50話 危険な悪役令嬢(脚本)
〇王妃謁見の間
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「・・・ふう〜。これで今日の分は終わりだよな」
エレエレ・テンテンポム「はい。お疲れさまでした。明日からは楽になると思います」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「明後日は週末だ。アゥルペロとまたテルヌンドの町を歩きたいな」
エレエレ・テンテンポム「そういえば、テツナさまとフィガロさまを屋敷にお呼びするように言っていましたよね?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ああ。あの情報屋によると、公爵令嬢がアゥルペロを殺そうとした時に使用した武器に神の力が使われているらしい」
エレエレ・テンテンポム「あの令嬢は一体なんなのでしょう。どうしてそこまでしてアゥルペロさまを?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「アゥルペロの話では、直接謝っても許してもらえなかったらしい。公爵令嬢の行いは度を越している」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(1度目の人生で悪役令嬢の語った前世では、アゥルペロは確かに悪役令嬢からキャラバスティンを奪った)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(命を狙ったり悪巧みをする悪女だったが、よくある黒魔術師だったとか悪役令嬢を殺したとかではない)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(命を狙ったこともお互いさまだし、なんなら悪役令嬢の方が先に命を狙っている)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(アゥルペロは悪役令嬢をただ断罪してキャラバスティンと婚約破棄させて、追放しただけだ。その後悪役令嬢は自滅して死んだはずだ)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(追放した先でアゥルペロが命を狙ったのか? いや、俺の知っているこの世界の原作──悪役令嬢転生ものの漫画では・・・)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(アゥルペロを娼館に入れた後の悪役令嬢は満足してワヌゥレンと婚約し、幸せになったはずだ)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(でも1度目の人生ではアゥルペロを娼館に入れて俺が助けに行った後に処刑している)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(もしかして、俺が記憶を思い出したからアゥルペロが死んでしまったのか? 俺のせいで悪役令嬢の殺意が上がっている?)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(いったいなぜ・・・)
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(断罪イベントを止めたから?)
エレエレ・テンテンポム「ルゥラッハさま、何か考え事ですか?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ああ。でも大丈夫だ」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「いいことを思いついた」
エレエレ・テンテンポム「はあ・・・?」
〇黒
〇王妃謁見の間
ルゥラッハさま、ご友人だと言う方々が来られています
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「この部屋に通してくれ」
テツナ・テカ「よおルゥラッハ。立派な屋敷だな! ビャラムのとこよりは小さいけど」
フィガロ・パズテカ「王宮と屋敷を比べるな」
フィガロ・パズテカ「我々が借りている屋敷よりは大きいな」
テツナ・テカ「媚びてんじゃねえよ」
フィガロ・パズテカ「何か言ったか?」
テツナ・テカ「別に〜」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「2人に相談があって呼んだんだ。夜遅くにごめん」
テツナ・テカ「気にするなよ。この時間帯ならいつも歩いてる」
フィガロ・パズテカ「夜くらいじっとしていればいいものを。監視役の私まで寝る間もなく出歩かなければならなくなる」
テツナ・テカ「説教うぜー」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「2人に見て欲しいものがあるんだ」
フィガロ・パズテカ「元気がないな、大丈夫か?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「大丈夫です」
フィガロ・パズテカ「これは・・・」
フィガロ・パズテカ「アゥルペロを狙うこの女は一体・・・」
テツナ・テカ「この女が持ってるナイフ──・・・」
フィガロ・パズテカ「何か見えるのか?」
テツナ・テカ「ああ。神の力が掛けられてるそれも強力な。お前には見えないのか?」
フィガロ・パズテカ「見えはしているがそこまで強力なものには見えないな」
テツナ・テカ「こんなのどうやって掛けたんだ? この女はテカから追放されたのか?」
