいつの正体は魔界から来た”元”伝説の魔法使いであり、こいつとは過去に1度だけ会った事がある
何でも同じ魔界にいた”魔女”の罠にハマった事で今の姿に変えられてしまったようだが、その魔女の行方はまだ分からないらしい。
彩町彩果「だってさ・・・、なーんにも起きたりしないこんな平和な毎日ばかり過ごしていて退屈すぎるんだよ!!」
彩町彩果「・・・ストレスが溜まるっていうかさ?」
コバット「仕方ないじゃないか?この前、起こった凶悪な事件なんてキミとボクの2人で解決しちゃったんだからさ・・・」
コバット「寧ろ、ボクにとって今の方が非常に落ち着いているからいいんだけどね!」
彩町彩果「はぁ・・・、お前はいいよな!?のんきで・・・」
コバット「まぁまぁ、いいじゃないか。キミも慣れなよ!!」
コバットは基本的に俺以外の人間とは絶対に喋らないが、相手が悪魔や宇宙人、獣人などそれ以外の者には自ら話しかけたりする。
コバット「それより彩果、この先にあるコンビニで何か買ってきてくれないかな?お腹が空いたんだよね!」
コバット「”焼き鳥”以外、何でもいいからさ?」
彩町彩果「ああ、いいぞ。俺もちょうど小腹が空いた所だからな?パンでいいかな!?」
コバット「もちろん!」
シラコバトであるコバットは”元”人間だから、”焼き鳥”以外ならどんな食べ物でも普通に食べれる。
ちなみにこいつは焼き鳥が何故ここまで嫌いなのかというと、魔界にいた頃に例の魔女にシラコバトに変えられた後、
火の魔法を使って”焼き鳥”扱いされた事で嫌な思いをし、それが今でも酷く根に持っているようだ──!!
彩町彩果(なのでこいつの前で焼き鳥という言葉は完全に”禁句”であり、それを口にした者には魔法で容赦なく殺される・・・)
彩町彩果「さて、俺はおにぎりかサンドイッチのどっちかにしようかな?」
コバット「うん。楽しみにしてるよ、彩果!」
彩町彩果「おう!」
彩町彩果「よーし、ちゃっちゃと買ってきますかね!!」
〇見晴らしのいい公園
コンビニで買い物を済ませた俺達は近くの公園に足を運び、そこで買ったものを食べていた。
コバット「ふぅ・・・、美味しかった。ありがとう、彩果!」
彩町彩果「おう、気にするな!」
彩町彩果「こっちも少しはお腹が楽になったからな!!」
彩町彩果「それにしても、本当にいい場所だよな!ここは・・・」
コバット「・・・ここはボクとキミが初めて出会った思い出の場所でもあるからね」
彩町彩果「うおっ!?よ、よく覚えてたなコバット?」
コバット「そりゃそうだよ。忘れるわけないじゃないか!!」
コバット「──それに、キミに救われた事だってボクは絶対に忘れないさ」
彩町彩果「・・・・・・」
彩町彩果(俺は小学生の時にこの公園で初めてコバットと出会った事や怪我している所を助けた事もしっかりと覚えている)
彩町彩果「確か魔界で起こった魔法使い同士による”大戦争”の途中で、お前は大怪我してたよな?あの時・・・」
コバット「そうそう。それをキミの”能力”によってボクの怪我を治してくれた事も覚えているよ」
彩町彩果「・・・で、その後に『キミはボクの恩人だ。これからもキミの”相棒”として協力させてほしい』って俺に頼んでたよな?」
彩町彩果「あれは今でも忘れないぜ」
コバット「・・・彩果、できればそれはあまり思い出させないでほしいな!?」
コバット「あれは正直、思い出したくもないから・・・」
彩町彩果「はははっ!悪い、悪い・・・」
俺達はこんなやり取りをしながら街の風景を眺めて楽しい時間を過ごしていた・・・。
俺には子供の頃から使える『彩脳(さいのう)』と呼ばれた”超能力”、そしてコバットは複数の魔法が使いこなせるのだ。
彩町彩果「これからもよろしく頼むぜ、”相棒”!!」
コバット「もちろんさ、”相棒”!」
コバット「さて・・・そろそろ帰ろうか、彩果!風邪をひいてしまうからね?」
彩町彩果「ああ、そうだな!!」
彩町彩果「──っ!?」
コバット「い、今の悲鳴は・・・!?」
彩町彩果「確かに聞こえた。・・・あっちからのようだ!!」
コバット「彩果、行ってみよう!」
彩町彩果「ああ」
俺とコバットは悲鳴が聞こえた方向へ走って向かうのだった──!!