14むらむら『悲喜劇のおわり』(脚本)
〇文化祭をしている学校
──数日後──
〇小劇場の舞台
〇舞台袖
宇多邑 苑江「いよいよ本番だね」
宇多邑 苑江「みんなで楽しもう!」
「おーっ!」
宇多邑 苑江「全員立ち位置について!」
壱邑 一貴「中邑!」
中邑 ゆうり「いっちー?」
壱邑 一貴「天邑が枝村先輩連れて観に来てるぜ。 それに、水縹先生も」
中邑 ゆうり「ほんと?」
中邑 ゆうり「よし、良いとこ見せなきゃ!」
壱邑 一貴「照明は任せろ! 頑張れよ!」
仲村 柊「ゆうり」
中邑 ゆうり「柊、どしたの?」
中邑 ゆうり「緊張してるの〜?」
仲村 柊「ラストシーンでアドリブ入れるから」
中邑 ゆうり「はあっ!?」
仲村 柊「宇多邑先輩に許可はもらった」
中邑 ゆうり「ラストのどこ!? どんな台詞!?」
仲村 柊「それは本番のお楽しみ」
仲村 柊「じゃ、よろしく〜」
中邑 ゆうり「本番直前に何考えてんの・・・!?」
〇小劇場の舞台
〇小劇場の舞台
〇小劇場の舞台
〇魔界
〇魔界
中邑 ゆうり「『今こそあれを書く時だわ。子供の頃、人間界で拾ったあの本──!』」
中邑 ゆうり「『"終活魔王のエンディングノート"!!』」
〇黒
〇洋館の玄関ホール
中邑 ゆうり「『嫌!! もう嫌!! もうやめて──』」
仲村 柊「『エリゼ!!』」
中邑 ゆうり「『・・・ッ』」
仲村 柊「『ごめん、来るのが遅くなって』」
中邑 ゆうり「『ううん、ルカードは悪くない。私が悪いの』」
仲村 柊「『ごめん・・・』」
仲村 柊「『きみに、剣を向けて──』」
中邑 ゆうり「『そっか・・・』」
中邑 ゆうり「『終わらせてくれるんだね。あなたの手で』」
中邑 ゆうり「『本当はね』」
中邑 ゆうり「『子供の頃から、初めて会った時から・・・』」
中邑 ゆうり「『あなたに惹かれていたの』」
中邑 ゆうり「『私の、勇者様・・・』」
中邑 ゆうり(あとは姫抱きされて退場・・・)
中邑 ゆうり(・・・ん?)
中邑 ゆうり(遅くない!? もしかして柊、台詞飛んだんじゃ──)
仲村 柊「『エリゼ』」
仲村 柊「俺も・・・」
中邑 ゆうり(・・・台本と違う?)
中邑 ゆうり(アドリブってこれか! 何を言うつもり?)
仲村 柊「子供の頃から、初めて会った時から・・・」
仲村 柊「ずっと、ずっと・・・」
仲村 柊「きみに惹かれていたんだ」
仲村 柊「俺だけの、魔王さま──」
中邑 ゆうり(いま、キッ、キス──)
仲村 柊「バカ、目閉じてろ!!」
中邑 ゆうり(呪いが・・・)
中邑 ゆうり(キスしたから、解けた・・・?)
中邑 ゆうり(・・・っと、いけない)
中邑 ゆうり(芝居に集中しなきゃ)
仲村 柊「『皆、聞けッ!!』」
仲村 柊「『魔王ヴィエリゼ・レイヤール・ヴァンダドラルは、俺が討ち取った!!』」
仲村 柊「『この戦い──俺たち人間の勝利だ!!』」
演劇部員B「『討ち取ったって、そんな──』」
仲村 柊「『魔王の亡骸を部屋に安置してくる──』」
(・・・先輩たち、今キスしてなかった!?)
