ルーリァンティア 刻限の歌姫と七虹の舞姫

輝月レイヤ

第3話「不穏」(脚本)

ルーリァンティア 刻限の歌姫と七虹の舞姫

輝月レイヤ

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〇荒廃した教会
  ──とある場所・・・
  『・・・何、私に『アレ』を渡せと?』
  『・・・はい──』
  『・・・』
  『お前・・・今回で何回目だ?』
  『そ・・・それは──』
  『──様、何を!?』
  『・・・消えろ──』
  『ぐはぁ!?』
  その者は、跡形も無く消え去った。
  『・・・さて、今宵も『我が名に』相応しいほどに美しい夜だ──』

〇道場
  王都オルフォード、ランファ道場
  無詠唱なら魔術が使えるかも──と言われたラレシィエンヌは
  無詠唱魔術ならお任せあれと言われている『聖響騎士団・聖水隊・隊長』であるシュイ・ランファのもとにやってきて
  只今『攻撃に魔力を込める練習』を教わっていた
ラレシィエンヌ「『でやぁ!』」
シュイ・ランファ「甘い!」
ラレシィエンヌ「『避けられた!?』」
シュイ・ランファ「隙あり!」
ラレシィエンヌ「『しま・・・』」
ラレシィエンヌ「『あぁー・・・。またやられた・・・』」
シュイ・ランファ「・・・」
ラレシィエンヌ「『どうしたんですか先生?』」
シュイ・ランファ「いやぁ、ナハトがこんな可愛い子を連れてきた時は彼女──て、思ったよ」
ラレシィエンヌ「『か・・・彼女!?』」
シュイ・ランファ「違うの?」
ラレシィエンヌ「『ち・・・違いますよ!』」
シュイ・ランファ「ふふ。可愛い──」
ラレシィエンヌ「『もうぉ、先生ってば──』」
シュイ・ランファ「ハハハ!ごめんごめん──」
ラレシィエンヌ「『まったく──』」
ラレシィエンヌ「『・・・』」
シュイ・ランファ「急に黙り込んで、どうかしたのですか?」
ラレシィエンヌ「『いやぁ、ナハトさんが来るのが遅いなぁって思って』」
シュイ・ランファ「ああ、あの子なら今──」

〇英国風の図書館
  王都オルフォード、王立図書館──
エアリィ・クロムウェル「・・・」
  『あの・・・エアリィ様?』
エアリィ・クロムウェル「どうしたの?」
  『お客様が来ておられますが・・・』
エアリィ・クロムウェル「お客様?」
エアリィ・クロムウェル「ああ──。今、本を読むのに集中しているから、適当にあしらっといて──」
  『それが・・・来ていらっしゃる方がナハトが来た──と、伝えてくれと・・・』
  エアリィは、読んでいた本を床に落とした。
エアリィ・クロムウェル「ナ・・・ナハト!?」
  『どうなされますか?』
エアリィ・クロムウェル「どうなさいますか何も、早く通しなさい!」
  『畏まりました──』
エアリィ・クロムウェル「・・・」
エアリィ・クロムウェル「ど・・・どうしましょう・・・」
エアリィ・クロムウェル「ナハトが来てしまう・・・」
エアリィ・クロムウェル「髪、乱れてないかな?」
エアリィ・クロムウェル「服、汚れてないかな?」
エアリィ・クロムウェル「ああ〜どうしましょう──」
ナハト「エアリィ──」
エアリィ・クロムウェル「きゃー!」
ナハト「うわ!」
ナハト「び・・・びっくりした」
エアリィ・クロムウェル「ナ・・・ナ・・・ナハ──」
ナハト「・・・」
ナハト「仕方がないな──」
ニュイ「・・・エアリィ──」
ニュイ「起きなさい──」
  ニュイは、気絶したエアリィを起こす。
エアリィ・クロムウェル「ん~~──」
エアリィ・クロムウェル「・・・」
エアリィ・クロムウェル「・・・」
エアリィ・クロムウェル「ニュイ!?」
ニュイ「何故貴女は、私がナハトの時に毎回気絶するんですか?」
エアリィ・クロムウェル「そ・・・それは──」
  『それはエアリィがナハトの事が好きだからですよ!』
  エアリィの契約聖獣がニュイに事の真相を伝える。
エアリィ・クロムウェル「ちょ!?・・・トト!?」
ニュイ「・・・」
ニュイ「そう──ですか・・・」
エアリィ・クロムウェル「うぅぅ・・・」
ニュイ「・・・」
ニュイ「トト──」
  『・・・いらぬ事を言ってしまった──』
  『すまぬエアリィ・・・』
エアリィ・クロムウェル「本当ですよ!・・・まったく──」
エアリィ・クロムウェル「ふぅー──」
エアリィ・クロムウェル「さて・・・」
エアリィ・クロムウェル「ところでニュイ」
ニュイ「はい?」
エアリィ・クロムウェル「何故ここにやってきたのですか?」
ニュイ「あぁーそれなんだけどね」
エアリィ・クロムウェル「うん──」
ニュイ「そろそろ私も生徒に授業しなきゃなんだけど・・・」
ニュイ「何を教えればいいか分からなくて・・・」
エアリィ・クロムウェル「・・・」
ニュイ「・・・何でそんな顔するの?」
エアリィ・クロムウェル「いやぁだって」
エアリィ・クロムウェル「『四術』を全て極めた貴方でも悩む事、あるんだなぁ〜って思って・・・」
ニュイ「そりゃ〜あるよ!こっちは真剣に悩んでるの!」
エアリィ・クロムウェル「あ!・・・ごめん。そんなつもりじゃ・・・」
ニュイ「まったく──」
ニュイ「さて──」
ニュイ「参考書ってある?」
エアリィ・クロムウェル「参考書?・・・何の?」
ニュイ「何のって、何を教えればいいかの参考書──」
エアリィ・クロムウェル「!」
ニュイ「何そんなに驚いてるの?」
エアリィ・クロムウェル「・・・だって、本気でそんな参考書あるって信じているから──」
ニュイ「無いの!?」
エアリィ・クロムウェル「ありません」
ニュイ「えぇ~・・・」
エアリィ・クロムウェル「まぁ〜参考書は無いけど、私からのアドバイスで──」

