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夏目心 KOKORONATSUME

7 さらば明石(脚本)

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〇オフィスのフロア
  明石さんが妙な暴走を起こしてから数日後。今日の俺はとある悩みを抱えながら夏目グループに赴いた。
青山純「お早うございます!浮島さんいますか・・・って、」
青山純「ありゃ?いないのか?宛が外れちゃった見たいだな・・・」
明石文雄「よぉ!誰かと思えば下請けの下っ端じゃ無いか!何しに来た?」
青山純「んげ、明石さん・・・あの、浮島さんはいないんですか?」
明石文雄「あん?部長なら社長室に行ってるが、代わりに俺が要件を聞いてやる・・・言って見ろ?」
青山純「いえ、大丈夫です・・・時間を改めてまた来ますから・・・」
明石文雄「何だ何だ?この超エリートの俺様が信用出来ないってか?良いから話して見ろ!」
青山純「(だから不安なんだよ・・・まぁ、このまま逃げても迫って来そうだし、仕方無いか・・・)」
青山純「あの、実はなんですけど、内で取り扱ってるAIチップを作成してる職員が利き手を怪我してしまい、AIチップの作成に」
青山純「支障をきたしてしまっているんです・・・」
明石文雄「へぇ、職員がトラブルか・・・それで?」
青山純「現段階ではこのままAIチップを作成する事は困難となってしまうので、代替案を出すか、別の方からAIチップの作成依頼を」
青山純「したいと考えているんですが・・・」
明石文雄「何を言っているんだ?無理してでも作らせろ!」
青山純「は、はぁ!?何言ってるんです!?作成者は作れないと言っているんですよ!?」
明石文雄「馬鹿かお前?人に頼まれた事があれば怪我してようが病気だろうがどんな事をしてもやり抜くのがプロってもんだろ?」
明石文雄「怪我したとか風邪引いたとか小学生じゃあるまいし、頼まれた事なら命に代えてでもやれって言っているんだ!」
青山純「・・・!それ、本気で言ってます?」
明石文雄「当たり前だ!今直ぐそいつにAIチップを作れって言ってるんだ!それが出来ないなら契約は全部打ち切りにしてやるからな!」
青山純「・・・あなたの言いたい事は良く分かりました・・・」
明石文雄「お、おい!どこに行くんだよ?おい!!」

