今日も" 獣"で荒れている (ケモ荒)

カジキ

エピソード2(脚本)

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〇高い屋上
ガラル・ライカ「──君に” 副生徒会長”を任せたい」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「ああ、はいはい、任せ───」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「・・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──はい?」
ガラル・ライカ「──そうか、やってくれるんだな」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──いや、待て待て待て!!」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「はぁ・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「何がしたいんだよ・・・お前・・・」
ガラル・ライカ「なにが・・・?」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「なにがって・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「俺が今、この学校の嫌われ者だってことだ」
ガラル・ライカ「──ああ、君が学校のマドンナに馬鹿やって居場所がないって話か」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──そうだよ」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「どう考えても悪目立ちするし、こんな時に俺を生徒会に入れる意味が分からない」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──それに、俺はお前ら”獣人”が嫌いだ」
ガラル・ライカ「ああ、知ってる」
ガラル・ライカ「──が、なぜだい?」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「だから!俺は獣人が嫌いだって──」
ガラル・ライカ「──君、その嫌いな” 獣人”と昼食を食べていたじゃないか」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「────」

〇おしゃれな食堂
  ” やどっ君”だったけ・・・
  ──あの子は”ヤドクガエル”の獣人だ

〇高い屋上
ガラル・ライカ「──毒を逃がさないようにする為の特徴的な服がその証拠」
ガラル・ライカ「──触れば、一瞬で猛毒に犯す種族・・・ 知らないわけではないんでしょ?」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「─────」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──ああ、知ってる」
ガラル・ライカ「──獣人嫌いの君が、一人の友達として一緒に昼食を食べている理由こそなぜだい?」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──そんな事を知ってどうする」
ガラル・ライカ「──知っておくべきだからだよ」
ガラル・ライカ「君を含めた、みんなの生徒会長としてね」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「─────」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──同族だと思ったからだよ」

〇黒
  ──ヤドクガエルの獣人は、外出する際に毒性のある物質を抑える服を着なければならないと決められている
  その理由は、言わずもがな”危険”だからだ
  触れるだけで、皮膚から垂れ出る神経毒で
  生物の命を奪える”カエル"──
  ──それが、ヤドクガエルという生き物だ
  だから、あの服を着るというのは人間社会を共に生きるための必要不可欠な規律だった

〇高い屋上
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「でも、実際は服を着ていても距離は置かれるんだよ・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「どれだけ毒を抑えようとも、万にひとつ毒が染み出ていたら・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「それが自分の身体に当たったら・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「そう考えて、リスクを取ってまで近づこうと思う奴なんていない」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「”一緒に生きる”・・・なんて、政府からしたら叶わなくてもいい理想にすぎないんだよ」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「ただ人に被害さえ出なければどうでも・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──そんな、人から避けられてるやどっ君との環境が昔の俺とよく似てた・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──だから俺は、獣人でもやどっ君だけは信用できたってだけだ」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「もし、俺に獣人が好きかもって思っていたなら、残念ながら違う」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「俺は、これからもこの先も他の獣人と仲良くする気なんてさらさらねえ」
ガラル・ライカ「─────」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「それと、俺を同情で副会長なんかにすんなよ」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「かわいそうだと思うなら、俺の今この現状をどうにかしてから言ってくれ」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──じゃあな、獣人」
ガラル・ライカ「──待て」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──ッ!!なんだよ、俺はまだ飯食ってる途中なんだよ!!早くしねえと昼休憩が──」
ガラル・ライカ「──もし、君が生徒会長になれると言ったらどうする?」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「───!!」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「ど、どういうことだよ・・・」
ガラル・ライカ「もし私が生徒会長として活躍し、多くの生徒たちから信頼を勝ち取ることができたら」
ガラル・ライカ「──その時は、私が次の生徒会選挙で君の 推薦責任者として立候補しよう」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「つまり、お前を立たせるために働けと・・・」
ガラル・ライカ「そう、なんだかんだ生徒会やるにも色々と 人手が必要だからね」
ガラル・ライカ「それで、君には私の子分として働いてもらう」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「おい、俺は副会長として働いて欲しいと聞いていたんだが」
ガラル・ライカ「別に構わんだろ、ライオン界でも上下関係は存在するし」
ガラル・ライカ「わざわざ ”副”って付いてんだ、つまり生徒会長より立場は下なわけだろう」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「てめえ・・・」
ガラル・ライカ「──つまりだ、私は労働力が欲しい、君は周りからの支持が欲しい」
ガラル・ライカ「お互い利害の一致ではないのかい?」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「────」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──でもお前、前に生活環境の分離に対して批判してたよなあ、こんな後押しするようなことしてもいいのかよ」
ガラル・ライカ「──むしろ逆だよ、葛井 竜逸」
ガラル・ライカ「私は、君みたいなタイプがこの学校に変な影響を及ぼすんのではないかと考えている」
ガラル・ライカ「だから、私の目の前に置いておきたいんだ」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「そうですか・・・」
ガラル・ライカ「──それと、もし私がふさわしくないと判断すれば、私の独断で君との約束を放棄する」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──はあ!?それって、おまえの考え一つで俺を生徒会長にしないこともできるって!!」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「ふざけんな!! いくらなんでも、横暴──」
ガラル・ライカ「───ではないよ」
ガラル・ライカ「もともと生徒会メンバーを私の一存で決められるのは今回のみの特例なんだ」
ガラル・ライカ「今回のやらかした件で、君は生徒会長どころか副会長にすらなれるわけないんだよ」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「───ッ」
ガラル・ライカ「私は、あくまでチャンスとして君に副生徒会長を任せようとしているにすぎない」
ガラル・ライカ「──だから、君が今後に生徒会長をする権利は私にあるんだよ」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「─────」
ガラル・ライカ「今ので感に触ったからやめておくというのも」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──やらねえとは言ってねえだろうが!!」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──わかった、子分でもなんでもいいから俺を生徒会に入れろ!!」
ガラル・ライカ「・・・のんでくれて嬉しいよ」
ガラル・ライカ「──じゃあ、早速仕事をしてもらおうか」

