今日も" 獣"で荒れている (ケモ荒)

カジキ

エピソード3(脚本)

今日も" 獣"で荒れている (ケモ荒)

カジキ

今すぐ読む

今日も" 獣"で荒れている (ケモ荒)
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇高い屋上
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「・・・・」
ガラル・ライカ「ここにいたのか」
ガラル・ライカ「落ち込んだり立ち直ったり、見ていて飽きないよ、君は・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「・・・・るっせえ」
ガラル・ライカ「で、また何か揉めたのかい?まあ、君のことだから、どうせ───」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「・・・今回は、揉めてねえよ」
ガラル・ライカ「おお、君にしてはいい進歩じゃないか」
ガラル・ライカ「だったら、この調子でどんどん仲良く──」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「なあ、俺・・・分かった事があんだよ」
ガラル・ライカ「ん?何かな?」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「────」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「俺がお前に付き合う理由はないと思うんだよ」
ガラル・ライカ「どういう意味だ、葛井 竜逸・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「俺ってさあ、なんでも一人でこなせる人間な訳じゃん」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「過去にだって生徒会長もやってた経験もある訳だし」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「わざわざお前を頼らなくても生徒会長ぐらいには成れると思うんだよ」
ガラル・ライカ「・・・・・」
ガラル・ライカ「分かった上で言うが、君に対する獣人と人 からの評価は男女問わずにまあ酷いものだよ」
ガラル・ライカ「生徒会長は選挙あってこそ成れるものだから周りの評判が悪いのは割と致命的だ・・・」
ガラル・ライカ「前より生徒会長に成ること自体難しく──」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──それでも!!」
ガラル・ライカ「──!!」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「・・・・それでも、」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──”俺は、お前ら獣人には頼らない”」
ガラル・ライカ「────」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「なんで俺が生徒会長になろうとしていたか 分かるか?」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──人も獣人も”歩み寄れない”からだ」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「歩み寄るには、どうしても相手に合わせる 必要がある」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「でも、価値観や思考回路、文化・・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「今までに教わったもの、積み上がってきたものが反していれば、相手は受け入れることをしなくなる」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──それは、獣人も人だって変わらねえ」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「でも、生徒会長になりさえすればわざわざそんな手間をかけなくてもいいように生活空間 を分けることだってできるようになる」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「だから俺は互いが尊重し合える方法を──」
ガラル・ライカ「前にも言ったが、それは尊重し合ってるん じゃなくて、ただ逃げてるだけだ」
ガラル・ライカ「見ないように関わらないようにと距離を置いてるだけで解決策というにはずさんだ・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「───ッ」
ガラル・ライカ「それに、彼女は十分に歩み寄っていたじゃないか」
ガラル・ライカ「それは君から見ても分かった事じゃないのか」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「────」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「ああ、見たさ・・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──見た上で、獣人とは根本的にそりが合わないんだと理解したんだ」

〇まっすぐの廊下
  葛井
  最初、俺への嫌がらせや報復のために好意のある振りをして近づいたものだと考えていた
  葛井
  屋上から落とすような奴だったから、そんな事をしてもおかしくないとは思ったさ・・・
  葛井
  ──だが、違った
  葛井
  弁当作ってくれたり家に招いたり、報復にしてはあまりにもそぐわない行動が多かった
  葛井
  だから、多少なりとも俺に気持ちがあることぐらいは分かった・・・

〇高い屋上
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「でも、その気持ちから出た行動が俺の望んだ ものではなかった・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「たとえ獣人にとって喜ばれるようなことでも、俺にとって何がいいのか全く分からない」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──むしろ、その行動自体が俺への害悪 そのものだ」
ガラル・ライカ「──!!」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「正直、無神経に俺を逆撫でて来るようで気分だって悪い・・・」
  ──ガシッ
ガラル・ライカ「──言って良い発言を区別しろ!!」
ガラル・ライカ「お前のやっている事は、相手の厚意を踏みにじて侮辱する最悪な行為だ!!」
ガラル・ライカ「訂正しろ!彼女だって苦労して───」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──じゃあなんだ!俺に嫌な思いし続けろってえのか!!」
ガラル・ライカ「──!!」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「・・・思い出したんだよ、俺のこと」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「俺は、こんな嫌な思いをしたくないから生徒会長になりたかったんだ・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「なのに、こんな思いをし続けるぐらいなら やる意味なんてない・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──俺は、アンタみたいに人のために生徒会をやりたかった訳じゃない・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「”俺のために”生徒会をやりたかったんだ...」
ガラル・ライカ「・・・・」
ガラル・ライカ「── ッ」
  シュル・・・
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「俺は、生徒会長の件を自ら破棄するよ」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「あんたの言う通り、俺は生徒会長にはもう 成れないし・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──成るべきじゃない」
ガラル・ライカ「生徒会には”受け皿”が必要だ・・・」
ガラル・ライカ「丈夫で、なんでも支えれる”受け皿”が...」
ガラル・ライカ「私は、それを君に任せたかった・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「・・・・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「だったら、アンタがやればいい・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──少なくとも、俺には無理だ」

