横取りの王子様

夏目心 KOKORONATSUME

2 裏切り(脚本)

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〇オフィスのフロア
  数年後。俺は高校生になってから家事スキルを鍛えて、大学卒業後は父の上司、夏川社長が経営している夏目カンパニーに
  就職したのだった。
釘宮竜也「良し、終わった・・・」
相川麻友「お疲れ様竜也君!これからランチどう?」
釘宮竜也「あ、麻友・・・うん、丁度誘おうと思ってたんだ・・・どこ行く?」
相川麻友「ありがとう!そしたら行きたい所があるんだけどさぁ!」
夏川めぐみ「・・・・・・」

〇古民家カフェ
釘宮竜也「おぉ、こりゃまたオシャンティな店だな!」
相川麻友「でしょでしょ!ここのデザートが美味しくてさぁ!」
  彼女は俺の恋人の相川麻友。俺達が交際を始めたのは大学の2年生の時で、今ではこうして同じ職場で働いており、
  いつか結婚できたらなと思っているが。
店員「いらっしゃいませ!2名様でお越しですか?」
相川麻友「あ、はい!大人2人です!」
店員「畏まりました!それではお席へご案内させて頂きます!」
  そして俺達は、店員さんに案内されて席に座り、メニューを渡されるのだった。
相川麻友「今日の午前もお疲れ様!調子はどう?」
釘宮竜也「まぁ何とかね・・・ちょっとずつとは言え、新しい事とか教わったりできてるし・・・」
相川麻友「そっか・・・確か竜也君の目標って・・・」
釘宮竜也「前から言ってるだろ?俺、もっと勉強して、起業するのが夢なんだ・・・」
相川麻友「・・・そうなんだね・・・でも起業するって色々大変じゃ無い?やれるかどうかも分からないし、負担だって大きいもん・・・」
相川麻友「何よりさ、竜也君のお父さんって夏目カンパニーの副社長さんでしょ?ずっとここで頑張れば、いつか後継人になれるかもよ?」
釘宮竜也「う〜ん、確かにそうかもだけど、それはそれで何か納得行かないんだよね・・・」
相川麻友「どうして?」
釘宮竜也「確かにこのままここで頑張れば父さんの跡継ぎになれるとは思うけど、正直それって俺のやりたい事じゃ無いのは本当だし、」
釘宮竜也「何より、やりたい事があるならそれをやるのが一番かなって思うんだ・・・自分に何ができるか、社会に出て」
釘宮竜也「どんな事がしたいか・・・それが俺の本心かな・・・」
相川麻友「・・・そうなんだ・・・だったら・・・」
釘宮竜也「ん?どうした?」
相川麻友「あ、何でも無いわ!それはそうと、今日の夜空いてる?竜也君に紹介したい人がいてさ!」
釘宮竜也「紹介したい人?ご家族か何か?」
相川麻友「あ!うん!会えば分かるからさ!」
釘宮竜也「・・・?」
  何だかどこかぎこち無い態度の麻友に若干の疑問が湧いたが、丁度俺からも話したい事があったので行く事とした。

