バッドエンドレディ~悪役令嬢がデスループから抜け出す方法~

桜海(おうみ)とあ

S2第2話(27) (脚本)

バッドエンドレディ~悪役令嬢がデスループから抜け出す方法~

桜海(おうみ)とあ

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〇黒

〇レンガ造りの家
ミレーユ「きゃああ! 離しなさい!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「ミレーユ! 逃げろ!」
ミレーユ「う!!」
ツヴァイ「くはは! 聖女様のご登場とはな!」
ミレーユ「離しなさい!」
ツヴァイ「暴れんな!」
ツヴァイ「その腕切り落とすぞ」
ミレーユ「・・・」
アインス「王太子。取引をしよう」
アインス「この屋敷の中に、リアリナ・シャルルドグレイがいるだろう」
アインス「そいつを差し出せば、聖女の命は奪わない」
ミレーユ「・・・!!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「なぜ、リアリナの命を狙う?」
アインス「そうさせているのは、お前たちだ」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「どういうことだ?」
アインス「丘の上に厩舎がある。 そこで1時間後、落ち合おう」
アインス「グレイ家の娘と交換だ」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「そんな取引は応じられない」
ツヴァイ「はあ? 何言ってんだ!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「これは王家の命令だ。 今すぐ、ミレーユを離せ」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「従わないなら、貴様らを力づくでも、この国から追放する」
ツヴァイ「力づく?  従者で生きているやつなんかいねえのに?」
ツヴァイ「それとも何か? 細腕の王子様が俺たちをねじ伏せるつもりか?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「ああ、それも致し方ないな」
ツヴァイ「ったく、荒っぽい王子様だな」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「っぐ!! なんて力だ!」
ツヴァイ「くくくっ。殺っちまうぞ?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「く・・・そ・・・」
アインス「ツヴァイ。その辺にしておけ」
ツヴァイ「っは。ああ・・・」
アインス「1時間後だ」
アインス「聖女を救いたいなら、リアリナを連れてこい」
アインス「この国の王子なら、この国のために最善の行動をとると願っている」

〇レンガ造りの家

〇豪華な部屋
スタンスラス・ブラン・エレオノール「くそ! 一体どうすれば!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「私が行くわ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「元々、私を狙ってるんだもの。 ミレーユを犠牲にはできないわ」
テオフィル・ベフトン「なりません! ・・・うっ!!!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「テオ! 傷が深いの!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「安静にしてなくちゃ」
テオフィル・ベフトン「私が、あいつらを・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ「きゃあ! テオ! しっかり」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「今、動けば、死ぬぞ」
テオフィル・ベフトン「それでも・・・リアリナ様を行かせるわけには!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「その気持ちは買ってやる」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「だが、今の状態ではお荷物でしかない」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「ベッドに戻れ」
テオフィル・ベフトン「お願いです! 殿下!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「・・・なら知恵を貸せ」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「先ほどの男たちを、どう見る?」
テオフィル・ベフトン「・・・彼らの剣には、聖痕が刻まれていました」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「聖痕。では彼らの剣はデビルハンターのものなのか」
リアリナ・シャルルド・グレイ「デビルハンターの剣(つるぎ)?」
テオフィル・ベフトン「悪魔を殺すために、聖女の力を込めた剣のことです」
テオフィル・ベフトン「聖なる力が込められた剣には、聖痕が刃に刻まれるのです」
テオフィル・ベフトン「聖痕が刻まれた剣を手にできるのはデビルハンターのみ」
テオフィル・ベフトン「おそらく彼らは、リアリナ様を悪魔の果実を食べた人間だと考えているのかもしれません」
リアリナ・シャルルド・グレイ「私が・・・悪魔?」
テオフィル・ベフトン「もしそうなら、リアリナ様の命を狙いにきたことになります」
テオフィル・ベフトン「悪魔を殺すには、聖なる剣で首を刎ねなければなりませんから」
リアリナ・シャルルド・グレイ「私を殺す理由は、私が悪魔だと思ったから?」

〇黒
  それなら、あの獣人たちの行動にも説明がつく
  デビルハンターは、悪魔の巣ごと殲滅させるという
  お父様たちを殺したのも
  私がおかしな行動をしようとして、焦って首を刎ねたのも
  ずっと追いかけてくるのも、
  悪魔の気配を追うことができるデビルハンターだからってことになる
  それに、ミレーユが犯人の線も消えたし
  でも、変よ・・・
  どうして私が悪魔だと勘違いされているの?