〇闘技場
  数日後──
  『今日は今まで習った事を活かさなきゃな!』
  『あぁそうだな!』
  学生たちは、学園の先生、聖響騎士団隊長達から習ったことを活かすため、王都オルフォードの闘技場へとやって来た。
  『皆〜!集まったねぇ〜!』
  ニュイは時空間魔法でその場にやって来た。
ニュイ「おはよう皆!」
  ニュイが来た途端、学生たちは再び騒ぎ出した。
  特に男子が──
  『おい、あの人って──』
  『ひゃっほー!ニュイ様だ!』
  『ニュ〜イ様!ニュ〜イ様!』
  男子たちの様子を観ていた女子学生学生たちは呆れていた。
  『男子って、単純ね──』
  『でも、ニュイ様の容姿端麗な姿は、認めざるをえないわね──』
  『まぁ、確かに──』
ニュイ「は~い、皆。静かにしてね──」
ニュイ「今日皆に来てもらったのは他でもない──」
ニュイ「騎士団隊長に習ったことをどう活かすかの試験です」
ニュイ「尚、試験エリアはそれぞれ──」
ニュイ「森林エリア」
ニュイ「火山エリア」
ニュイ「水上エリア」
ニュイ「砂漠エリアの4つです」
ニュイ「試験開始後、皆さんはランダムに各エリアに飛ばされます」
ニュイ「そこで皆さんには、各エリアのエリアマスターと戦っていただきます」
ニュイ「ほら皆、そんなに騒がないの!」
  『でもニュイ様?』
ニュイ「どうしたの?」
  一人の生徒が質問してきた。
  『各エリアごとにエリアマスターが居るのはわかりますが、いったい誰がエリアマスター何ですか?』
  ニュイはその質問に対して、少し笑いながら答えた。
ニュイ「それは──行ってみてのお楽しみということで」
ニュイ「はいはい皆さん。静かにね──」
ニュイ「・・・それでは皆さん──」
ニュイ「試験開始!」
  生徒達は全員、魔法陣によって各エリアにランダムに飛ばされた。
ニュイ「・・・」
ニュイ「さて──」
ニュイ「私も、現地に就くか──」

〇溶岩池のある洞窟
  数時間後、火山エリアにて──
  『き・・・聞いてないぞぉ!?』
  火山エリアに飛ばされた生徒達達は、そこにいるエリアマスターに驚愕していた。
  何故なら──
アレイスター・ニューワルド「そこ、隙あり!」
  『うわあー!?』
  『何故貴方が、ここに居るのですか、アレイスター様!?』
アレイスター・ニューワルド「何故って、ニュイに『エリアマスターの件、宜しく』・・・て、言われたから・・・」
  『・・・』
  『ニュイ様のバカヤロー!?』

〇海
  一方、他のエリアでも似たような事が起きていた。
  水の上に立てるよう生徒達は自身に『耐水魔法【アンチウォーター】』の魔法を付与していた。
  だが、魔法をかけたのも束の間、一筋の斬撃が飛んできた。
  『な・・・何だ!?』
  突然飛んできた斬撃に驚く生徒達。すると遠くから水しぶきを上げながら走ってくる女性がやって来た。
  その女性は、走りながら鞘にしまった刀の柄を掴み、居合の構えをした。
  その様子を見た生徒達は驚きながら、そして怯えながらこう呟いた。
  『や・・・やばい──』
  『大技が来るぞ!』
  『皆、にげ──』
ラフィリア・ラ・メール「遅い──」
ラフィリア・ラ・メール「天の一閃【あめのいっせん】」
  『うわあー!?』
  彼女の一振りの斬撃でその場に居た生徒達達は、次々と倒れていった。
  間一髪助かった生徒達は、その光景を見て、逃げ惑う。
  だが、それを見逃さないラフィリア──
ラフィリア・ラ・メール「さぁ〜、もっと斬らせて──」
  『に・・・逃げろぉ〜!?』
  『戦闘狂から、逃げろぉ〜!?』

