第74話 失楽園(脚本)
〇ホテルのエントランス
2021年 イリノイ州 ピオリア郡 ピオリア市 パー・ア・ダイスホテル・カジノ ロビー
翌日の朝、皆が目を覚ましロビーに集まる。しかし鸞は昨日の出来事を話す事は無く
2人1組でそれぞれが行動を始めた
〇西洋の市街地
ピオリア市内 市街地
キング「なぁじいさん、ちょっといいか?」
キング「俺らなんかすげぇ見られてねえか?」
エンチャント魔導法士「余程男が嫌いなんだろうな···失楽園の天使達は男と『いざこざ』があった者で編成された軍だからな」
キング「そんなに嫌いなのか?俺ら何もしてないのに?」
エンチャント魔導法士「失楽園の天使達は元々『コロンビアの革命軍』なんだよ。女性の権利主張を主にしておった軍でな」
エンチャント魔導法士「昔は『南米のジェンダー問題』を失楽園の天使達が変えるんじゃないかって言われてたくらいだ」
キング「でも南米からカナダに移動したんだろ?何があったんだ···?」
エンチャント魔導法士「当時のコロンビア政権にマリア達は和平を持ちかけられ、大統領府に向かった」
エンチャント魔導法士「しかしそこで政府に騙されマリア達は捕まり、裁判を飛ばして処刑される事になったんだが···」
エンチャント魔導法士「一応国民に向けてのアピールとして形だけの裁判を連日繰り返していた。その間マリア達は」
エンチャント魔導法士「政府の要人達や上級国民達に対して半ば強制的に『性的奉仕』をさせられていたそうだ」
キング「ひでぇな···それで男恨んでるのか」
エンチャント魔導法士「まぁ結果として雪月頼が立ち寄った事によって要人達は『雪に埋もれて』死んで、雪月頼の手助けで」
エンチャント魔導法士「マリア達はカナダを拠点に行動することになった訳だが···マリア達はその事があって」
エンチャント魔導法士「今でも『男は穢れ』という考えが定着している。ワシらも恩人の孫の仲間って事で許されているが」
エンチャント魔導法士「本来ならゲート付近で弾かれてるし、それを無視して入ってたとしても姫騎士達にブッ殺されてただろうな」
キング「怖ぇな··· ··· ···あいつらが見てるのって···」
エンチャント魔導法士「『監視』だろうな。恩人の孫の仲間といえど男、何をするか分からない蛮族と同じだと思われているだろう」
キング「ひでぇなァ··· ··· ···俺ら下手に動かない方が良かったんじゃねぇのか?」
エンチャント魔導法士「かもな··· ··· ···まぁひとまず、教会に行ってみるかな」
〇宇宙空間
ピオリア市 リバーフロントミュージアム プラネタリウムゾーン
フェード「良い景色だ···本当に宇宙に居るような···」
フェードと凪園はプラネタリウムゾーンの中で、上を見つめながら立ち止まっていた
凪園無頼「だねー··· ··· ···あ、フェードあれ何かわかるー?」
フェード「む···なんだあれ···山羊座とかか?」
凪園無頼「あれオリオン座だよー。言われればわかっかもだけど意外に星座って見つけにくいんだよねー」
フェード「あれオリオン座なのか!確かに赤いのあるな!」
凪園無頼「そーそー、んでーあの下がうさぎ座でねー?『オリオンが狩りでうさぎを追いかける』様子になってたりすんだよねー」
フェード「お前詳しいな···好きなのか?星座」
凪園無頼「母ちゃんに読み聞かせしてもらったりしてたから覚えたんだよねー」
フェード「そうか···よかったら他の星座のことも聞いていいか?例えば···あれとか」
凪園は星座のことただただ話していた。そんななんでも無い時間を2人は過ごしていた
〇美術館
ピオリア市内 レイクビュー芸術美術博物館
斎王幽羅「すごいねこれ···なんかよくわかんないけど美術品がいっぱいある」
鸞「こっち見てみろ斎王、四代目Xヒーローの年表と当時の品があるぞ」
斎王幽羅「ほんとだ···俺が生まれる前の物語··· ··· ···あ、ここだよ俺が産まれたの」
斎王が年表に指を指す。年表の下には当時雪月雪羅に宛てた『三代目Xヒーローのメンバー』の手紙が展示されていた
斎王が懐かしむ様子を見せながら歩を進めると、ある場所で止まる。
年表には『2■■■年、雪月雪羅殺人事件発生。』と記されており、ここで斎王勇次郎と雪月頼、鬼月冷羅の3人が別れ
四代目Xヒーローの事実上『解散』になったとされていた
そして鸞はある疑問を抱き、斎王に問いかける
鸞「斎王、そういえばお前のお父さんもエジプトで仲間を募っていたよな?あれはどうなったんだ?」
斎王幽羅「父さんが死んだ当時に、父さんの遺言に従って『福岡』を目指したんだけど」
斎王幽羅「鳥獣族で編成された部隊『ホルスの目』は空軍に殺されたし、異能船『テセウス』はジブラルタル海峡に向かった後そこで沈んだし」
斎王幽羅「陸路で移動していた『名無しの流民』もパキスタンで交戦、そこから消息不明で···」
鸞「そうか···話題に出さないから何故かと思ったが··· ··· ···すまん、辛いことを聞いてしまって」
斎王幽羅「いや大丈夫···普通は気になるしね。あ··· ··· ···」
重い歩みで歩を進め、またしても止まる。止まった場所の年表には『2■■■年、斎王勇次郎と雪月頼が衝突』
『グレーデイと呼ばれる悪夢の3日間が世界を襲い、世界人口の4割が双方の異能力により死亡』
そう記されていた。年表の下には当時の写真があり
泣き崩れる女性の目の前に体の半分が塵に、もう半分が真っ白になった男性の遺体がある写真が展示されていた
斎王はそんな写真を見て、昔の事を思い出し顔を白くし、その場で震え出した
斎王幽羅「あ···あぁ···!あぁぁぁっ···!」
鸞はそんな斎王を見て『落ち着け』と声をかけるも、斎王は頭を抱えてその場に座り込む。
目を見開き、自身の不安をかけすように声を上げる斎王に鸞は『抱きしめる』事しかできなかった
鸞「大丈夫···大丈夫だ···斎王、大丈夫だから···」
鸞はただただ『大丈夫』としか言えなかった。ひたすらに背中を撫で斎王を落ち着かせようとした
そうする事しかできなかった。鸞はそんな自分に悔しさを抱きながらひたすら斎王を撫でいた
しかし、そんな2人を『男』は見つけた
To Be Continued··· ··· ···