異世界≒シブヤ

ペンネ

渋谷が異世界な人たち(脚本)

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〇テラス席
道玄「ドンのやつ、遅いな」
光メグミ「まだ道がわからないのでしょうか・・・」
ドン・キホーテ「いやー、すまんすまん」
道玄「また迷子だったのか」
ドン・キホーテ「荷出しが終わらなくてなぁ」
光メグミ「レストランのお仕事大変ですね」
ドン・キホーテ「客商売だから、仕方ないさ」
道玄「しかし、相変わらずの服装だな」
ドン・キホーテ「これでも気を使ってるんだが・・・」
道玄「甲冑を脱いでも、まだまだ普通の格好とは言えんぞ」
ドン・キホーテ「騎士の誇りを脱ぐのはツライ決断だった・・・」
光メグミ(別に騎士だって、いつも甲冑を着てるわけじゃ・・・)
光メグミ「道玄さんは見事な着こなしですね!!」
道玄「呉服屋で働いてるからな」
光メグミ「お二人とも、数百年後の世界に順応できていて素晴らしいです!!」
ドン・キホーテ「それもメグミ殿のおかげです」
道玄「オレもドンも最初は酷かったからな」

〇道玄坂
道玄「おのれ、妖怪変化ども!! なにをした!!」
タカ「とても本格派な和装ですね」
道玄「出たな、妖怪!!」
タカ「往来での抜刀は物騒です。 落ち着きましょう」

〇テラス席
道玄「・・・危うく将来の友を斬りつけるところだった」
光メグミ「その出会いから、お仕事を紹介してもらえた道玄さんもスゴイです」
ドン・キホーテ「あんな状態じゃ、誰だって混乱する。 俺も酷かった・・・」

〇スペイン坂
ドン・キホーテ「な、なんだココは!!」
ドン・キホーテ(私は風車に突撃したはず・・・)
  大きく聳え立つビル群
ドン・キホーテ「なるほど。 巨人のやつ、さらに巨大化したか・・・」
ドン・キホーテ(しかし突撃するにも馬がなくては・・・)
三都「はい。通りますよ」
ドン・キホーテ「おや、サンチョじゃないか!!」
三都「え、オッサン誰だい」
ドン・キホーテ「何を寝ぼけている、巨人退治だ!! 馬を用意しろ」

〇テラス席
ドン・キホーテ「あと少しで、109にバイクで突撃するところだった・・・」
光メグミ「お二人ともよく逮捕されませんでしたね・・・」
道玄「メグミは今よりもずっと未来から来たんだよな」
光メグミ「そうですね。令和レトロって憧れだったんですよ」

〇渋谷ヒカリエ
光メグミ「もしかして渋谷ヒカリエ!!」
光メグミ「写真で見たとおりだ!!」
ゆき(コスプレ? ハロウィンでもないのに・・・)
光メグミ「生JKだァァ!!」

〇テラス席
光メグミ「まさか憧れの時代に来れるとは思ってなかったですよ」
光メグミ「私の時代でも、タイムトラベル技術はないですからね」
道玄「しかし、なぜ俺たちはこの時代に来たのか・・・」
光メグミ「どうすれば帰れるかも、まったく検討がつきませんし」
ドン・キホーテ「魔術師を倒しさえすれば、元の世界に戻れるはずだ!!」
道玄(また始まった・・・)
光メグミ「引き続き調査しておくので、今日は解散にしましょう」

〇SHIBUYA SKY
魔王「な、なんだこの世界は!!」

〇ケーキ屋
光メグミ「コレが夢にまで見たパンケーキ!!」
ゆき「テンションエグいって・・・ 未来では一体なに食べてたの?」
光メグミ「・・・思い出させないでください」
ゆき「そ、そんなに!?」
ゆき「どうかした?」
光メグミ「今の人、変わったペンダントを着けてましたね」
ゆき「最近アレ着けてる人、多いよね。なんかみんな暗い感じだけど」

