5 ケジメ(脚本)
〇高級マンションの一室
起業してから2年後。
相川麻友「あ〜あ、何か満たされないなぁ・・・」
相川麻友「結婚してから2年、何不自由は無いけど、何か同じ事繰り返してる気がして詰まらないわ・・・」
相川麻友「お金はあるけど、新しい刺激が欲しいわね・・・」
相川麻友「何か良い事無いかなぁ・・・取り合えずテレビでも見ようかな・・・」
相川麻友「ん?」
〇研究施設のオフィス
麻友がテレビを点けた先には、俺の会社の一室が映っていた。
キャスター「では、釘宮社長は3年の準備期間とそこから2年の期間でこの会社を成長させたのですね?」
釘宮竜也「はい、ゲームを作ると言っても簡単にヒット作は出せないので、準備期間の時に出会った仲間と良く話し合いながら」
釘宮竜也「作成を進めまして・・・今でもどんな風にしたら良いか、皆で話し合っています・・・」
キャスター「そうなのですね・・・ではまた質問ですが、何か成功する為の秘訣とかありますのでしょうか?」
釘宮竜也「そうですね・・・これ以上は企業秘密ですので・・・」
キャスター「あぁ、大変失礼しました!では質問を変更します、新作はどの様な商品を企画してますか?」
釘宮竜也「はい、新作ですが・・・」
〇高級マンションの一室
相川麻友「う、嘘でしょ!?あいつが起業した心ゲームスって、そんなに儲かってたの!?」
相川麻友「まさか竜也がそこまでやれるだなんて・・・」
相川麻友「それならそうと、早く私に言ってくれたら良かったのに・・・」
〇繁華な通り
麻友が良からぬ考えを巡らせている事など知らずに、俺は一人帰路に着いていた。
釘宮竜也「う〜ん、あれをロールアウトしたら、次はどんなの作ろうかなぁ・・・この前やったのが冒険物だったし、」
釘宮竜也「レースとかスポーツとか・・・悩むな・・・」
釘宮竜二「あぁ!兄ちゃんやっと見つけた!」
釘宮竜也「え?竜二?何だよそんな血相変えて・・・」
釘宮竜二「お願いだ!助けてくれ!」
釘宮竜也「・・・?何か分からないが落ち着け・・・ここじゃ人目に付くから、場所変えよう・・・話はそれからだ・・・」
何故か突然竜二が慌てふためいて俺の前に現れた。状況の理解が追い付かなかったが、先ずは話を聞く事とした。
〇ビルの裏通り
数分後。
釘宮竜也「んで、何があったんだよ?藪から棒に助けてだなんて・・・」
釘宮竜二「聞いてくれよ!麻友ちゃんと結婚してから最初は楽しかったんだけどさぁ!」
釘宮竜二「後々になって分かったんだけど、麻友ちゃんは浪費癖と束縛が激しいんだよ!この前なんてGPSを取り付けられてさぁ!」
釘宮竜二「しかも少しでも連絡が遅れたら物凄く怒ったり泣いたりしてて、もう手が付けられないよ!」
釘宮竜二「オマケに欲しい物を何でも買って上げないと物凄く嫌な顔するんだ!パパにも相談したら、」
釘宮竜二「これ以上は出せないって!」
釘宮竜也「あぁ、麻友の奴、そこの所全然変わって無かったんだな・・・しかも父さんにまで縋ってたのかよ・・・」
釘宮竜二「えぇ!?兄ちゃん、麻友ちゃんの本性とか知ってたのかよ!?何で言ってくれなかったのさ!?」
釘宮竜也「何でも何も、お前ら何だかんだ仲良くやってたじゃん・・・心から好きだったから俺から麻友を横取りしたんだろ?」
釘宮竜二「ち、ちげーよ!俺は兄ちゃんが彼女できたって言うから麻友ちゃんをゲットしようとしたんだ!」
釘宮竜二「だって兄ちゃんいつも俺より良い物持ってたし!」
釘宮竜也「・・・何だよそれ・・・」
釘宮竜二「でももう耐えられねぇよ!離婚しようとしたら包丁向けられてさぁ!でも離婚したいんだよ!だから助けてくれよぉ!!」
釘宮竜也「断る・・・」
釘宮竜二「えぇ!何でだよ!?」
釘宮竜也「聞こえなかったか?俺はお前を助けないって言ってるんだ・・・」
釘宮竜二「な、何でだよ!俺達は兄弟だぜ!兄ちゃんはいつも俺に欲しい物何でもくれただろ!?だから!」
釘宮竜也「・・・俺達が兄弟、だから何だってんだ?」
釘宮竜二「え?何言ってるんだよ?俺は兄ちゃんの・・・」
釘宮竜也「だから何だって言ってるんだよ!!お前は俺のたった一人の弟だって言いたいのか!?だから助けるのは当然?」
釘宮竜也「ふざけるな!!」
釘宮竜二「に、兄ちゃん!?」
釘宮竜也「俺だってなぁ、欲しい玩具だって、やりたいゲームだって沢山あった!でもそれもこれも全部お前が奪って行った・・・」
釘宮竜也「それがどれだけ辛かったか分かるか?借りパクだの横取りだのは勝手だけどな、度が過ぎれば警察に引き渡されても」
釘宮竜也「文句言えないんだぞ・・・」
釘宮竜二「か、借りパクや横取りが犯罪!?だって俺ら家族なんだぜ!!」
釘宮竜也「親しい仲にも礼儀ありって言葉を知らないのか?家族だから何やっても許されるってか?それはそれは素敵な世界だな・・・」
釘宮竜也「お前もう何歳だよ?俺は言ったぞ?後の事は知らないし、麻友とは上手くやってけって・・・」
釘宮竜也「一度決めたなら最後までやり通せ・・・どうせ離婚が決まったら後々俺から起業した会社まで横取りしようって魂胆だったんだろ?」
釘宮竜二「そ、そんな!俺はそんな事!!」
釘宮竜也「今更信用なんかできるか・・・この話は聞かなかった事にして置くよ・・・じゃあな・・・」
釘宮竜二「あぁ!兄ちゃん!待って!待ってくれよぉ!!」
釘宮竜二「何で、何でだよぉ!!俺は、兄ちゃんが持ってた物が欲しかっただけなのにぃ!!」