ありがとうを届けに

夏目心 KOKORONATSUME

3 強さと優しさ(脚本)

ありがとうを届けに

夏目心 KOKORONATSUME

今すぐ読む

ありがとうを届けに
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇実家の居間
  子供の頃のある日の夜。俺はその時テレビでヒーロー物を見ていた。
青山純「行っけ〜!そこだぁ!!」
青山純「わぁ!やったぁ!!」
おばあちゃん「純、何だか楽しそうだね・・・」
青山純「あ、おばあちゃん!うん!ヒーローが悪い奴やっつけてさ!」
おばあちゃん「そうかいそうかい・・・どんな感じだったんだい?」
青山純「あぁ!あのね!」
  男の子なら、昔は誰もが何かしらのヒーローに憧れたりもしていた。万人受けする物でこそ無いが、それでもその時は、
  当時やってたヒーローが大好きだった。
おばあちゃん「なるほどね・・・純はヒーローになりたいかい?」
青山純「うん!僕もヒーローになって平和を守りたい!」
おばあちゃん「そう言う事なら、良い事教えてあげるよ・・・」
青山純「良い事?」
おばあちゃん「そうだ、良く聞くんだよ・・・」
  その時の俺は、おばあちゃんの話に興味津々だった。
おばあちゃん「良いかい?正義の味方がカッコいいのはね、大事な物を守りたいからだよ・・・だから純が見た奴見たいに、」
おばあちゃん「強い力が使えるんだ・・・でもね、その強い力は使い方を間違えたら大変な事になるよ・・・」
青山純「大変な事?」
おばあちゃん「そうだ・・・純が見たヒーローの力を間違えて使ったりしたら、嬉しくなる筈の気持ちが全部壊れてしまうんだ・・・」
おばあちゃん「例えばそうだね・・・純は優しくされたらどう思う?」
青山純「優しくされたら?勿論嬉しいよ!」
おばあちゃん「そうだね・・・でもそれが行き過ぎたり、相手の為だと言ってその考えを押し付けてしまえば、相手は傷付いてしまうんだ・・・」
青山純「え?優しくしたいと思ってやったら相手が傷付いちゃうの?」
おばあちゃん「そうだ・・・相手の気持ちを無視して自分を突き通す事は、優しさの押し売りと言ってね・・・人が人に対して、」
おばあちゃん「絶対やっちゃいけない事の一つなんだよ・・・自分が正しいと思って周りを無視する事は、それは正義の味方でも何でも無い・・・」
おばあちゃん「ヒーローにやっつけられる悪い奴と一緒になっちゃうんだよ・・・」
青山純「・・・・・・」
おばあちゃん「強い力も優しさも、相手や周りの事を考えて使ってこそ意味があるんだ・・・決して弱い者虐めに使って良い物じゃ無い・・・」
おばあちゃん「純がヒーローになりたいのなら、優しさや自分1人の考えを押し売りしない様にしてくれたら、」
おばあちゃん「おばあちゃんは嬉しいよ・・・」
青山純「うん、そうなんだね・・・」
  この時の俺はまだ子供だと言う事もあり、おばあちゃんの言う事はまだ理解出来なかった。

〇ビルの屋上
  そして現代。
青山純「・・・・・・」
木島拓人「ありゃ、先客がいたか・・・」
青山純「う、ううん・・・」
青山純「あれ?木島先輩、来てたんですか・・・」
木島拓人「おっと、起こしちまった見たいだな・・・寝落ちかい?」
青山純「いえ、寧ろありがとうございます、午後に遅刻したら痛いですから・・・」
木島拓人「あっはは!まぁ午前頑張って食った後に眠くなるのは良くある話だからな!それが嫌なら目覚まし用意しなよ?」
青山純「あ、はい・・・」
木島拓人「なぁ、またばあさんの夢でも見てたのか?」
青山純「あ、見ましたよ・・・何か大事な事を話してくれた気がして・・・」
木島拓人「へぇ、どんな?」
青山純「何と言うか、優しさとか強さとか、使い方間違えるなって・・・」
木島拓人「あぁ、確かにその辺は気を付けなきゃだな・・・でよ、そのばあさんとは今でも絡んでるのかい?」
青山純「いえ、俺が高校を卒業する前に・・・」
木島拓人「ありゃりゃ!すまねぇ、失言だった見たいだな・・・」
青山純「いえ、お気になさらずに・・・こう言うのは余り人に話す事でも無いですから・・・」
木島拓人「そ、そうか・・・でもすまなかったな・・・」
青山純「はい・・・」
木島拓人「それはそうと、コーヒーでも飲まないか?続きはそれからにして、ばあさんの事聞かせてくれないか?」
青山純「あ、良いですね!行きましょうか!」
木島拓人「決まりだな・・・行こうか・・・」
  俺はたまたま先輩と出くわし、コーヒーを飲みながら会話を楽しんだ後に午後の仕事に打ち込むのだった。

次のエピソード:4 AI犬

成分キーワード

ページTOPへ