気合(脚本)
〇砂漠の基地
96番「・・・・・・・・・」
サヴォイア「・・・いつでもどうぞ」
96番「・・・そうかい──」
91番「・・・始まるぞ」
21番「っ速い!」
96番「一発食らっとけ!」
サヴォイア「お、速いね~じゃあ、こっちも見せてあげる」
サヴォイア「『花吹雪』」
96番「!」
96番「くっ!」
21番「何だ今の技は!?」
サヴォイア「フフフ・・・」
96番(目くらましのような物か?)
96番「チッ!」
21番「96番!!」
91番「落ち着け、しっかりガードしてる」
96番「ははっ、やんじゃねぇか」
サヴォイア「・・・あと3回」
96番「あ?」
サヴォイア「『花吹雪』の舞う回数だ」
96番「・・・・・・・・・」
21番「構わず突進した!?」
96番「打ってみろよ・・・もう一遍!」
サヴォイア「余程殺されたいようだ。良いだろう・・・」
サヴォイア「『花ふぶ」
サヴォイア「くっ!?」
サヴォイア(・・・見間違いか?いや・・・)
21番「今、サヴォイアの花吹雪が出る前に・・・」
91番「96番の技だ」
91番「どんな奴でも、技を出す時には一瞬隙が生じる」
91番「その隙を、96番は見逃さない」
91番「神業だ」
96番「楽勝♪」
サヴォイア「・・・くっ!」
サヴォイア(『技が発動できなかった』。 ・・・どういう原理だ?)
96番「1回目。それが最初で最後のチャンスだったんだよ」
96番「お前は、好機(チャンス)を逃した」
サヴォイア「・・・い、1回止めた位で良い気になるな!」
21番「サヴォイアが体勢を立て直したぞ!?」
サヴォイア「はああああ!」
21番「魔法陣!?」
91番「・・・マズいな」
21番「え?」
96番「ハッ!無駄だっての──」
96番「ぐっ!」
96番(防御はできたが、何度か食らった事でダメージが蓄積されちまってる!)
96番「はあ!!」
96番(接近するしかねぇ!!)
96番「なっ!」
21番「今。アイツ、『打ってない』よな?」
91番「・・・魔法陣だ」
91番「さっきの魔法陣。恐らくあれは、対象を自動的に追尾して攻撃する類の物だ」
21番「そんな事できるのか!?」
91番「ああ。奴らの開発した玩具ならな」
21番「『玩具』?」
91番「まあ、それはおいおい話す。今はアイツらに集中だ」
96番「チッ!くだらねぇんだよ・・・」
96番「ぐっ!」
96番(ウゼぇ!一発一発の威力は大した事ねぇが、着実にこっちの体力を削ってくる!)
サヴォイア「さあさあ、近付いてごらん? まあ・・・近付く前に君の体力がなくなるだろうけど」
96番「・・・クソが!」
21番「っ96番!」
91番「慌てんな21番。こっからだろうが」
21番「え?こっからって・・・」
91番「アイツの力は、動体視力と速さの延長。 これらは至近距離で特に活かされる物だ」
91番「つまり、アイツは何としてでもサヴォイアに接近する必要がある」
21番「だけど、あの魔法陣で攻撃を連発されちゃあ・・・」
91番「そう。キツいな。 だが、一撃まともに食らった所で死にゃあしねぇ」
21番「!まさか・・・」
91番「そう。根気だ。 技食らいながらでも、死ぬ気で相手に一発叩き込む」
21番「・・・・・・」
91番「今、「んな無茶な」って思っただろ?」
21番「・・・はい」
91番「まあ見てろ。これはただの無茶じゃない。 勝つ為の無茶だ」
〇砂漠の基地
96番「フゥゥゥゥ・・・」
96番「ぐふっ!」
サヴォイア「おや?遂に防御すら取らなくなったか」
96番「フゥゥゥゥゥゥゥ────」
96番「だああああ!!!」
サヴォイア「真っ直ぐ向かってきた!」
サヴォイア「だが、それなら対処も容易い!」
サヴォイア「『花吹雪』!」
サヴォイア「止まらない!?」
サヴォイア(一発の威力はそこまで大きくないとはいえ、ノーガードで俺と魔法陣の花吹雪を同時に食らってるんだぞ!?)
96番「んな『猫だまし』じゃあ・・・俺は倒せねぇぞ!はああ!」
21番「射程距離に入った!」
サヴォイア「く・・・おら!」
サヴォイア「当たらない──!」
21番「接近戦は96番が有利だ!」
91番「サヴォイアの動きも悪くはねぇ。だが、96番は単純な殴り合いでもトップクラスだ」
91番「この勝負、決着はついたぞ」
サヴォイア「クソォォォ!!!」
サヴォイア(何故だ・・・何故! まだ魔法陣の効果は続いてる! 今もアイツは花吹雪を食らい続けている!)
サヴォイア(それなのに・・・何故!)
サヴォイア「何故動ける──!?」
96番「ハッ!気合が足りねぇんだよ・・・ そろそろトドメだ」
96番「オラァ!!!」
サヴォイア「うっ!」
サヴォイア「ぐあっ!」
サヴォイア「やめっ・・・」
21番「・・・・・・・・・」
試験官「・・・そこまで。 この勝負、96番の勝ちだ」
96番「・・・フン」
試験官「既定通り、『レオナルダ社』は『AlphaBet』の傘下・・・つまり、子会社となる」
試験官「この件は俺が向こうに話を通しておこう。勝った時の条件も既に伝わっている筈だからな」
96番「助かるぜ。俺は交渉や話し合いは苦手だしな」
91番「まあ、何にせよお疲れ様。 良い戦いだった」
96番「フン・・・だろ?」
96番(・・・いつの間に、『魔法陣』も解けてやがる)
96番(術者の意識がない状態では使えないのか・・・?)
91番「その辺も、レオナルダ社から情報提供してもらえばすぐにわかるさ」
96番「テメェ・・・なんで俺の考えてる事」
91番「バカはわかりやすいからな」
96番「なっ!誰がバカだ、テメェ!!」
91番「お前だよバカ」
96番「ああ!?殺す!!」
21番「・・・・・・」
21番「気合、か・・・」
術の力を根性で捻じ伏せるとはやりますね。
決闘で会社が吸収された事で、何が起こるのか気になります。