ABS

山本律磨

四話(脚本)

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山本律磨

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〇飛空戦艦
スサノオ「我が比類なきタカマガハラ神軍よ!」
スサノオ「主神アマテラスの名を以てアシハラを従属させよ!」
スサノオ「人もまた獣であると思い知らせるのだ!」
スサノオ「天軍、降臨!」

〇雲の上

〇先住民の村
アシハラの民「逃げろーーッ!神が攻めてきたぞーーッ!」
アシハラの民「ひいーーッ!お助けーーッ!」
タカマガハラの兵「汚らわしき巣をことごとく焼き尽くせ!」
タカマガハラの兵「獣は山野に還すのだ!」
エビス「何たる無体。これがこの地の神の所業か?」
タカマガハラの兵「万物の躾こそ神の役目!」
エビス「ひいっ!」
タカマガハラの兵「即ち、秩序なり!」
タカマガハラの兵「ええい!小僧めがちょこまかと!」
  『手足は捨て置けい!頭を刎ねれば動きは止まる!』
スサノオ「目指すは大王を呼称する頭目一匹のみ!」
ドキ「慌てるな、皆の衆!真の神は海より来る! 天より降るは災いなり!」
ドキ「蛮神スサノオ!儂が相手じゃ!」
スサノオ「邪魔だ!老いぼれめが!」
ドキ「ぐうっ!」
スサノオ「チッ、大人しく倒れていろ。これ以上私の剣を穢すでない」
スサノオ「頭目タケル!出て参れ!」
エビス「これ!いつまで食っておるか!」
エビス「お前の国とやらが滅びてしまうぞ!」
タケル「うん?何かあったか?」
エビス「そういう余計な個性はもうよい!」
スサノオ「そこか!獣の頭目!」
スサノオ「うおおおおおおおおおおおおおッ!」
タケル「ぐあっ!」
タケル「てめえ・・・スサノオか!」
タケル「ああーっ!」

〇炎

〇先住民の村
タケル「おい!俺の仲間(ダチ)達に何してんだ!」
スサノオ「ふん。ようやく気付いたか。虫けらめ」
タケル「何だとテメエ!」
スサノオ「仲間とやらは肉の次・・・まこと、虫けらではないか」
タケル「うるせえ!勝負だ!」
スサノオ「脊髄反射で生きているだけの獣に用はない」
スサノオ「疾く、ヒルコを出せ」
エビス「・・・!?」
エビス(ヒルコ・・・?)
スサノオ「それともやはり『あの女』を使うしかないか?」
タケル「あの女・・・」
タケル「ミコのことか!ミコは無事なんだろうな!」
スサノオ「肉と仲間の次にようやく女の心配か」
スサノオ「まこと、ケダモノよ」
ドキ「黙れ!蛮神如きが、我らが主を愚弄するでないわ!」
スサノオ「人の主、確かにな」
スサノオ「この者には、知恵もなければ慈愛もない。その時その時己の欲望の赴くままに生きているだけの虫けら・・・」
スサノオ「まさに神の導きを拒んだお前ら人間どもの主にふさわしい」
タケル「うるせえッ!」
スサノオ「ぬるい!」
タケル「うぐっ!」
スサノオ「やはり猿の長では相手にならぬ」
スサノオ「このまま巣ごと滅ぼしてもよいがそれでは戦神スサノオの名が廃る」
スサノオ「さあ出て来いヒルコ!今日こそ決着をつけようぞ!」
スサノオ「それとも、大事な神降ろしを犬の餌としてくれようか?なれば永遠に眠りこけていられるぞ」
スサノオ「その『猿の中』でな!」
タケル「スサノオ・・・ミコに指一本でも触れてみやがれ」
スサノオ「さあ燃えろ!怒れ!我を忘れろ!」
スサノオ「この塵屑(ゴミクズ)めが!」
タケル「うおおおおおおおおおおおおおおお!」

〇黒
タケル「おおおおおおおおおおおおおおおおッ!」

〇先住民の村
ヒルコタケル「スサノオ・・・随分と良い調子じゃねえか」
スサノオ「ふむ。ようやく出て来たか。愚兄ヒルコ」
ヒルコタケル「かかって来いよ。望み通りに焼き尽くしてやるぜ」
エビス「ヒルコ・・・だと?」
エビス「まさか、ここは・・・」
  つづく

次のエピソード:五話

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