5 どこかで感じた味(脚本)
〇屋台
それから俺は、神崎さんに連れられて屋台へと足を運んだ。
青山純「あれ?こんな所に屋台なんてあったか?」
神崎彩葉「知らないのも無理無いです・・・最近新しく出来た所ですから・・・」
神崎彩葉「すみませーん!」
佐藤博之「へいらっしゃい!2名様ですかい?」
神崎彩葉「はい!大人2人です!」
佐藤博之「あいよ!取り合えず決まったら言ってくれ!」
俺達は席に座ってメニューに目を通して注文をして一息付いた。
神崎彩葉「この定食、2人分お願いします・・・」
佐藤博之「畏まりました!今暫くお待ち下さい!」
青山純「いやぁ、今日も頑張ったかな・・・」
神崎彩葉「お疲れ様です・・・いつもこんな感じですか?」
青山純「いつも?」
神崎彩葉「あ、はい、仕事終わりはどんな感じか気になって・・・」
青山純「まぁ、そうだね・・・俺は俺で一人暮らしだし、夜遅くなったら夕飯食わずも珍しく無いかな?」
青山純「帰って直ぐ寝るのは当たり前だし・・・」
神崎彩葉「えぇ・・・朝と昼だけですか?実際大丈夫なんですか?」
青山純「あぁ、現にここにいる訳だから・・・」
神崎彩葉「う〜ん、食べれる時は食べた方が良いですよ?」
佐藤博之「そのお嬢さんの言う通りだぜ・・・栄養失調で倒れたら本末転倒だからな・・・」
青山純「あ、はい・・・」
佐藤博之「へへ・・・さて、ご注文の品、お待たせしました!」
神崎彩葉「あぁ、ありがとうございます!」
青山純「・・・ありがとうございます・・・」
運ばれた料理を貰い、俺達は食事を始める。
神崎彩葉「・・・・・・」
神崎彩葉「あぁ!やっぱり美味しい!こう言うのって何かコツとかあるんですか?」
佐藤博之「あれ?知らないのかいお嬢さん?給食センターや飲食店じゃ個人のコツ見たいなのはNGなんだぜ?」
神崎彩葉「え?そうなんですか?」
佐藤博之「あぁ、こう言うのは栄養士や管理栄養士の指示の元にやるもんだ・・・一個人のやり方でやったら後で」
佐藤博之「問題が起こるかも知れないからな・・・そこらの店で同じ味が出せるのはそう言う事なんだ・・・」
神崎彩葉「えぇ!知らなかったなぁ・・・」
佐藤博之「まぁ、現に俺は1人で店を出してる身だけどな・・・1人でやる分、責任もそれ相応だがな・・・」
青山純「・・・・・・」
青山純「・・・・・・」
青山純「う〜ん変だなぁ・・・」
神崎彩葉「ん?どうしました?」
青山純「この味・・・初めての筈なのに、何か懐かしいと言うか・・・」
佐藤博之「ん?坊主、俺の所来た事あるのかい?」
青山純「う〜んいつだったかなぁ・・・懐かしいと思うのは本当なんですが・・・」
佐藤博之「まぁ、何かの拍子で思い出すかもな・・・それはそうとお嬢さん、その服夏目グループの服だろ?」
神崎彩葉「え?あぁ、そうですよ?」
佐藤博之「最近そちらさんの所、中々面白いもん作ってるって話じゃねぇか・・・これだったか?」
AI犬「いらっしゃいませ!ご注文はお決まりですか?」
青山純「あ、こいつさっきの!」
神崎彩葉「内で作ってるロボット犬じゃ無いですか!お買いしてくれたんですね!」
佐藤博之「まぁな、最近俺も1人であちこち行ってばかりだったからな!色々覚えてぇ事もあるから今は封印中だが・・・」
佐藤博之「出来る様になったら、店の前に出そうと思ってるんだ・・・」
