第79話 月の女神(脚本)
〇病室
2021年 イリノイ州 ピオリア郡 ピオリア市内 総合病院 病室
鸞「··· ··· ···」
眠る彼女の部屋に男が一人。
男は笑んでいた
チョ・ヨンス「計画は狂ったけど仕方ないよね?こいつ始末すれば余計混乱するでしょ」
チョ・ヨンス「恋はいつだって『焦燥的』なんだから早い方がいいよね?そう、そうに決まってる」
男が銃を取り出し眠っている彼女に銃口を向けた時、ふとヨンスが外を見ると
外には『青々とした綺麗な満月』があった
しかしそれがいけなかった。月の光が人を狂わせた様に、満月の光を見たヨンスは
そこには居なかった一人の女を見つけてしまった
困惑しながら銃口を向ける中、女は右手を出しまるで『子供に言い聞かせる様に』ゆっくりヨンスに近づいた
チョ・ヨンス「なんだお前···何の能力者だ!?それ以上近づいたら撃つぞ!」
ルナ「怯えないで···ほら、こっちに頂戴?いい子だから···」
チョ・ヨンス「ちっ···『引き裂かれる想い!』」
ヨンスは女に能力を行使するが何故か能力は効いておらず、女は能力など『はじめから無い』かのような振る舞いで
一歩一歩ヨンスに歩み寄っていた
チョ・ヨンス「能力が···効かない?いや、この感じ···『能力の対象がいない』のか?」
ルナ「怖がらないで···さぁ···勇気をだしてその危ないのを私に渡して?」
しかしヨンスはその警告を無視し、銃口を鸞に向け1秒にも満たない時間女から目を逸らした瞬間
今まで2歩程先にいた女は僅か数cmの距離におり、ヨンスの銃を掴んでみせた
ルナ「しーっ···可愛い雛鳥が起きてしまうわ。この危ないのは貰っておくわね?」
すると銃は黒鉄の容姿からまるで『月の一部』になった様に石の容姿に変化し、ヨンスは思わず銃を落とした
床に落下した銃は本来のゴトッっという音ではなくゴンッという『大きめの石』を落としたかのような音を発した
驚きを隠せないヨンスを他所に女はゆっくり鸞に近づき、近くの椅子に座り鸞をじっと見つめていた
ルナ「本来なら私の雛鳥にこんなことをした貴方を私は、罰してあげなきゃいけない」
ルナ「でも分体といえど神、特定の人間に過干渉するのは禁止されているわ」
ルナ「こうやって人界に来ることも本当はダメだけど、神界が『混乱状態』に陥っている今だからどうにかできた」
ルナ「だから警告しておくわ『おサルさん』」
ルナ「『神の物に手を出さない事ね』」
突然の話に戸惑うも、自身を無理やり納得させたヨンスは今目の前にいるのが『神』と想定した上で話始める
チョ・ヨンス「貴女が神であるという話は信じ難いですが···そうであると納得出来る要素もあるので貴女が神と想定して話します」
チョ・ヨンス「俺達『恋愛敗者(ルーザーズ)』は···あれが正しかったのでしょうか?」
ルナは鸞を優しく撫でながら一言放った
ルナ「『知らないわよ』」
チョ・ヨンス「え···?」
ルナ「私は私と鶻くんと雛鳥しか興味無いもの、貴方の運命が合ってるかどうかなんてどうでもいいわ」
ルナ「それより早く出ていって?雛鳥が起きたら怖がっちゃうわ···」
神とは対話してはいけない。
神は身勝手でワガママである意味人間に似ている。だが人間以上に神は身勝手でワガママである
故に神は『人の理』を無視する。犬が言葉を話せても会話が成立しないように
神は人に『気を使わない』。人が虫に気を使わない様に
チョ・ヨンス「··· ··· ···빌어 먹을 ...(クソが)」
ヨンスはその場を去り、しばし静寂時間が流れる。
ルナ「立派になったわね雛鳥···こんな傷だらけでも戦うなんて···」
ルナ「雛鳥にも守りたいものがあるんでしょう···私じゃ力になれないけど、知恵を貸すことは出来るわ」
ルナ「『満月の日』に月に向かってお願いすれば夢で会えるわ、その時お話しましょう」
To Be Continued··· ··· ···