1 横取りの王子様(脚本)
〇男の子の一人部屋
釘宮竜二「兄ちゃん兄ちゃん!そのゲームやらせてよ!」
釘宮竜也「えぇ・・・竜二お前、この前父さんに新しいの買ってもらったばかりだろ?そっちやれよ・・・」
釘宮竜二「え〜!だって兄ちゃんがやってる奴の方が面白そうだもん!だからやらしてよ〜!」
釘宮竜也「何だよ・・・今良い所だから少し待ってくれないか?」
釘宮竜二「や〜だ〜!ママ!ママ〜!!」
釘宮母「騒がしいわね・・・何の騒ぎ?」
釘宮竜二「ママ〜!俺兄ちゃんのやってるゲームやりたいのにやらせてくれないんだよ〜!!」
釘宮母「えぇ?しょうが無いわね・・・竜也、ちょっと貸してあげて?」
釘宮竜也「ちょ!母さん!竜二にそうやって貸して返してもらった試し無いんだけど・・・後もう少しで終わるから・・・」
釘宮竜二「や〜だ〜!やりたいよ〜!!」
釘宮母「もう、竜也お願い、ゲーム貸して上げて・・・」
釘宮竜也「そ、そんな・・・分かった・・・」
釘宮竜二「わ!やった!ありがとう兄ちゃん!」
釘宮竜也「あぁ・・・良い所だったのに・・・」
釘宮母「ごめんね竜也・・・あの子あなたの物が欲しいって言い出したら聞かなくて・・・」
釘宮竜也「良いよ・・・勉強か何かやってるからさ・・・あいつあれで昔は身体弱かったって言うし・・・」
釘宮母「うん・・・後でゲーム返す様に私から言って置くから・・・」
俺の名前は釘宮竜也。俺の家族は父と母と5歳年下の弟の竜二の4人で成り立っている。竜二は見た目こそ太っているが、
昔はあれで身体が弱い方だった。今でこそ貧弱体質は治っているのだが、俺が持ってる物を上げたりしたら歯止めが効かなく
なってしまった。
釘宮竜也「心ジェネレーション、後少しで新しいユニットゲットできたのにな・・・」
〇おしゃれなリビングダイニング
ある時は。
釘宮竜二「や〜だ〜!兄ちゃんのケーキくれよ〜!」
釘宮竜也「竜二・・・俺まだ半分しか食って無いんだし、先ずお前もう食い終わっただろ?」
釘宮竜二「嫌だ〜!!」
釘宮母「ねぇ、何の騒ぎ?」
釘宮竜二「ママ〜!俺兄ちゃんのケーキ食べたいよ〜!!」
釘宮母「もう、仕方無いわねぇ・・・竜也、後で新しいの買って上げるから・・・ね?」
釘宮竜也「え、えぇ・・・」
釘宮竜二「わーい!やったー!」
〇白いバスルーム
またある時は。
釘宮竜二「兄ちゃん!そのシャツ寄こせよ〜!」
釘宮竜也「ま、待ってくれよ!これまだ買ってもらったばっかのシャツなんだ!幾ら何でも!」
釘宮竜二「何でだよ!わ〜ん!!」
釘宮母「ちょっとちょっと!また喧嘩?」
釘宮竜二「ママ〜!兄ちゃんのシャツが欲しいよ〜!!」
釘宮母「ちょっとちょっと!竜二にもシャツ買って上げたでしょ?」
釘宮竜二「兄ちゃんが着てるのが良いんだよ〜!!」
釘宮母「もう、しょうが無いわね・・・」
結局、俺は買ってもらったばかりのシャツを渡す事となった。玩具も、おやつも、とにかく俺が持ってて嬉しい物は
全部竜二に奪われた。この歯止めの効かない状況が数年も続き、俺はもう限界となった。
〇おしゃれなリビングダイニング
数年後、俺は中学3年生となり、ある事を親に相談していた。
釘宮竜二「ん?あれは・・・」
釘宮父「竜也、やっぱり考え直さないか?」
釘宮竜也「竜二に俺の部屋とか全部渡すって言っても?」
釘宮父「竜也!今まで我慢させてしまった事は謝る!やっぱり考え直さないか!?」
釘宮竜也「父さんの言いたい事は分かるよ・・・でも、それもいつまでやれるの?」
釘宮父「うぅ、そう言われたら確かにそうだが・・・」
釘宮竜也「大丈夫だよ父さん、夏目高校には学生寮もあるし、バイトだってやりたいし・・・」
釘宮竜也「何より夏川さんが言ってたでしょ?チャンスは待ってて得られる物じゃ無い、自分で作る物だって・・・」
釘宮父「・・・夏川社長の事を言われたら敵わないな・・・ご自身の子供では無いとは言え、お前達に社会科見学をさせた時に、」
釘宮父「若い内から苦労しなさいと、夏川社長がお前達に言い聞かせてたからな・・・竜也、お前は将来、夏川社長の会社で」
釘宮父「やりたいのか?」
釘宮竜也「う〜ん、そこまで言われると難しいけど、でもやっぱり高校受かって一人暮らししたいなって思うし・・・」
釘宮父「そうか・・・もしそれがやりたいなら止めはしないが、責めて少し位は手助けさせてくれよ?」
釘宮竜也「・・・ありがとう!俺頑張るから!」
釘宮竜二「兄ちゃんが、一人暮らし!?」
釘宮竜二「めっちゃ面白そう!!」
釘宮竜二「パパ!兄ちゃん!」
釘宮父「あれ?竜二いたのか?」
釘宮竜也「何してるんだよ?」
釘宮竜二「兄ちゃん一人暮らしするんだって?俺もやりたい!」
釘宮父「はぁ?何を言っているんだ?」
釘宮竜二「兄ちゃん一人暮らしやるなら、俺もやりたいし兄ちゃんの行く所俺も行きたい!ね?良いでしょ!?」
釘宮父「だ、駄目に決まってるだろ!第一小学生のお前に一人暮らしなんてさせられる訳が無いだろ!そんな事したら」
釘宮父「私達が育児放棄した事になる!」
釘宮竜二「えぇ!育児放棄って何だよ!?俺にも一人暮らしやらせてよ〜!」
釘宮父「駄目な物は駄目だ!そんなに一人暮らしがやりたいなら、もう少し勉強を頑張ってからだ!」
釘宮竜二「ちぇ!ケチ!」
釘宮竜也「本当お前は変わらないな・・・」
高校受験の年になった俺は父さん達と相談して、高校生活は一人暮らしする事とした。本音を言えば竜二の借りパクに
ウンザリしてたのもあり、いい加減離れたいとも思ってたのだ。それから、俺は無事に夏目高校に合格し、寮も決まったので
家を出る事となった。竜二が俺の使ってた部屋を手に入れてご満悦だった事は言うまでも無い事だった。