〇砂漠の基地
  砂漠エリアでは──
リアン・デュ・デスタン「み・・・皆ごめんよぉ・・・」
  『ううう・・・』
  彼が使った地魔法によって作り出された流砂に捕まった生徒達。
リアン・デュ・デスタン「ごめんよぉ~。手加減はしたんだけど、ニュイに頼まれたから──」
  『・・・ニュイ・・・様の・・・バカ・・・ヤロー──』
リアン・デュ・デスタン「うう──。本当にごめんよぉ・・・」

〇密林の中
  一方森林エリアでは──
  『もうそろそろエリアマスターが居る辺りに着いたと思うんだけど・・・』
  一人の生徒が生い茂っている草木をかき分けながら進んでいると、突如草木が勢いよく生えた。
  『うわ!?・・・な・・・何だ!?』
  生徒達は間一髪避けた。
  すると何者かが近づいてきた。
  するとそこに現れたのは──
アン・フィニシュド「今の私の促進魔法が避けられるんなんて、君たち・・・凄いね」
  『あ・・・貴女は──』
  『・・・誰?』
アン・フィニシュド「え!?」
  アンは生徒達に言われた一言でずっこけそうになった。
アン・フィニシュド「・・・」
  『あの・・・貴女は?』
  生徒達に言われた一言でアンは、少し悲しみながら名乗った。
アン・フィニシュド「・・・どうせ私は四神将としては新米ですよ──」
  『し・・・四神将!?』
  アンの一言で生徒達は驚愕。
  それもそのはず
  四神将とは、「魔術・技術・武術・学術」の4つそれぞれを極めた者に与えられる称号であり、
  アンはそのうちの一つ「魔術」を極めた者に与えられる『魔神』の称号を待っている。
  先日アンは、前任サーシャ・リゴレットからその『魔神』の称号を受け継いだばっかりなので、あまり周囲には知られていない・・・
  『て・・・ことは、貴女は、サーシャ・リゴレット!?』
アン・フィニシュド「違う!──サーシャ・リゴレットは私の前任」
アン・フィニシュド「私は四神将の一人、『魔神』のアン・フィニシュドです!」
アン・フィニシュド「因みに君たちが探しているエリアマスターは、私です」
  『て・・・ことは、今が攻撃のチャンス』
  『この好機を逃すな!』
  『皆、一斉に攻撃だ!』
アン・フィニシュド「フフ」
  アンは、自分に対して攻撃してくる生徒達を見て笑った。
  そして一言つぶやく。
アン・フィニシュド「もう遅いよ。君たち自分達の足元を見てご覧よ」
  『足元?・・・』
  『うわ!?』
  生徒達は、アンがいつの間にか放って作っていた魔法『木の根っこの輪』で一斉に転んだ。
アン・フィニシュド「さぁ、私について来れるかな?」
  『は・・・早い──』
  『ま・・・待てー!』
  生徒達は身体を起こし、その場を離れていくアンを必死に追いかけた。

〇諜報機関
  ──一方その頃、ニュイは、母が居る諜報部隊のモニター室で試験の映像を見守っていた。
ミシェラ「どうニュイ。目ぼしい子は居る?」
ニュイ「あ、母様。居らっしゃったんですね」
ニュイ「さすがは元暗殺者。気配を消すのが上手いですね!」
ミシェラ「フフ。ありがとう」
ミシェラ「それよりもニュイ?」
ニュイ「はい?」
ミシェラ「目ぼしい子は居る?」
ニュイ「目ぼしい子・・・ですか」
ニュイ「うーん、そうですね」
ニュイ「しいていうなら」
ニュイ「あのモニターに映っているのですかね」
ミシェラ「あのモニター・・・」
  ミシェラがそのモニターを見るとそこに映っていたのは──

〇荒廃した市街地
ラレシィエンヌ「!!」
  ラレシィエンヌは、シュイの道場で習った事を活かし、自身の拳術と脚技に魔術を付与してモンスター達と闘っていた
  その様子を観ていた同級生たちに、感心な目で見られていた。
  『す・・・凄い──』
  『あの子・・・凄い──』
  だが、そんなラレシィエンヌを見て快く思わないやつが一人──
ニヒト「ぐぬぬ・・・。あいつ目立ちやがって──」
ニヒト「こうなったらこいつを使うしかない──」
ニヒト「この『魔族因子』を俺が『奴隷【テイム】』したコイツに──」
  『グギャァー!!』
  ──次回に続く・・・

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