〇豪華な社長室
明石喜一「ふむ、なるほどな・・・」
浮島翔子「これが私から話せる全ての事です・・・明石君は約束事を疎かにしてる傾向が強く、仕事に対しても不真面目と言うか・・・」
明石喜一「そうか・・・それは苦労を掛けてしまったな・・・」
神崎彩葉「社長、あたしに至ってはほぼ毎日の様にしつこく迫られて困ってるんです・・・叶うなら、どこか別の部署に」
神崎彩葉「異動出来たらと思いまして・・・」
明石喜一「なるほどな・・・君達の言いたい事は良く分かった・・・」
明石喜一「ん?誰だ?入りたまえ!」
青山純「失礼します!社長さんはいらっしゃいますか?」
明石文雄「おいこら下っ端!ここはお前の様な奴が来て良い場所じゃ無い!」
浮島翔子「え?ちょ!何してるのあなた達!?」
明石文雄「あぁ部長!こいつ勝手にここにズケズケと入って来て!」
青山純「社長さんとどうしても話したい事があります!社長さんに会わせて下さい!」
明石喜一「おいおい!私ならここにいる・・・落ち着きたまえ、何があったのだ?」
明石文雄「あぁ!父さん!父さんからも言ってくれよ!」
明石喜一「先ずは落ち着け・・・一体どうしたと言うのだ?」
青山純「・・・明石社長ですね?突然押し掛けてしまった事は謝罪します・・・」
明石喜一「それは良い、一体どうしたんだい?」
青山純「本日を持ちまして、我々夏目工房は夏目グループとの契約を全面的に破棄させて頂く事と致します・・・」
明石喜一「な、何!?どう言う事だね!?」
青山純「先程、ここにいる明石さんにこちらの事情を説明した際に、明石さんは内の職員が怪我をしているにも関わらず、」
青山純「怪我を押してでも部品を作れと申されました・・・」
明石喜一「何!それは本当か文雄!?」
明石文雄「ち、違うんだ父さん!俺は只、どんな状況でもプロならやって見せろって言っただけで!」
青山純「内の職員が負った怪我は1日2日で治る規模ではありません・・・それにも関わらず明石さんは無理してでも部品を作れって」
青山純「言って来たんです・・・」
浮島翔子「ちょっと明石君!あなた何て事を!」
明石文雄「あぁ!だから違うんですってばぁ!!」
青山純「こんなパワハラ染みた事を言う様な人がいるなら、こちらとしてはこれ以上の取引は意味が無いと断定しました・・・」
青山純「ですので、取引は今日までとさせて頂きます・・・」
明石文雄「いやいやいや!ほら!どんな状況でも頼まれた事なら絶対にやり遂げる!それがプロって物でしょ!ね?ね!」
明石喜一「馬鹿者!!」
明石文雄「ひぃ!と、父さん!?」
明石喜一「文雄お前、何て馬鹿な事をしてくれたんだ!!」
明石文雄「え?父さん?何をそんなに怒って・・・」
明石喜一「夏目工房のAIチップは、そこらの企業では取り扱って無い程の質の良い部品を取り扱って作成しているんだ!」
明石喜一「内で仕事をしているのにそんな事も知らないのか!?」
明石文雄「え、えぇ!?」
浮島翔子「全く、前から話してたのに覚えて無い訳?」
明石文雄「え?どう言う事?」
浮島翔子「夏目工房の製品はどれも精錬された物ばかりよ・・・AIチップには学習能力があるのは勿論、メモリーパックの量量も」
浮島翔子「他とは比べ物にならないわ・・・内の商品が売れてるのは紛れも無く夏目工房との取引があってこそよ・・・」
浮島翔子「もうずっと話してる事じゃ無い・・・」
明石文雄「は、はぁ・・・」
明石喜一「その夏目工房との取引が出来なくなったら我々は主力商品の一つを失い、会社の業績が著しく下がる事になるのだぞ・・・」
明石喜一「もしそうなったら、お前はどう責任取るつもりだったんだ!?」
明石文雄「え、えぇ・・・だ、だってこいつ夏目工房から来てるのは知ってたけど、タカが下請けがそんな重要な仕事してるなんて・・・」
浮島翔子「全く呆れたわね・・・神崎さんに現を抜かして、大事な事が見えて無いのね・・・」
明石文雄「ぶ、部長?」
浮島翔子「仕事場ってのは誰かに感謝されるから仕事場なの・・・ナンパする様な場所でも無いわ・・・」
明石喜一「文雄、現時点を持って命令を下す・・・お前を田舎の部署への左遷を命ずる!」
明石文雄「えぇ!?何でそんな!俺は社長の息子で一流大卒の超エリートなんだぜ!その俺がいなくなったらどうなるんだよ!?」
浮島翔子「あなたはそう言う実績があるのは認めるけど、肝心の仕事が出来ないと意味無いし、人に迷惑掛ける様なら、」
浮島翔子「尚更いられても困るのよ・・・」
明石文雄「そ、そんなぁ!なぁ彩葉ちゃん!俺がいなくなったら嫌だよな!な!?」
神崎彩葉「・・・・・・」
明石文雄「おい!何か言ってくれよ!」
明石喜一「まぁ何がともあれだ・・・詳細は追って連絡するから、お前はもう下がれ・・・」
明石文雄「は、はい・・・」
明石喜一「全く、やれやれだな・・・」
明石喜一「工房職員の方・・・」
青山純「あ、はい・・・」
明石喜一「この度は内の職員、基私の馬鹿息子がとんでも無い事をしてしまいました・・・父親として恥ずかしい限りです・・・」
青山純「いえ、私は大丈夫です・・・」
明石喜一「文雄に対してはご覧の通り、厳重な罰を与えましたので、これで償ったと言えば聞こえは宜しいですが、」
明石喜一「先程の取引停止は、取り消しとさせて頂けませんか?ご事情がおありでしたら、一度お聞かせ下さい・・・」
青山純「・・・分かりました、夏目グループ様とは、ちゃんと取引を続けたかったので・・・」
明石喜一「良かった!ありがとうございます!今後は、我々もこの様な事が無い様に致しますので、再度宜しくお願いします!」
  明石さんと一悶着あったが、社長と浮島さん達が話し合った末に明石さんは左遷となり、俺はまた夏目グループと取引を
  継続。無事問題は解決したのだった。

次のエピソード:8 ばあちゃんの墓参り

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