〇牢獄
ミコ「エビス様！好機です！」
ミコ「衛兵が駆り出されている隙に脱出します！」
ミコ「うりゃああああああ！」
ミコ「あたたたた・・・」
エビス（体当たりって・・・）
ミコ「ほら！スカしてる暇あったら 一緒に体当たって下さい！」
ミコ「人は神様ほど長く生きられません！ だから自由を求めるんです！」
ミコ「おりゃああああああ！」
ミコ「いたたたた・・・」
エビス「ふん。神とて死ぬるわい」
ミコ「え？」
エビス「無論誰ぞに殺められた時。 ・・・そして」
エビス「人にも獣にも必要とされなくなった時だ！」
エビス「おりゃああああ！」

〇黒

〇要塞の回廊
アシハラの民「進め進め！今こそ神々を天に追いやるぞ！」
アシハラの兵「地上は人間のものだ！」
タカマガハラの兵「くっ、おのれ、ケダモノどもめ！」
タケル「雑魚ァ引っ込んでろ！」
タカマガハラの兵「ぐはっ！」
タケル「ミコ！どこだーーーッ！」
　　『静まれ！獣どもよ！』
スサノオ「すべて思うがままに生き、 全て思い通りになると信じている。 それが自由か？」
スサノオ「なんと醜い」
スサノオ「自由なる醜悪、今こそ断ち切ってくれる！」
タケル「そこをどけ！スサノオ！」
スサノオ「脆弱なり！」
タケル「ぐあああああああッ！」
タケル「や、やっぱ強えぜ・・・」
アシハラの民「大王様！」
スサノオ「雑魚はすっこんでいろ。だったか？」
スサノオ「首をはねるぞ」
アシハラの民「・・・ひいっ！」
タケル「・・・畜生」
スサノオ「どうだ？思い通りにならぬだろう。 それが獣の限界だ」
スサノオ「疾くヒルコ様におすがりしろ。 虫けらが」
タケル「神の力なんて必要ねえ・・・」
タケル「俺の力だけで貴様を・・・」
タケル「うおおおおおおおッ！」
スサノオ「ええい、悪あがきにつき合わせおって！」
タケル「ぐふっ・・・」
スサノオ「まだ殺さぬ。早くヒルコを呼べ」
　　『タケル様！』
タケル「ミコ！」
ミコ「タケル様！ご無事ですか？」
タケル「ははっ。そりゃこっちの台詞だぜ」
エビス「ミコを救いに来たのか？ ならば用は済んだはずだ。 王よ、軍を引け」
タケル「いや、そうはいかねえ」
タケル「今日こそ決着をつけてやる」
タケル「人が・・・俺が最強だと分からせてやる！」
タケル「自由こそが最強だってな！」
エビス「愚か者め。何が自由だ」
ミコ「タケル様・・・」
スサノオ「タカマガハラとアシハラの因業因縁、 ここで終わらせるか。よい心掛けだ」
スサノオ「神降ろしのミコもいる。 疾くその身に神を宿らせろ。 裏切りの神をな」
スサノオ「或いは意地を貫き、 ヒルコと共に死ぬもまた良し」
スサノオ「さあ、何もかもこの私が清めてくれよう！」
　　『スサノオ』
　　『なりませぬ、スサノオ』
タケル「なんだ？この声？」
　　『ヒルコは・・・』
　　『ヒルコだけは目覚めさせてはなりませぬ』
　　『その力、呼び覚ましてはなりませぬ』
スサノオ「姉君・・・」
エビス「・・・」
スサノオ「日輪が昇るは今少し待っていて頂こう」
スサノオ「明くる日を寿ぐは神か人か。 いざ、今こそ定めの時ぞ」
タケル「・・・クッ！」
ミコ「・・・」
　　つづく