〇ファミリーレストランの店内
  その日の仕事終わり。
相川麻友「あぁ!頑張った頑張った!」
釘宮竜也「それでさぁ麻友、紹介したい人ってどんな人?」
相川麻友「あ、うん!私より年下の子でね・・・体型は私より大分大きくて、私達と同じ会社でさぁ!」
釘宮竜也「同じ会社?デカい体型?皆目検討が付かないな・・・」
相川麻友「うん、もう直ぐ来る頃だと思うんだけど・・・」
釘宮竜二「麻友ちゃ〜ん!お待たせ〜!」
相川麻友「あ!竜二君待ってたわよ〜!今日はどうしてたの?」
釘宮竜二「いやさぁ!思ったより仕事が長引いちゃってさぁ!」
釘宮竜也「え?ちょま!嘘だろ?お前は!?」
釘宮竜二「ん?何だお前・・・って・・・」
釘宮竜二「あれ?良く見たら兄ちゃんじゃ無いか!久し振り!」
釘宮竜也「おい麻友、これはどう言う事だよ!?」
相川麻友「あれ?あ、そう言えば2人共名字一緒だったわね・・・2人は兄弟なの?」
釘宮竜二「そうだよ!兄ちゃんはいつも俺に欲しい物をくれるんだ!」
釘宮竜二「でも兄ちゃんが高校入ってからは殆ど家に帰って来なかったから・・・」
釘宮竜也「(ま、マジか・・・こいつ俺から横取りした事全く反省して無いのか・・・)」
釘宮竜也「(確か父さん、竜二もカンパニーに就職するけど別々の部署にしてくれる見たいな事言ってたが・・・)」
釘宮竜也「(まさか本当に同じ職場だったなんて・・・)」
相川麻友「そうなんだ!凄く優しいお兄ちゃんなのね!私もいつもご飯とか奢ってもらってるから!」
釘宮竜也「あ、あのさ麻友!もしかして、俺を呼んだ理由って・・・」
相川麻友「あ、その事だけどさ・・・私、竜二君と結婚前提でお付き合いしようと思ってるの!」
釘宮竜也「え、えぇ??」
釘宮竜二「え?麻友ちゃん!やっと結婚の事真剣に考えてくれる様になったの!?」
相川麻友「えぇ!あなたと一緒の方が安泰しそうだから!」
釘宮竜也「え?その・・・ちょっと待って?竜二はずっとここで働くつもりなの?」
釘宮竜二「え?そうだよ?俺ももっと頑張ってパパの跡を継ぐんだ・・・」
釘宮竜二「それで行く行くは社長にもなってさ!麻友ちゃんと一緒に幸せになるんだ!」
釘宮竜也「そ、そうなんだ・・・俺はいつかここを出て起業するつもりだけど・・・」
相川麻友「・・・でもそれ本当に大丈夫なの?」
釘宮竜也「え?」
相川麻友「自力で起業したりするのは勝手だけど、上手く行かなきゃ意味無いじゃん・・・」
相川麻友「どうせ幸せになるなら、今そこにある物を有効活用しない事には始まらないでしょ?竜二君は確実に跡継ぎになる・・・」
相川麻友「それなら、もう竜也君は要らないもんね・・・」
釘宮竜也「(あぁ、やっぱり・・・俺が上手く行く保証が無いから竜二に乗り換えるってか・・・でもまぁ・・・)」
釘宮竜也「あ!すまない2人共!俺これから用事あるんだった!お金置いてくから、俺行くね!」
相川麻友「あら、気が利くわね!じゃあご馳走になるわ!」
釘宮竜二「兄ちゃんありがとう!今度兄ちゃんの家に遊びに行っても良い?」
釘宮竜也「あ、うん・・・それは遠慮したいかな・・・それじゃあな!」

〇繁華な通り
釘宮竜也「(何てこった・・・まさかあんな形で竜二と再会するだなんて・・・)」
釘宮竜也「ん?誰だ?」
釘宮竜也「はい、もしもし・・・」
スマホ「あ!兄ちゃん!聞こえる?」
釘宮竜也「うげ!竜二か・・・何しに来た?てか俺の番号教えたか?」
スマホ「あ、麻友ちゃんに教えてもらって電話したんだ!」
釘宮竜也「そ、そうか・・・」
釘宮竜也「なぁ、一つ質問良いか?」
スマホ「ん?何?」
釘宮竜也「お前ら、いつからつるんでたんだ?」
スマホ「あぁ、2年位前からかな?俺の名前教えた途端麻友ちゃんが俺に興味持ってさ!家族の事を話したりしたら自然と仲良く」
スマホ「なってさ!兄ちゃんの彼女だって言うから久々に兄ちゃんの物欲しくなってさ!だから俺の物にしたんだ!」
釘宮竜也「なるほど・・・俺の彼女だから近付いたってか・・・相変わらず悪趣味だな・・・」
スマホ「でもでも!麻友ちゃんは兄ちゃんなんかより俺の方が良いっていつも言ってくれてるからさ!」
釘宮竜也「まぁ、それがあいつの意思なら尊重するべきだよな・・・」
スマホ「やっぱ俺って勝ち組だよな!結婚式の日とか決まったら兄ちゃんも呼んでやるよ!」
釘宮竜也「あぁ、まぁ好きにしろよ・・・麻友とは上手く付き合ってくんだぜ?」
スマホ「分かってるって!んじゃ!またな!!」
釘宮竜也「・・・色々と丁度良かったな・・・これでやっと楽に行ける・・・」

次のエピソード:3 社長の娘

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