〇教室
  先生
   この公式は、こういった時に使えて───
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「・・・・・・」
  あれから、一週間・・・・
  ──俺は、驚くほどいつも通りに戻った
  授業受けて、昼飯食って帰る。この前までは考えられなかった日常を今過ごせている
  アイツらと会うのをやめてからは、余裕ある時間と───

〇田んぼ
  ──”気持ち悪さ”がなくなっていた

〇教室
  原因に、アイツらが間違いなく関わっている
  でなければ、あんな昔の事を唐突に思い出すはずがないからだ
  だったら、”あれ”を思い出さないように 関係を断った方が良いに決まってる
  それに、”時間は純金よりも価値がある”と言われている
  生物には有限の寿命が存在し、寿命を金で
  買うことはできない
  それなのに、この世界は何をするにも時間を消費し、無慈悲にそれを奪っていく・・・
  例えどんな節約家でも、時間を消費せず生活することはできない・・・・
  だからこそ、効率良く生きてると言うことは
  ”正しく生きてる”ということだ
  長い長い”人生”は、一瞬一秒の集合体
  テスト解いてる時も一瞬の判断で点数が大きく変動したり、生死分けることだってあるかもしれない・・・・
  それぐらい”一秒”という時間は尊くて重い
  でも、”あんな過去”を思い出したり、
  もだえたりするのは時間の無駄・・・
  アイツらと会うたび、それを思い出すので
  あれば ──縁を切るべきだ
  これを機に有用な時間の見直しを──
  先生
  この問題は、さっき教えた公式を使えば簡単に解けるからしっかり覚えておけよ
  先生
  それと、お前ら二年だから一応言っておくが・・・
  先生
  ──この世に正しい公式は存在しない
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「はあ?」
  先生
  今後、お前らは試験や受験とかでたくさんの問題を解くことになるだろうし、そこには必ず正しい答えが用意されてる
  先生
  だが、その先には正しい答えなんてない
  先生
  ──つまり、”白紙だ”
  先生
  周りが正解だからといって、それが自分の中のやりたかった事や成りたい自分を保証してくれる訳じゃない・・・
  先生
  所詮、正解なんていろんな事ができる世界の生き方の一つに過ぎない
  先生
  つまりだ、俺が言いたいのは──
  先生
  ──”間違えまくれって事だ”
  先生
  間違いは、人生”唯一の解答”であり、人の道を指し示めしてくれる”武器”だ
  先生
  ひとつ間違いを知っていれば、少なくともなりたくない自分の可能性を一つ潰せる
  先生
  お前ら若えんだから、色々なこと試して多く間違えろ!そこから出来上がる自分なりの
  ”解答用紙”でも作れよ
  ──やめろ、やめろ、やめろ!何言ってんだ、あのばか教師!明日にでも学校やめんのか!?
  困惑する生徒
  な、なにかあったんですか、先生・・・?
  先生
  いや〜、最近読んだ本でこんなこと書いてあったから、つい言ってみただけw
  先生
   まッ!つまらん授業の息抜きになっただろ
  ──息抜きどころか痛々しすぎて息が詰まるんだが!
  なんだよ”白紙”って、分からなすぎて頭
  真っ白にさせる気か!
  先生
  ──あ、そうそう、そういえば 葛井!
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「は、はい!」
  先生
  悪いんだけど、飼育小屋の俺のウサギどもの餌やり、頼んでもいいか?
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──分かりました」

〇グラウンドの隅
  ──長い長い人生は、一瞬一秒の集合体だ
  だから、一秒だって無駄にする訳には──
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「ほーら!ウサギども 餌だぞー!!」
  先生のうさぎ
  ──ガッガッガツ!!
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「よく食べるな〜、お前ら」
  葛井 竜逸 (くずい りゅういち)
  よく見たら、小屋のなか汚れ初めてんな
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「仕方ねえ、ついでに掃除もしてってやるか」