〇まっすぐの廊下
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「おはよう、るみた〜ん❤️」
ツクヨ・ルミ「せんぱ〜い❤️」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──あははは」
ツクヨ・ルミ「うふふふふ」

〇高い屋上
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──獣人の彼氏になれえええ!?」
ガラル・ライカ「ああ、前に君が振った銀髪の獣人の子にどうしても彼氏になってほしいと相談されてね」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「あのうさぎの獣人の女ですか!?」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「なんで、アイツは俺のどこに惚れたんですか?」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「暴言吐かれて、蹴り落とされたんですけど?」
ガラル・ライカ「──その生命力の高さに惚れたらしい」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「本当にどこで惚れてんだ!!」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「その理屈でいけば、ゴキ○リとも仲良くできるぞ、アイツ!!」
ガラル・ライカ「──つまり、君はゴキ○リってことかい?」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──なに言ってんだ、人権侵害で訴えんぞ!!」
ガラル・ライカ「──とにかく、君が前にこっ酷く振った 彼女と付き合えってことだ」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「・・・・断ったら」
ガラル・ライカ「──── ニコニコ」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「生徒会長にはさせねえぞか・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「分かりました、そいつと付き合ってきますよ」
ガラル・ライカ「おう、頑張ってこいよ〜」
ガラル・ライカ「──ちなみに、女性との付き合いは今までどうしてきたんだい?」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──失せろの一言で黙らせてきました」
ガラル・ライカ「赤髪海賊団のようなことをしているな、君は」

〇まっすぐの廊下
  葛井 竜逸(くずい りゅういち)
  ──耐えろ・・・耐えろ、俺・・・
  葛井 竜逸(くずい りゅういち)
  正直、獣人とイチャつくだけで吐きそうだが、感情を殺してでも耐えるんだ・・・
  葛井 竜逸(くずい りゅういち)
  それに、俺にはコイツがついている──
  葛井 竜逸(くずい りゅういち)
  ──クラスの獣人女子がキャアキャア言ってた恋のアドバイス本
  葛井 竜逸(くずい りゅういち)
  ──”お前らがモテモテ〜る 100のこと”
  葛井 竜逸(くずい りゅういち)
  俺には全く理解できなかったが、ネットで
  調べても評判はかなりよかった
  葛井 竜逸(くずい りゅういち)
  獣人の女子どもには、こういった行為が好きなのだろう
  葛井 竜逸(くずい りゅういち)
  どこまで通用するか分からんが、やれるだけやるしかねえ
ツクヨ・ルミ「ねえねえ先輩、一緒に弁当でも食べよお〜」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──行く行く❤️る〜みたん (オェー吐き)」

