ありがとうを届けに

夏目心 KOKORONATSUME

6 明石の暴走(脚本)

ありがとうを届けに

夏目心 KOKORONATSUME

今すぐ読む

ありがとうを届けに
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇オフィスのフロア
  翌日。
青山純「お早うございます!夏目工房の青山です!納品に上がりました・・・」
青山純「ん?あれは・・・」
  今日も今日とて取引先に納品に来た俺だったが、今日は何だか様子が変だった。
明石文雄「な、何故ですか部長!何故俺が夜鍋までして企画したプランが却下なんですか!?」
浮島翔子「逆に聞くけど、どうしてこんな物が採用されると思った訳?」
明石文雄「社長の息子で一流大卒の超エリートのこの俺が企画した案ですよ!採用されない方がおかしいじゃ無いですか!!」
浮島翔子「そうね、でもそれが何?」
明石文雄「へ?」
浮島翔子「確かに明石君が見せてくれたこのプラン、ちょっとやそっと考えた位では簡単には出来ないわ・・・」
明石文雄「そうでしょ!それなのに何故!?」
浮島翔子「先ず聞くけど、AIを軍事的に使うのは良いとして、その資産をどうやって用意するの?」
明石文雄「へ?その位会社側からの経理とかで・・・」
浮島翔子「お金はそもそも無限には無いし、何よりAIを軍事利用するって発想はおかしく無い?」
明石文雄「いやだって!そう言うのに使えば国の防衛だって楽になるじゃ無いですか!」
浮島翔子「いやいや、規模が大き過ぎるわ・・・私達は科学者とかじゃ無いんだから無理があるわよ・・・何より、」
浮島翔子「明石君分かってるの?AIって使い方を間違えたらとっても危険なのよ?仮に軍事用にするのは良いとして、」
浮島翔子「もし暴走したり手が付けられない程の自体になったらどう責任取るつもりなの?」
明石文雄「え?そんなの扱い切れない奴が悪いじゃ無いですか!!ちゃんと使えば何て事無い訳だし!」
浮島翔子「分かって無いわね・・・あなた見たいなタイプは強引にプランを進めたら間違い無く自滅するタイプよ・・・」
浮島翔子「とにかく、この案は無かった事にするわ・・・何があったか知らないけど、先ずは今やるべき仕事を終わらせる事・・・」
浮島翔子「以上よ・・・」
明石文雄「こ、この超エリートの俺のやろうとしてる事が理解出来ないなんて・・・何てふざけた上司なんだ!!!」
青山純「・・・?一体何があったんだ?」
浮島翔子「あら?青山君、来てたのね!」
青山純「あ、お早うございます浮島さん!これ、本日分です!」
浮島翔子「ありがとう!確かに受け取ったわ!」
青山純「あの、さっき明石さんと何か話してた見たいですが、何かありましたか?」
浮島翔子「あぁ、見てたのね・・・どう言う風の吹き回しか知らないけど、明石君ってばいきなり内で扱ってるAIを」
浮島翔子「軍事利用するなんて言い出したのよ・・・」
青山純「は、はい!?先ずそこに辿り着く意味が分からないんですが・・・」
浮島翔子「そりゃそうよね・・・そもそも内は玩具メーカーだし、専門外の分野に手を付けるのは流石に常識が無いと言うか・・・」
青山純「えぇ・・・マジで明石さんどうしちゃったんです?」
浮島翔子「こっちが聞きたいわよ・・・」
明石文雄「ぐぬぬ・・・超エリートのこの俺が認められないだと?これさえ通れば彩葉ちゃんが俺にメロメロになる筈だったのに・・・」
明石文雄「こうなったら!」