〇グラウンドの隅
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「─モサノ内、モサノスケ、モサ次郎・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「うん、全員体調よさそうだな」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──長生きしろよ、お前ら」

〇おしゃれな食堂
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「いや、いい仕事したぜ!」
やどっ君「──お疲れ、竜ちゃん」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「いや〜、ウサギどもの面倒見るのも楽じゃ ねぇわーw」
やどっ君「──あはは」
やどっ君「でも竜ちゃん、あんがい動物好きちゃよね」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──いや、全くもって好きではないが」
やどっ君「えええ!!」
やどっ君「でも先生に頼まれた以上の事してんじゃ.... 掃除とか、体調管理とか・・・」
やどっ君「獣人嫌いの竜ちゃんだったら、動物も嫌いと思ったっちゃけど?」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「まあ、飼われてる動物は俺らが世話しないとすぐ死ぬからな・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──それに、”気が紛れる”・・・」
やどっ君「まあ、動物はバリ可愛いっちゃからね!」
やどっ君「僕は、直接触れんけど・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「そんなに触りたいか?動物なんて綺麗なものじゃねえぞ」
やどっ君「だとしても・・・」
やどっ君「──”傷つけず” 触れた方がよかぁ・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「─────」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「・・・悪い、余計なこと言った」
やどっ君「ううん・・・全然、気にしとらん」
やどっ君「──早く、ご飯食べんと」
  ──バリバリベリバリッ!!
やどっ君「う〜ん❤️これ、すいと〜 [好き〜]」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「はは、食べる姿を見るとやっぱり獣人だなって感じるよ(いい意味で)」
やどっ君「────」
やどっ君「ちょっと意趣返しのつもりで聞くけど・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「やっぱ、気にしてんじゃん・・・」
やどっ君「どうして、僕と友達になってくれたん?」
やどっ君「こんな見た目だけん、僕も獣人やし・・・」
やどっ君「竜ちゃんがわざわざ友達になろうとするほどの相手ではないというか・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「別に、俺が誰と関わろうと勝手だろ」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「時の運で友になった、それだけだ・・・」
やどっ君「でも、納得いかんとー ・・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「俺にも好き好みのクセぐらいある」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「トマト嫌いのガキでもケチャップは食えるって奴はいるだろ?一概に獣人が嫌いって訳 じゃねえんだよ・・・・」
やどっ君「少し違うような・・・・」
やどっ君「竜ちゃんには、他の獣人とも仲良く──」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──”なれる”訳ないだろ!!」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「奴らは、獣人保護の条約を利用し、好き勝手に暴れまわるクズばかりだ!」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「力があるからと勘違いして、弱い者を痛ぶる事にも躊躇わず、死んでも素知らぬ顔でのうのう生き続ける」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「所詮、社会のルールを少しかじっただけで ”獣”である事にはなにも変わらない!」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「おまけに、人と似たような姿をしているのが本当に気分が悪い!!」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「人だから、人の姿なんかしてるから、お優しい人間様が、そんな”獣”でも迎え入れようと努力する──」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──そんな”社会”が、俺は死ぬほど憎い!」
やどっ君「・・・・・・」
やどっ君「なして・・・・」
やどっ君「なしてそこまで、竜ちゃんは・・・・」
  ──バタン!!
やどっ君「──な、なんや!?」
ガラル・ライカ「はあ・・・はあ・・・」
やどっ君「あれは、生徒会長・・・?」
やどっ君「──竜ちゃん!あれ、生徒会長とよ!!」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「・・・・そうだな」
やどっ君「なしてか、地面に倒れちゃっけど大丈夫 とー・・・?」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「大丈夫なんじゃねーの、生徒会長なんだし」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「誰かが助けてくれんだろ・・・」
やどっ君「で、でも・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「いいんだよ!俺には、もう関係な──」
やどっ君「──でも、」

〇おしゃれな食堂
  やどっ君
  ──会長の周り、”誰も”いないとよ
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「はあ?」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「いやいやいや!ここは食堂なんだから、人なんてごった返すほどい──」
  食堂にいた男グループ
   お前・・・会長、助けてやれよ・・・
  食堂にいた男グループ
   嫌だよ、会長って”ライオンの獣人”って噂だろ?体調悪い時に近づくと、怪我するって聞いたし・・・