〇舞台袖
演劇部員B「え・・・『エリゼ・・・嘘でしょ!?』」
演劇部員D「『ハハハッ!! 魔王を隷属させることは失敗してしまったけれど、とても面白い物が見られたよ』」
演劇部員B「『貴様ッ──!!』」
「・・・・・・・・・」
中邑 ゆうり「さっきのは何?」
仲村 柊「後で説明するから」
中邑 ゆうり「今しろ!!」
仲村 柊「うるさい、本番中だぞ」
中邑 ゆうり「苑江先輩がキスシーン提案した時は、ルカードのキャラと合わないとか言ってたのに!」
仲村 柊「いいだろ別に!」
中邑 ゆうり「だいたい何であのシーンなの? ラストじゃないじゃん!」
仲村 柊「〜〜〜〜ッ」
仲村 柊「キスしたくなったからしただけだ!!」
中邑 ゆうり「は・・・?」
中邑 ゆうり「はぁあ〜!?」
〇屋敷の書斎
中邑 ゆうり「『エンディングノートに書いた願い事を、全部クリアするのは難しいと思うの』」
仲村 柊「『どうして?』」
中邑 ゆうり「『だって、あなたとしたい事、話したい事がありすぎて、いくら時間があっても足りないんだもの──!!』」
中邑 ゆうり「『大好きだよ、ルカード!!』」
〇小劇場の舞台
宇多邑 苑江「花ノ森高校演劇部、文化祭公演『終活魔王のエンディングノート』にご来場いただきありがとうございました」
宇多邑 苑江「よろしかったら、お手元のアンケート用紙にご記入をお願いいたします」
宇多邑 苑江「本日は誠に──」
演劇部全員「ありがとうございましたーっ!!」
宇多邑 苑江「2人とも、アドリブよかったよ」
宇多邑 苑江「じゃ、私は客席に挨拶行ってくるから〜」
「・・・・・・」
仲村 柊「・・・えーっと」
中邑 ゆうり「柊・・・」
仲村 柊「な、何・・・?」
中邑 ゆうり「私が"むらむら"しそうなこと言ってみて?」
仲村 柊「え? 何で・・・」
中邑 ゆうり「いいから!」
仲村 柊「そもそも何に"むらむら"するんだ?」
中邑 ゆうり「早く!」
仲村 柊「可愛い!」
中邑 ゆうり「ほっ、他には?」
仲村 柊「ずっと一緒にいたい」
中邑 ゆうり「・・・ほんと?」
仲村 柊「本当」
仲村 柊「お前の隣にいるのは俺がいい。 俺だけがいい」
中邑 ゆうり「柊・・・」
仲村 柊「ずっと一緒に────」
枝村 誠「2人ともお疲れさま!!」
「うわぁっ!?」
中邑 ゆうり「枝村先輩!」
枝村 誠「すごくよかったぞ!」
天邑 遥斗「先輩! 邪魔しちゃダメですって!」
枝村 誠「邪魔? 何のだ?」
枝村 誠「俺はただこの溢れる感動を 伝えようと──」
天邑 遥斗「それはアンケート用紙に書けばいいんです! 行きますよ!」
枝村 誠「待て、2人と写真を──」
天邑 遥斗「今はダメです! いいからこっち来てください!」
中邑 ゆうり「・・・行っちゃった」
仲村 柊「ゴホン」
仲村 柊「えーとだな・・・」
仲村 柊「とにかく、これからもずっと 一緒にいてほしい!」
中邑 ゆうり「う、うん」
仲村 柊「幼馴染みとしてじゃなくて──」
仲村 柊「その・・・恋人として」
中邑 ゆうり「柊・・・」
仲村 柊「・・・・・・」
中邑 ゆうり「柊?」
仲村 柊「変身しないな」
中邑 ゆうり「え?」
中邑 ゆうり「まさか今までの告白、全部嘘!?」
中邑 ゆうり「そりゃ私から"むらむら"しそうなこと 言えって云ったけど──」
仲村 柊「嘘じゃない! けど、どうして・・・」
中邑 ゆうり「どうしてって、 呪いが解けたからに決まってるじゃん」
仲村 柊「だって、呪いを解くには好きな人と──」
中邑 ゆうり「つまり、そういうこと」
仲村 柊「ゆうり・・・」
中邑 ゆうり「──ていうか」
中邑 ゆうり「確信があって 私にキスしたんじゃないの!?」
仲村 柊「声が大きい!!」
仲村 柊「そうだったらいいな・・・と 思ってたけど、自信はなかった」
中邑 ゆうり「それでよくアドリブ入れたね」
仲村 柊「結果オーライだろ?」
中邑 ゆうり「まぁね」
仲村 柊「・・・俺は勇者じゃないから」
仲村 柊「片腕を犠牲にしてまで絶対に守るとか、 そういったことはできないけど」
仲村 柊「それでも」
仲村 柊「お前が笑う時、泣く時、 怒る時、喜ぶ時・・・」
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えっ、待ってw w w w w
イッチーどうなっちゃうんですかw w w w w
まさか最後の最後であの仏が出てくるとはwwwww
誰かイッチーに春を!!!!!w w w w w
完結おつかれさまでしたー🙌
インパクト絶大な初回から、毎回ずっと笑いの熱量とドキドキ感を維持、いや増進された内容で✨
ラストまでネタにされオチに使われるいっちー、不憫すぎて大好きです😂
本当に素敵なお話をありがとうございました😊
完結おめでとうございます🙂
まさかの思い切ったアドリブ公開告白&接吻!
枝村くんのKYさ可愛いですね……(笑)。
「直接伝えなきゃ!」「いや、アンケートに書けばいいんですよ!」は正論……!
水縹先生、もう確信犯で仕掛けているのでは……(笑)。ラスト、逃げたとしか見えな…ゲフ。
そして、根菜よか身動き取れないわ人が運べないわで不便すぎるまさかの地蔵化に壱邑氏……!?😭
地蔵スピンオフ……!