〇おしゃれな受付
  別の日。俺が納品を済まして戻ろうとしてた時。
青山純「ん?あれは・・・」
明石文雄「なぁなぁ彩葉ちゃん!一緒に行こうよ!」
明石文雄「今度の俺は一味違うんだって!最高のデートプランを用意したんだ!」
明石文雄「高級レストランに高級ホテルで一泊!お土産には高級ブランド店で買い物!こんなチャンス滅多に無いぜ!」
明石文雄「だからさぁ彩葉ちゃん!俺と一緒に・・・」
神崎彩葉「煩いなぁ・・・」
明石文雄「お!やっと口を開いてくれたんだね!」
神崎彩葉「あの、煩いって言ってるのが聞こえないんですか!?こっちは仕事中なんです!邪魔しないで頂けますか!?」
明石文雄「またまたぁ!彩葉ちゃん仕事のし過ぎで疲れてるんじゃ無い?だったら尚更俺とデートしようよ!」
神崎彩葉「あぁもう!何であなたは人の話を聞いてくれないのかなぁ・・・!高級とかブランドとか興味無いし、」
神崎彩葉「あたしにはあたしの仕事や事情があるんです!いい加減ウザ絡みするの辞めて貰えませんか!?」
明石文雄「何をそんなに怒ってるのさぁ!俺とデートすればそんな気持ち収まるからさぁ!」
青山純「ちょっとちょっと明石さん!何してるんですか!?」
明石文雄「あん?またお前か?何の用だ?」
青山純「ちょっとこっち来て下さい!」
明石文雄「あぁ?何するんだ?離せって!」
神崎彩葉「・・・助かった・・・」
明石文雄「おい下請け!一体何するんだ!?」
青山純「それはこっちの台詞です!一体何をしてるんですか!相手が嫌がってたじゃ無いですか!!」
明石文雄「はぁ?お前の目は節穴か?あれはどっからどう見ても照れ隠しだろ!」
明石文雄「俺は彩葉ちゃんを喜ばせる為に最高級尽くしのデートプランを考案したんだ!お前に邪魔される筋合いはねぇ!」
青山純「いやそれ、仕事の邪魔して良い理由にはなりませんよ!神崎さんが嫌がってるの見えて無いんですか!?」
明石文雄「煩ぇ!誰が何と言おうと彩葉ちゃんが好きなのは俺なんだよ!高卒で下請けの分際で、俺に指図するんじゃねぇ!!」
青山純「・・・あの、明石さん何か変ですよ?何があったか知りませんが、少し落ち着いて下さい・・・」
青山純「ハッキリ言って見てられませんよ?」
明石文雄「黙れ!元はと言えば、全ての原因はお前だろ!お前なんかが彩葉ちゃんに色目を使うからこんな事になったんだ!」
明石文雄「見てろよ?本当に彩葉ちゃんに相応しいのは俺だって事を証明してやる!何たって俺は、社長の息子で一流大卒の」
明石文雄「超エリートだからな!」
青山純「・・・それ、優しさと正しさの押し売りですよ・・・」

〇繁華な通り
青山純「あぁ、何だか無駄な事した気分・・・」
青山純「ん?」
青山純「もしもし?」
スマホ「もしもし?神崎です!青山さん、今大丈夫ですか?」
青山純「え?神崎さん?急にどうしたの?」
スマホ「先程はありがとうございました!あたしも丁度我慢の限界で・・・」
青山純「うん、何と言うか大変だったね・・・ねぇ、明石さんあんな調子だけど、これからどうするの?相談出来る事あれば聞くよ?」
スマホ「ありがとうございます、あたし、これから社長にこれまでの事話そうと思うんです・・・もし叶うなら、」
スマホ「別の部署に異動出来たらと思いまして・・・」
青山純「うん、そうした方が良いかも知れないね・・・」
スマホ「はい、後の事は追って話します・・・今日は本当ありがとうございました!」
青山純「あぁ、帰り気を付けて・・・」
青山純「・・・無難に終わってくれれば良いけど・・・」

次のエピソード:7 さらば明石

コメント

  • 明石さん面白いですね😃!!
    最初は悪役として見てたのだけど・・・
    滑稽すぎる感じで、何だか悲しいピエロに見えてきましたww
    嫌味な奴だったのに、「俺はエリート」を繰り返し空回りしてるのを見てるうちに、
    切なくなってきて、明石さん応援したくなっちゃったなぁ💦
    読者の気まぐれですみません🙇 
    でも悪役の使い方上手いと思います!

ページTOPへ