〇おしゃれな食堂
ツクヨ・ルミ「──は〜い、弁当わたしが作ったんだ」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「わあ、美味しそう いただきま─す」
  〜 心得 その1〜
  とりあえずオーバーリアクションをする
  相手が自分にしてくれたことは普段よりも
  オーバーにリアクションすることによって、
  ──”私の前ではこんな姿を見せるんだ”と
  ギャップで相手を刺激する
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「何が入っているのか、楽しみだなぁ〜」
  〜 心得 その2 〜
  出された物は”死んでも”食う!!
  相手から出された物を食わないのは無礼の極み、食べずに断るなんてもってのほか!!
  ・・・と書かれていたが、こんなの作者が
  好き嫌い少なかっただけの話だろ
  こっちは、この女が恨んで弁当に毒を盛られていてもおかしくねえんだよなぁ・・・
  でも、これも俺が生徒会長になるため──
  ──覚悟を決めろ、葛井 竜逸!!
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「────ッ!!」
  ───ぱかっ
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「・・・・」
  ────カポッ
ツクヨ・ルミ「───なんで閉じるのよ!!」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「いや、弁当を冷ましちまったらわるいかな〜と思ってなあ・・・」
  なに?新しいタイプのいじめか・・・いや、イジメだろこれは!!
  人参って一本って、コオロギの餌かよ
  それに、どこからどう見ても───”生”
  茹で焼き蒸しの工程すっ飛ばして、どっかの八百屋のニンジン詰めただけ・・・
  ・・・でも、加工とかされた形跡はなかった
  ──毒が入ってないのがせめてもの救い!
  これなら、まだ食え───

〇テーブル席
ガラル・ライカ「──で、一週間過ごしてみてどうだい?」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「・・・・・・」
ガラル・ライカ「顔が死んでるけど、なんかあったのかい? お姉さんが聞くよ?」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「分かっていて聞いてるだろ・・・お前、相当タチ悪いぞ・・・」
ガラル・ライカ「まあ、あれだけ顔に出ていれば大方ね」
ガラル・ライカ「──どうせ、彼女さんと上手くいってないとかだろうけど」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「ああ・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「あれは・・・”苦行だ”・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「毎日毎日、苦くてエグ味が残ったニンジンを弁当と評し食わせてくるハラスメント──」
ガラル・ライカ「───なんだ、弁当作ってもらえて愛されているじゃないか」
ガラル・ライカ「───贅沢言うなよ、童貞くんw」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──るっせえな、今は関係ねえだろ俺の 貞操事情は!!」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「あと、獣人のメスが下の話に持ってくんじゃ──んぐッ!!」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「興奮したら腹が・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「ちょ・・・ちょっと、トイレ・・・」
ガラル・ライカ「お、おう・・・行ってらっしゃい・・・」

〇テーブル席
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「はあ・・・ウエッ・・・」
ガラル・ライカ「──さすがに、大丈夫かい?さらに体調がわるいように見えるけど・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「ここんところ、毒ニンジン食ってばっかだったから本格的に体が壊れ始めてきてんだよ」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「それに、アイツと付き合っているから周りからの印象も悪いし」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「嫌がらせもエスカレートする一方で精神的にもな・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「あのニンジン、マジでどこ産なんだよ・・ あんなの、死病者が出てもおかしくねえぞ」
ガラル・ライカ「ああ、あれは彼女が育てたニンジンだよ」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「なるほど、どおりで・・・」
ガラル・ライカ「勘づいてはいたのかい?」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「前に獣人用の野菜を食った時にあんな味しなかったから、薄々な・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「正直、味もどうにかして欲しいとは思うが、毎食ニンジンっていうのも結構キツいんだよ」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「生で固えし、絶妙に腹に溜まるから他の食べ物が喉を通らねえしで言い出せばキリがねえ」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「なんでニンジンしか出さねえんだよ、アイツ」
ガラル・ライカ「まあ・・・私も彼女とは種族は違うから何を考えているかまでは分からない」
ガラル・ライカ「・・・が、ひとつ言うとすれば」
ガラル・ライカ「──獣人たちは、人間にとっての美味い物が分からないってことかな」
ガラル・ライカ「基本獣人たちは、虫・魚・生肉など、人が口にしないような物を食べることが多い」
ガラル・ライカ「そして彼女の場合は、野菜や草───」
ガラル・ライカ「その中で、彼女の美味い物がニンジンだったんだろうよ」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「だとしても、ニンジンだけはどうなんだよ」
ガラル・ライカ「── 量が足りないという意味かい?」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「───死ぬわ!!」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「いや、そうじゃなくて普通に調理ぐらいはできるだろって話・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「本を見て真似れば───」
ガラル・ライカ「ああ、そういうことか・・・」
ガラル・ライカ「──私たち獣人は、火を使った調理が苦手なんだよ」
ガラル・ライカ「自然界では、焼いて食べる行為が必要なかったから火とは縁のない生活を送ってきた」
ガラル・ライカ「火を見たら基本逃げる、この性質で見ること自体が無理な獣人も案外多かったりする」
ガラル・ライカ「それと、”料理の鉄人”というテレビ番組を知っているかい?」