〇試着室
道玄「お買い上げありがとうございます!!」
タカ「相変わらずのマダムキラーっぷり。 お見事です」
道玄「おやタカ殿、今日は非番では? どうかされましたか?」
タカ「じつは道玄さんにちょっとご相談したいことがありまして」
道玄「これは?」
タカ「最近、巷で流行ってる装飾品なんですが、少し妙なんです」
道玄「妙というのは?」
タカ「皆、一様に生気をなくして、人が変わったようになってしまうみたいです」
道玄「ほう」
タカ「この異変が、なにか道玄さんの転送と関わりがあるかと思って」
道玄「なるほど。 これ、お貸しいただけるか?──」
タカ「もちろん」

〇広い厨房
料理長「ズッキーニのグラタンあがり」
三都「はい、よろこんで!!」
料理長「ドン、奥からアクアパッツァの魚取ってこい!!」
ドン・キホーテ「はい。ただいま」
料理長「掛け声は『よろこんで』だろ」
ドン・キホーテ「はい、よろこんで!!」

〇スペイン坂
ドン・キホーテ(けっこう重いな)
ドン・キホーテ「なんだこの気配。 駅前から・・・」
三都「おいドン、魚まだか?」
ドン・キホーテ「サンチョ、遂に魔術師が来たぞ!!」
三都「お、おい。どこ行くんだよ!?」

〇渋谷の雑踏
道玄(たしかに、行き交う人々の大半があのネックレスを着けている)
光メグミ「道玄さん!!」
道玄「メグミ、お前も来てたのか」
光メグミ「あのネックレス、なんだか嫌な感じがして・・・」
ドン・キホーテ「怪しい気配!!」
道玄「ド、ドン。 お前まで!!」
ドン・キホーテ「御二方とも、魔術師の気配を察知されたのですな!!」
ドン・キホーテ「むむ、そこだ!!」

〇SHIBUYA SKY

〇渋谷の雑踏
(ホントになんか居る!!)
ドン・キホーテ「覚悟、魔術師!!」
「ドンさん、待ってください!!」

〇SHIBUYA SKY
魔王「ペンダントもかなり行き渡ったな。 もうすぐこの街はワシの意のままよ・・・」
ドン・キホーテ「魔術師、覚悟!!」
魔王「なんだ、お前たちは」
ドン・キホーテ「我々はお前の魔の手からこの街を守るために来た者だ!!」
魔王「面白い。かかってこい」
魔王「くっ、見事だ」
道玄「おい、ドンは大丈夫か!!」
光メグミ「はい、気を失ってるだけみたいです」
道玄「ペンダントで何をしようとした!!」
魔王「知れたこと。人々を洗脳しての街を乗っ取るまでよ・・・」
光メグミ「道玄さん、倒しましょう!! 元の世界に戻れるかもしれませんよ」
  道玄、魔王の首元に突きつける。
魔王「殺せ、その覚悟は出来ている」
道玄「・・・俺にはできない」
光メグミ「道玄さん、どうして・・・」
道玄「俺達は、突然来たこの世界で受け入れられた。 その俺達の役割が、コイツを殺すことだとはどうしても思えない・・・」
光メグミ「で、でも・・・」
道玄「それに、コイツを殺して、元の世界に戻れる確証はあるのか?」
光メグミ「そ、それは・・・」
道玄「確かにコイツはとんでもないことをやろうとした。 でも、突然別の世界に来たら混乱もするだろ」
道玄「オレはそれを責める気にはならねぇ・・・」

〇黒
  半年後・・・

〇メイド喫茶
魔王「グ、グァあ!!」
光メグミ「やったわ、コレで遂に魔王を倒した!!」
ドン・キホーテ「お見事です、勇者様」
  店内に割れんばかりの拍手が鳴り響く。
ドン・キホーテ「次の回は15時からです!! 是非見に来てください」
「ありがとうございました!!」
  舞台からはける3人
  レジに立つ道玄、満足気に頷く。
  完

コメント

  • 次元や人種の違う者たちが令和時代の渋谷で出会ったコミカルな物語のようで、お互いがそれそれの立場を理解しようと努め、受け入れ交わった偏見をなくそうとする意図が垣間見える素敵なストーリーでした。

  • 渋谷自体が異世界に見えるって言うのはわかるような気がします。
    人がたくさんいるところは、得てして人の気が集まりやすいんですよね。
    そんな中で馴染んでる4人(?)はすごいと思います!

  • まぁ転生?したのは魔王討伐が目的なのかもわからないし…。
    でもこうして魔術師も改心して演劇で人を楽しませられるようになったのだし、結果オーライですね笑

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