〇豪華な部屋
スタンスラス・ブラン・エレオノール「リアリナが悪魔なはずが、あるまい」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「誤った情報がデビルハンターに伝わっているのなら、」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「リアリナは悪魔ではないと納得させればいいのではないか?」
テオフィル・ベフトン「納得させることは、難しいかもしれません」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「どうしてだ?」
テオフィル・ベフトン「悪魔ではないと納得させるのは、そう簡単ではありません」
テオフィル・ベフトン「悪魔の果実を食べると、指先から腐っていくことで見分けることができますが」
テオフィル・ベフトン「聖水を飲み続けることで、悪魔に変わる症状を抑えることができます」
テオフィル・ベフトン「リアリナ様が本当に悪魔かどうか確かめるには、」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「首を刎ねるしかない?」
テオフィル・ベフトン「おっしゃる通りです。デビルハンターが悪魔だと思った人間は全員首を刎ねるのが鉄則」
テオフィル・ベフトン「今回は聖女の邸宅ということもあり慎重に事を運んだのかもしれません」
リアリナ・シャルルド・グレイ「つまりどっちにせよ死ぬのね!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「彼らに金や宝石を与えよう。 欲しいのなら貴族の称号を与えても構わん」
リアリナ・シャルルド・グレイ「無駄ですわ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「彼らは金や地位では靡きません」
リアリナ・シャルルド・グレイ「わたくしが、参ります」
テオフィル・ベフトン「なりません! やはり私が!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「また死ぬつもりなの?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「また?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「とととっ! とにかく!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「秘策がありますわ」

〇けもの道

〇森の中の小屋
リアリナ・シャルルド・グレイ「・・・ここね」
アインス「逃げずに来たか、王子。 そしてリアリナ」
ミレーユ「リアリナ! スタン!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「約束通り、聖女を返してもらう!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「それじゃあ、行ってくるわ」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「待て! リアリナ!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「これは国のためだ。 聖女を死なせるわけにはいかない」
リアリナ・シャルルド・グレイ「わかってるわ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ちょ! ミレーユが見てるでしょうが」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「だからなんだ? こうして抱きしめることの何が悪い?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「で、でも」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「どうでもいい・・・」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「このまま。何もかもを失う覚悟でこの手を取れたなら、どれだけいいか」
リアリナ・シャルルド・グレイ「スタン?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「歯痒い。 どうして私は、こんなにも無力なのだ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「大丈夫、きっとうまくいくわ」
ツヴァイ「さっさとしろ!」
ミレーユ「きゃあ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「今生の別れを惜しんでは、ダメなのかしら」
リアリナ・シャルルド・グレイ「スタン。あとは頼んだわ!」
ツヴァイ「ほらよ!」
ミレーユ「スタン!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「!! 怪我はないか?」
ミレーユ「ええ。でも、リアリナが!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「大丈夫だ。もうすぐ、・・・くる」
ミレーユ「・・・くる?」

〇けもの道
リアリナ・シャルルド・グレイ「ぎゃ!!」
アインス「ひざまづけ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「展開早いわ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「わかっていたけれど!  もうちょっと夢みせてよね!」
ツヴァイ「????」
リアリナ・シャルルド・グレイ「バリーラムって動物をご存知?」
ツヴァイ「バリーラム?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「バリーラムの赤ちゃんって、とっても可愛いのよ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「でも決して触れてはいけないの・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ「触れたら、どうなるのか」
リアリナ・シャルルド・グレイ「あなたのジャケット・・・ 今、どこにあるのかしら?」
「まさか・・・。 バリーラムの集団だあ!!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「走って!!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「逃げるぞ!」
ミレーユ「っきゃ!!」

〇木の上
リアリナ・シャルルド・グレイ「ふうー。全部通過したかしら」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「リアリナ!!」
ミレーユ「リアリナ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「スタン!!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ミレーユ、怪我はない?」
ミレーユ「ええ。ところで一体、何が起きたのです?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ミレーユ宅で戦った時に、あの二人組のジャケットが落ちていたの」

〇豪華な部屋
従者2「こちらでございますか?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「このジャケットの布切れをつけた餌を子供のバリーラムに与えてちょうだい」
従者2「はあ・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ「でも絶対触らないでね」
リアリナ・シャルルド・グレイ「触ったら、親のバリーラムに追いかけられるのは、あなたになってしまうから」
従者2「ひ!!!」

〇けもの道
ミレーユ「つまり、バリーラムの子供に触れると、親が攻撃するという習性を使ってここまで誘導したのですか」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ええ! うまく行ったわね!」
ミレーユ「ありがとう! リアリナ!!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「こんなに離れているのに追いかけてくるとは、バリーラムの嗅覚は何と恐ろしい」
リアリナ・シャルルド・グレイ「そのおかげで、逃げられたわ!  もう安心ね!」
アインス「何が安心なのだ?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「!!!」
ツヴァイ「残念だったな!」
アインス「さて、仕切り直しとしようか」
リアリナ・シャルルド・グレイ「きゃああ!」

〇黒
  ──

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