6 裕二の答え 後編(脚本)
〇アパートの台所
白川美穂「ど、どうしてですか!?私に何か不満な所があるなら今直ぐ直しますから!!」
赤羽サヤカ「そ、そうよね!あたしも苦手意識が無くなる努力はするからさ!!」
宮下裕二「そうじゃ無いんです・・・俺が気にしてるのはそこじゃ無いんです・・・」
白川美穂「どう言う事です?」
宮下裕二「先ず俺、仕事してる者として一人前じゃ無いんです・・・だから誰とも付き合えないんです・・・」
白川美穂「え?」
宮下裕二「確かに俺もデートとかイチャイチャとかやりたいですよ?でも、自分の現状を見て今それができるかと聞かれたら、」
宮下裕二「できないって答える自信があります・・・もしそれが本当にやりたいなら、先ず自分が確りできる様にならなきゃって」
宮下裕二「思うんです・・・付き合った先で結婚するってなったら尚更・・・」
赤羽サヤカ「そ、そうだったのね・・・そう言われちゃ、もうこれは渡せないわね・・・」
宮下裕二「え?婚姻届?もしかして、赤羽先輩も?」
赤羽サヤカ「そうよ、転勤するって聞いたらいても立ってもいられなくて、慌てて市役所に赴いたんだけど、裕二君の気持ちを聞いたら」
赤羽サヤカ「尚更これは渡せないって思ったわ・・・でもどうせならもっと早く聞きたかったわ・・・」
宮下裕二「あぁ、すみません、自分の問題でしたから・・・」
白川美穂「で、でも、逆に言えばまだチャンスはあるって事ですよね?」
宮下裕二「え?」
白川美穂「宮下さん今は誰ともお付き合いする気は無いなら、まだ私が狙っても大丈夫って事ですよね?なら私、諦めませんから!」
赤羽サヤカ「ちょま!また高卒如きに先を越された!裕二君!あたしもあなたが一人前になれる様に協力は惜しまないからね!」
赤羽サヤカ「困った事があれば、真っ先にあたしに相談しなさいね!?」
宮下裕二「・・・ありがとうございます・・・」
俺は2人の気持ちを聞いた上で、自分の本心を打ち明けて告白を断った。若干の申し訳無さはあったが、正直この選択に
後悔は無かった。どうせ付き合うなら自分の事を確立させたいからだ。後日、俺は転勤の日となり、この街を出るのだった。
〇役所のオフィス
転勤初日。
女性部長「改めて、我が部署へようこそ!色々と不便な所はあると思うけど、宜しくね・・・」
宮下裕二「はい!田舎での仕事は心からの憧れでした!」
女性部長「それは頼もしいわね!副部長はもう少しで帰って来るし、時間的にそろそろ他の2人も来る頃かしらね?」
宮下裕二「2人?俺以外に誰か来るんですか?」
白川美穂「すみません!遅くなりました!」
赤羽サヤカ「このあたしとした事が!目覚ましを忘れるだなんて!」
宮下裕二「え?何でお2人がここに!?」
赤羽サヤカ「あ!裕二君!あたしもあれから部長に無理言って転勤希望出したのよ!離れてたら裕二君誰かに取られちゃうし!」
白川美穂「私もです!私もう、どんなチャンスも逃したく無いんです!」
宮下裕二「は、はぁ・・・」
赤羽サヤカ「ええい!つくづくあたしの真似をして!あたしの裕二君にこれ以上近付かないで頂戴!」
白川美穂「はぁ?真似してるのはそっちでしょう?宮下さんは渡しませんから!」
宮下裕二「い、いやいやいや!」
女性部長「ちょっとあなた達、喧嘩なら仕事の無い時にでもやりなさい・・・これからあなた達の事紹介するから!」
赤羽サヤカ「あ!す、すみません!仕事はきちんとやりますから!」
白川美穂「すみません!気を付けます!」
宮下裕二「あ、あはは・・・」
まさかこの2人が俺の事を追い掛けて来るとは思っても見なかったが、俺は今日から憧れの田舎生活を送るのだった。
どこへ行ってもこの2人は仲良く喧嘩して、周りに迷惑を掛けたりするけど何とかやっている。いつか、この2人が持ってる婚姻届に
サインする事となるかも知れないが、まぁその時の事はその時考えれば良い。俺は一人そう思うのだった。
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