神崎彩葉「わぁ!楽しみですね!その時は是非、来店させて下さい!」
佐藤博之「おう!勿論歓迎だぜ!」
AI犬「博之さん!次の勉強はいつになりますか?」
佐藤博之「あぁ、待ってろ・・・仕事が片付いたら、覚えて貰いたい事覚えて貰うからな!もう少しだけ待っててくれな!」
佐藤さんはそう言ってロボット犬のスイッチをOFFにして荷物の中へとしまった。俺達はそれからも食事を楽しみ、
お会計を済まして店を後にするのだった。
〇駅前ロータリー(駅名無し)
屋台で食事を済ませた俺達は帰路に着いていた。
青山純「いやぁ美味かったなぁ!良い人紹介して貰ったよ!」
神崎彩葉「良かったぁ・・・凄く美味しいお店だったし、何よりご一緒出来たから・・・」
青山純「只、あの佐藤さんって人の料理、何か初めて食べた気がしないんだよね・・・」
神崎彩葉「あぁ、言ってましたね・・・本当に思い出せないんですか?」
青山純「あぁ、もしかすると、随分前、子供の頃の時とかに一回は食った事あったのかも・・・」
神崎彩葉「そうなんですね・・・」
神崎彩葉「あ、あの、いきなりこんな事聞くのって失礼ですが、青山さんって昔どんな感じだったんですか?」
青山純「え?俺?在り来りな子供で、良くヒーロー物とか見てたぞ?そりゃ夢中になる程にさ・・・」
神崎彩葉「へぇ・・・青山さんにもそんな時期あったんですね!寧ろ見てみたいかも!」
青山純「いやいや!そんなの見ても詰まらないだろ・・・」
神崎彩葉「えぇ・・・あたしは見てみたいですよ?」
青山純「て言われてもなぁ・・・昔は良くばあちゃんと遊んだり色んな事教えて貰ってた位だから・・・」
神崎彩葉「え?祖母方?」
青山純「あぁ、昔は良くばあちゃんと仲良くやってたよ・・・そりゃ喧嘩したりした事もあってさ・・・」
青山純「俺に色んな大事な事を教えてくれたんだ・・・ありがとうとごめんなさいはちゃんと言える様になれとか、」
青山純「優しさや正しさの押し売りはするなとか・・・」
神崎彩葉「わぁ、何だか素敵なおばあさんですね・・・話してくれたら何と無く分かります・・・」
青山純「・・・ありがとう・・・まぁ、俺が高校卒業する前に逝っちまったけどな・・・」
神崎彩葉「え!嫌だ!あたしったら何て事聞いて!!」
青山純「気にしなくて良いよ・・・俺、今でもばあちゃんの夢見る事あるし、もしかしたら守ってくれてるんじゃ無いかって」
青山純「思う事もあるから・・・」
神崎彩葉「そ、そうなんですね・・・」
青山純「あぁ、だから俺は大丈夫・・・」
青山純「あ、そろそろ時間か・・・」
神崎彩葉「・・・そう見たいですね・・・青山さん、明日も頑張りましょう!」
青山純「あぁ!今日はありがとう!」
〇簡素な一人部屋
一方。
明石文雄「何故だ・・・何故彩葉ちゃんはあんな下請けの奴ばかり相手して、このスーパーエリートの俺の事無視するんだ?」
明石文雄「理解出来ん!理解出来ない!!彩葉ちゃんは俺の女だ!俺の方が断然スペックが高い!あんな下請けなんか足元にも及ばない!」
明石文雄「でも彩葉ちゃんは俺を見向きもしない・・・何故だ・・・?」
明石文雄「・・・!そうか分かったぞ!彩葉ちゃんは俺の本当の実力をまだ知らないんだ!だから俺の事無視してたんだ!」
明石文雄「それが分かれば行動開始だ!今こそ俺の真の実力を見せる時だ!見ててくれよ彩葉ちゃん!」