フィガロ・パズテカ「この女の名前は?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「彼女はエウレット・ヘヌシアン公爵令嬢だ。アゥルペロを狙う俺の敵だ」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「たぶん、協力者にテカから追放された人がいるんだと思う」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「二人に協力して欲しいんだ。アゥルペロを守る力を貸して欲しい」
テツナ・テカ「安心してくれ。もちろん協力する」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ありがとう」
テツナ・テカ「ジジイはあのお嬢さんにまじないを掛けろ」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「ま、まじないってあの、き・・・キスのことだよな?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「いくらフィガロさまでもアゥルペロにそんなことをさせるなんて・・・」
フィガロ・パズテカ「すまないルゥラッハ。あの方法しかないんだ」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「うう・・・仕方ないですから」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「でもアゥルペロがいやがったら他の方法を考えてください!」
フィガロ・パズテカ「か、考えてみよう・・・」
テツナ・テカ「俺はルゥラッハにまじないを掛けてやるから安心しろよ!」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「い、いや俺は大丈夫だ、自分で守れる力くらい──」
テツナ・テカ「何言ってんだよ、このナイフならかすり傷でも重症になる。少し刺されただけで魂と肉体が粉々になる危険な力が掛かってるんだ」
フィガロ・パズテカ「一体誰がそんな力を・・・」
テツナ・テカ「そんな力を使えるテカ人を追放した覚えは?」
フィガロ・パズテカ「お前には悪いが・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(まさか、テツナが言っていた兄弟や友だちが?)
テツナ・テカ「あいつはそんなことしねえ!!」
フィガロ・パズテカ「・・・・・・。テカ人でないのなら、皇帝だろう」
テツナ・テカ「ルゥラッハ・・・」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「まああの皇帝ならやりかねないな。神の心錠が外れた今、あの皇帝は俺を殺そうと焦っているはずだ」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「公爵令嬢はテカのことを知っていると思う。彼女はテカの人を救おうとしたことがあるんだ」
テツナ・テカ「救う? この女が?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「うん。詳しい話は彼女に聞かないとわからないだろうけど」
テツナ・テカ「じゃあそいつが協力しているんじゃないか?」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「その人はもう亡くなっていると思う」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「それに優しい人だったと思うよ」
フィガロ・パズテカ「・・・・・・」
テツナ・テカ「とりあえず、ジジイはお嬢さんにまじないを掛けてきてくれ」
テツナ・テカ「何か護身用の武器を用意してくれたら俺がそれにナイフから守ってくれる力を掛ける」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「わかった。ありがとう、テツナ。フィガロさま」
〇黒
〇結婚式場の前
◆◆◆「ヘヌシアン公爵令嬢だわ」
◆◆◆「シィゼルヴェン卿に振られたらしいわよ」
◆◆◆「シィゼルヴェン卿はレバノスタン卿を選んだらしいわ」
◆◆◆「そうなの? でも分かる気がするわ。ヘヌシアン公爵令嬢は美しいけど、レバノスタン卿の方がお似合いよ」
◆◆◆「ヘヌシアン公爵令嬢は美しいけど腹の中はドス黒いわ」
◆◆◆「大勢の人が見ていたのよ、シィゼルヴェン卿とレバノスタン家の兄妹に怒鳴りつけているのを」
◆◆◆「私もレバノスタン侯爵令嬢をいじめていたところを見たわ!」
◆◆◆「しっ・・・声を抑えて、聞こえるわよ。も、もう行きましょう」
◆◆◆「え、ええ」
エウレット・ヘヌシアン「ったく、最初から聞こえてるわよ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お兄さま、明日が楽しみで仕方がありません! はやくお父さまと面接の日程について話さなくちゃ!」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「面接なんてする必要があるのか?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「あります!!」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「じゃあアゥルペロの婚約者候補が現れたら俺も面接をしよう」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「うふふ、そうしてください! お兄さまとお父さまが選んでくれるのなら安心だわ!」
エウレット・ヘヌシアン「ちょっと」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン「何か用か?」
エウレット・ヘヌシアン「いいわねいつも優しいお兄さまが守ってくれて」
ルゥラッハ・オル・レバノスタン(アゥルペロには護衛を付けている。二度とあんな目に合わせないからな)