〇溶岩池のある洞窟
  ──ああ、名の知れた料理人たちがスタジオにある食材だけで料理をするってあれだろ
  ──うん、それ
  ・・・でも、ただ料理をすればいいという
  問題ではないんだよ
  ──審査員から”美味い”と評価してもらえなければいけないんだ

〇テーブル席
ガラル・ライカ「───で、ここで問題」
ガラル・ライカ「そんな美味い料理を作る人たちが不味い物を出したいと思うかい?」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──いや、流石に出したいとは思わんだろ」
ガラル・ライカ「そういうこと」
ガラル・ライカ「美味いかマズイかは審査員が決めるにしても本を読むだけでは、この料理が美味いかどうかまでは分からない・・・」
ガラル・ライカ「だから、自分で作った料理を食べて、美味いと確信してから審査員には提供しない」
ガラル・ライカ「その点は、獣人の考え方とよく似ている」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「どういうことだよ?」
ガラル・ライカ「母ライオンが子供にご飯をあげる時、誰かが食べていたからといって、子どもにあげることはまずしない」
ガラル・ライカ「そいつが食べていたとしても、それが子供に も食べられるとは限らないからね」
ガラル・ライカ「──だから、獣人は自分で食べた物以外 信用しないし、あげない」
ガラル・ライカ「そうやって大切なものを護っているんだよ」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「防衛本能か、めんどくせえなあ・・・・」
ガラル・ライカ「──君は、よくも悪くも愛されている」
ガラル・ライカ「最低でも、親でもないのに弁当を渡すぐらいにはね」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「味が悪いニンジンでもか・・・・」
ガラル・ライカ「特性料理の上位互換みたいな物をもらえてんだ、愛されている意外ないだろ」
ガラル・ライカ「野菜作るのだって、案外大変なんだぞ」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「・・・・ああ、知ってる」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──────」
  ────ガタッ
ガラル・ライカ「どこへ行くんだい?」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──俺のできることをやってくる」
ガラル・ライカ「────そっか」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──じゃあな」
ガラル・ライカ「────君には期待するよ」

〇田舎道
ツクヨ・ルミ「急に私の家に行きたいって言うから驚いたけど、畑の方に用があったんだ」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「そりゃあ、明日も食べる野菜の顔ぐらい拝んでおきたいかなあって・・・」
  ──とりあえず、マズイ原因を探る
  あのニンジン、見た目はかなり良かった
  おそらくだが、ニンジンを育てる施設や管理に問題があるわけではなさそうだった
  ──おそらく問題あるとすれば

〇田んぼ
ツクヨ・ルミ「ここがニンジン育ててる場所だけど・・・」
  ここが例の源泉か・・・・
  ──おそらく問題は、”土”だ
  一週間食べて分かったが、このニンジンの マズさは渋みが強すぎるということだ
  ──そして、痩せた土壌には野菜を不味くさせる”硝酸”が溜まっていて、それを水と一緒に吸ったニンジンは死ぬほど不味くなる
  だから、土壌さえどうにかしちまえば──
ツクヨ・ルミ「やばい、畑のバッタの数を減らさなきゃ」
  ──ガシッ!
ツクヨ・ルミ「よし、捕まえた」
  ───グシャ!!
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「───!!?」
ツクヨ・ルミ「結構いるなあ・・・・」
ツクヨ・ルミ「──よいしょっ!」
  ───グシャアッ!!

〇川に架かる橋の下

〇田んぼ
  ────ッ!!
  はあ・・・はあ・・・
  ───グシャア!!!

〇川に架かる橋の下
  おお、潰れた潰れたw
  ──うえっ・・・まだ、うねうね動いてる
  ───きんもぉw
  なあ!!おま───

〇田んぼ
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「───ッ!!」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「はあ・・・はあ・・・」
ツクヨ・ルミ「どうしたの?大丈夫・・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「───帰るよ」
ツクヨ・ルミ「えっ、どうしたの急に!?」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──────」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「言っただろ?野菜の顔を見に来ただけだって」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「だから、今日の目的は達成されたんだよ」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「───ありがとね、ルミたん❤️」
ツクヨ・ルミ「そ、そうなんだ・・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「───じゃあ、また学校で」
ツクヨ・ルミ「う、うん・・・明日また・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──────」

〇黒
  ─── ”やっぱり獣人は嫌いだ”

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