〇おしゃれな食堂
  男子生徒
   それに、獣人なんて何ついてるか分からんから、シンプルにやだ・・・
  男子生徒
   それに、会長なら自分でなんとかするだろ
  食堂にいた女子グループ
   つーか、早く立ってくれないかな・・・
  食堂にいた女子グループ
   肉食獣って、自分勝手だからホント迷惑で
  ”嫌い”だわー
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──!!」

〇川に架かる橋の下
  俺、犬ってキャンキャン吠えるから嫌いなんだよな──
  あのさあ、いい子ぶるのやめろよ・・・
  これだけ多くの奴が同じ事言ってんのに、
  なんでお前だけ───

〇おしゃれな食堂
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──ゔッ!?」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「はあ・・・はあ・・・」
  (──なんで、こんな時にあの記憶が !!)

〇おしゃれな食堂
やどっ君「どうかしたの、竜ちゃん?」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「な、なんでもない・・・」
やどっ君「会長さん、だいぶ体調悪そう・・・・」
やどっ君「僕、ちょっと助けに行ってくる!!」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「なあ やどっ君、ちょっといいか・・・?」
やどっ君「──ん?なんや」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「”俺は、どうするのが正解なんだ”・・・・」
やどっ君「──?」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「普通であれば、人や獣人関係なく助けるのが正解だと思うし、君ならそう言うはずだ...」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「でも俺は、アイツが”獣人”だから助けるべきなのか分からなくなってる・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──ッ!!」
やどっ君「・・・・」
やどっ君「僕はね・・・・」
やどっ君「──竜ちゃんがいう”獣人”になりたくないから助けるんよ」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「!!? 違う!あれは、お前に言った訳じゃ──」
やどっ君「うん、分かっとる」
やどっ君「でも、他人事でもないと思うんよ・・・」
やどっ君「僕が触った人たちは、全て毒で怪我させる」
やどっ君「それが僕の意志と完全に反しとったとしてもね...」
やどっ君「一応、対策のためにこんな服を着てっちゃ けどいろんな可能性の前では”絶対”なんてことはありえん」
やどっ君「──だから、行動として助けるんよ」
やどっ君「もしも、誤って人を傷つけてしまった時、その罪を自覚せず生きてしまわんよう」
やどっ君「相手の痛みを知れる”獣人”であるためにね」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「・・・・・・」
やどっ君「結局、僕も自分のために動いとるだけなんよ」
やどっ君「助けた相手の痛みを知るために・・・・」
やどっ君「だから、竜ちゃんも自分のために動けば良いんじゃないかな・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「・・・怖くないのか」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「痛み自覚すれば、怪我させた時に永遠に苦しめられることになるぞ・・・・」
やどっ君「怖いよ、”とても”・・・・」
やどっ君「でも、竜ちゃんも過去に獣人と何かあったから、あんな事言ったんでしょ」
やどっ君「だったら、そんな人が少しでも減らせるなら怖くて怯えてる訳にはいかんよ」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「・・・・・・」
やどっ君「じゃあ、会長を助けに行ってくるとー」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「・・・・待て、俺もいく」
やどっ君「──!!?」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「今考えたら、アイツは会長なんだから恩を 売っておいて損する相手じゃないし」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「アイツに、悪いことをした罪悪感がないわけ でもない」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──俺も、俺のために助けるよ、獣人を」
やどっ君「そっか・・・」
やどっ君「じゃあ、一緒に保健室へ運んでってあげよ!」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「そうだな」

〇おしゃれな食堂
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「おーい 大丈夫か、会長──」
ガラル・ライカ「ああ・・・・君か・・・・」
ガラル・ライカ「すまないな、すこし体調をくずしてしまってね...」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「なにやってんだよ、まったく・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「やどっ君、そっちの肩持ってやってくれ」
やどっ君「うん、分かった」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「よいしょっと・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──ん?」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──!!?」

〇保健室
やどっ君「──失礼します」
やどっ君「あれ? 先生いない・・・・」
やどっ君「──ごめん竜ちゃん、職員室まで行って 先生呼んでくるとー」
  ──カシャン
ガラル・ライカ「助かったよ、葛井 竜逸」
ガラル・ライカ「まさか、君に助けられることになるなんてね」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「─────」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「なあ・・・・」
葛井 竜逸 (くずい りゅういち)「──”なんで、焼いた肉なんか食べた”」

成分キーワード

ページTOPへ