第76話 混乱(脚本)
〇病室
2021年 イリノイ州 ピオリア郡 ピオリア市内 総合病院 病室
斎王幽羅「エンチャントさん、鸞はどう···?」
エンチャント魔導法士「腹回りの皮膚がヤスリで擦ったように『無くなってる』。よく耐えたもんだ···」
斎王幽羅「治せそう?」
エンチャント魔導法士「体組織は複雑だから誰かの『皮膚』が必要だ···ワシの造形魔術はあくまで『作り替える』事ができるのであって」
エンチャント魔導法士「ないものを一から作り出すことはできん」
キング「なら俺らの皮膚から作り替えりゃいいだろ、それじゃダメなのか?」
エンチャント魔導法士「ワシ、斎王、凪園、フェード···四人じゃ足りん。もう2人は欲しい」
キング「おいじいさん、俺じゃダメな理由はなんだ?変化武器だからか?」
エンチャント魔導法士「それ以前にキング、お前盾の時『石作り』のはずだぞ?鸞に適応させるように作り替える事ができん」
キング「ちっ···俺じゃあ鸞を助けられねぇのかよ···」
斎王幽羅「落ち込まないでキング···というか1人の皮膚作るのにそんな大勢必要なの?」
エンチャント魔導法士「全員が問題なく行動するには六人必要なんだ、死体でもあればそいつ1つで事足りるが···」
皆が頭を抱えている最中、マリアに呼ばれ斎王だけが病室を出た。
〇大きい病院の廊下
総合病院 廊下
マリア・イアハート「幽羅様、幽羅様が戦闘なさってた現場にこれが落ちていたのですが···ご説明いただけますか?」
マリアは現場に捨てられていた銃を斎王に見せた。銃にはXヒーローのシンボルが刻印されておりマリアは怪訝な表情をしていた
そしてその銃について、そしてその持ち主について斎王は話し始めた
斎王幽羅「その銃は三代目の時代のXヒーローの備品なんだ。当時は日本にもガンショップがあって、許可証があれば」
斎王幽羅「誰でも買えたんだ。それでも三代目から四代目への引き継ぎの時弾倉と弾薬をバラして、売り払って」
斎王幽羅「残った空の銃を『既製品に近い再現をしたモデルガン』と言って保管をしていたんだ」
マリア・イアハート「なるほど···では敵はXヒーローの保管庫に侵入して混乱を招こうと?」
斎王幽羅「いや、敵は『元Xヒーロー』だよ。五代目から六代目に変わる時に入った人で」
斎王幽羅「摩擦を操る能力を持つ能力者だ。あいつは『自殺している』から本来生きてないはずなんだけど···」
マリア・イアハート「ふむ···ではひとまず幽羅様が我々失楽園の天使達を内部から潰そうとしている訳ではないのですね?」
斎王幽羅「そんなことする理由がないよ···マリ姉と失楽園の天使達には色々教えてもらったんだ。恩を仇で返す様な事はしないよ···」
マリア・イアハート「わかりました、ここからは私からの報告ではありますが···」
マリアは申し訳なさそうな表情を浮かべながら、弱々しく斎王に話し始める
マリア・イアハート「マルティナが幽羅様の裏切りだと皆に言ってしまい、現在失楽園の天使達は擁護派と追放派の二つに割れてしまいました···」
斎王幽羅「このまま行けば失楽園の天使達はバラバラ、敵がつけ入り易くなって失楽園の天使達は攻め込まれる···」
斎王幽羅「何とかしてマルティナを説得しなきゃだけど···マルティナはどこに?」
マリア・イアハート「現在広場にて追放派と無派に対して危険性を説いています」
斎王幽羅「ひとまずマルティナを説得しないと···あ、でもその前にやりたいことがあるんだけど良いかな?」
斎王はマリアに姫騎士2人を連れてきて貰うように頼むと、マリアは直ぐさま連絡を取り2人の姫騎士が到着
無事エンチャントの変換造形魔術により鸞の皮膚は元に戻った
To Be Continued··· ··· ···