ABS

山本律磨

九話(脚本)

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山本律磨

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〇要塞の回廊
ミコ「お助け下さい」
  『なりませぬ。人の子よ』
タケル「やめろミコト!こいつは俺が倒す!」
ミコ「お出まし下さい」
  『なりませぬ』
スサノオ「ははは、それで良い。ヒルコを呼べ」
  『ヒルコはこの地に災いをもたらす』
  『神も人も焼き尽くす光の化身』
スサノオ「何を言われる。光は姉君ただひとつ」
スサノオ「アマテラス様こそ我らが光! ヒルコなど恐れるに足らず!」
ミコ「お出まし下さい。お助け下さい」
ミコ「お出まし下さい。お助け下さい」
ミコ「神様・・・」
エビス「この声・・・」
エビス「この声だ」

〇アマゾン川のほとり
エビス「・・・」
  『お出まし下さい』
エビス「何だ?」
  『お助け下さい』
エビス「何だこの声は?」
  『お出まし下さい。お助け下さい』
エビス「我を呼んでおるのか?」
  『神様・・・神様・・・神様・・・』
エビス「我を呼んでおる」
エビス「このひとりがみに祈ってくれておる」
エビス「分かった!今参ろうぞ!」
エビス「海を越え、 波を渡り、 必ずやそなたの下に参ろうぞ!」
エビス「待っておれ!」

〇沖合
「えっほ!えっほ!えっほ!えっほ!」
エビス「待っておれーーッ!今参るぞーーッ!」

〇要塞の回廊
ミコ「お出まし下さい・・・ヒルコ様」
エビス「ヒルコ・・・」
エビス「そうか」
エビス「そなたが呼んでいた神は、 我ではなかったのだな」
ミコ「お助け下さい。ヒルコ様・・・」
エビス「・・・」
タケル「うううッ・・・」
ミコ「タケル様にお力を・・・」
ミコ「アシハラにお力を・・・」
ヒルコタケル「ククッ・・・」

〇要塞の回廊
ヒルコタケル「これだこれだ・・・」
ヒルコタケル「見たかタカマガハラ。 やはり人の子には、 この地には俺が必要なんだ」
スサノオ「呪われし神。 捨てられし神。 流されし神」
スサノオ「何が光の子か!貴様は蛭の子だ!」
  『退きなさい、スサノオ』
  『その者は禍、関わってはなりませぬ』
ヒルコタケル「・・・チッ」
スサノオ「禍だからこそ討つのです」
  『砦は捨てよ』
  『アシハラはまもなく滅び去ろう』
スサノオ「聞けませぬ!」
スサノオ「地上は私が取り戻す!」
スサノオ「この地は神が治めるのだ!」
スサノオ「ぐあっ!」
スサノオ「放せ!放せ姉君!」
スサノオ「我を解き放て! 地上を取り戻せーーッ!」
  『人の子よ、聞きなさい』
  『アシハラの民よ、聞きなさい』

〇要塞の回廊
アマテラス「我はアマテラス」
アマテラス「タカマガハラの主神にして日輪の化身」
ミコ「あなたがアマテラス様・・・」
ヒルコタケル「・・・フン」
アマテラス「人の子よ。 今日よりアシハラの地は そなたらに明け渡します。 我らはただ天より見守りましょう」
アマテラス「されど『ヒルコ』は信じてはならぬ」
ヒルコタケル「・・・」
エビス「・・・」
アマテラス「『奴ら』は遠からず人に災いをもたらす」
アマテラス「我等はただ、見届けるのみ」
アマテラス「自由とやらの代償。 乗り越えてみせよ」
ヒルコタケル「・・・うう」
ヒルコタケル「畜生・・・俺は負けてねえぞ」
ヒルコタケル「くそ。目覚めやがったか、鬱陶しい」
ヒルコタケル「タカマガハラも去った。 そろそろ完全に、 この体をいただくとしよう」
ヒルコタケル「うん?」
エビス「・・・」
ヒルコタケル「何だ、貴様」
ヒルコタケル「・・・!」
ミコ「タケル様!」
タケル「・・・終わったのか?」
ドキ「はい、終わりました」
ドキ「そして始まりでもあります」

〇要塞の回廊
ドキ「我ら人の子による、 新たなる時代の始まりだあーーーッ!」
タケル「そうか。ならばよし」
タケル「これから楽しくなりそうだな、ミコ!」
ミコ「私はタケル様が無事ならそれで充分です」
ミコ「いつまでも永久に・・・」
エビス「さてと。我もおいとまするか」
エビス「再びひとりぼっちのあの島へ・・・」
シバ「あら。 あなたが海を越えてやってきた 神様かしら?」
エビス「誰じゃ?」
シバ「シバと申します。よろしこ~♪」
エビス「・・・?」
  第一幕、おわり

次のエピソード:十話

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