Serendipity∞Horoscopeつまみ食い!

神月

16-2_デンジャラス・ミッション(脚本)

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〇謎の扉
納言麗奈「・・・な・・・」
  やがて眩んだ目が戻り、目を開くとそこには先程まで自由のない程行き交っていた人の姿もなく、探し回るスーツ姿の姿もない。
  突然人気もなく、孤立したような場に立ち麗奈は呆然とした表情をしていた。
  彩音が安堵の息を吐き
神月彩音「やった・・・」
納言麗奈「これは・・・なんですの?」
  呆然と呟く麗奈に顔を上げ、答えようとした所更なる問いに彩音の口は止まった。
神月彩音「・・・ええと、詳しい事は後から聞かされると思うけど・・・とにかく、ここは安全だから」
神月彩音「とにかく、あの扉に行こう」

〇おしゃれなリビングダイニング
  手紙を開いた者は一本道を抜け、この『出会いの間』にて土地の誰かと顔を合わせ、
  そこで記憶にないのに持っていた手紙とこの場所の意味を明かされる。
  しかし部屋に入って立ち止まれど、一向にあの人達が現れない事に違和感を感じ彩音は声を上げた。
神月彩音「あれ・・・?」
  待てども誰かが現れる様子はなく、困惑するまま更に奥へと進み扉を開く。
  そしていつも皆が集まっているあの部屋に辿り着くと、そこには誰の姿も無かった。
神月彩音「誰もいない・・・?」
  もぬけの殻の状態に彩音が声を上げると、ふと背後から聞こえた声に振り返った。
???「おや、一緒にこの場へいらっしゃるとは珍しいこともありますね」
  その先には彼らとは違う姿の、土地である彼らからマスターと呼ばれるスーツ姿の男性が立っていた。
神月彩音「あ、えっと・・・ 確か、マスターさん、でしたっけ」
マスター「えぇ。私は手紙を受け取った方と、このチームを引き合わせる統括者の役目を担っているのです」
マスター「・・・納言麗奈さん、お越しいただきありがとうございます」
納言麗奈「なっ・・・何故私の名を・・・!?」
納言麗奈「まさか、貴方達も・・・!?」
神月彩音「えっちょっと待って!」
  と発された言葉に彩音も思わず声を上げ
神月彩音「違う、違うから!」
  疑い深く向ける視線に困っていたものの、やがて彼女はため息をつくと微かに警戒心がやわらいだ。
  その姿に彩音も安心からの息を吐くと、マスターへ視線を向け
神月彩音「あ、あの。マスターさん? 他の皆はいないんですか?」
マスター「ええ・・・皆さん遅れて来るそうで」
  やがて、詳細を求めるよう視線を向ける彼女に彩音は彼女の手元にあった手紙を見た。
  そして口を開くと彼女も手に持っていた手紙に視線を落とし
神月彩音「ここは、その手紙を受け取った人が来られる場所なんだよ」
  現在進行形で悩みを持つ人に届く手紙。
  ここに来るまでの状況と照らし合わせると導き出される答えは一つだろう。
神月彩音「そして、その手紙が届く人の共通点は・・・悩みを持ってること。 ・・・さっきの人達のこと?」
マスター「さっきの人達とは?」
神月彩音「さっきまで、私達黒いスーツを着た人達に追いかけられていたんです。彼女の悩みに関係ありそうな事と言えば・・・」
納言麗奈「・・・貴方がたにお話するような事ではありませんわ」
  聞こえた声に顔を上げると、彼女は表情を俯かせながら
納言麗奈「これは私の問題ですの。 見ず知らずの方や、少し縁のあっただけの貴方に話す訳にはいきません」
納言麗奈「外の者を巻き込む訳にはいきませんから」
  その一言に彩音は表情を変えると彼女を見つめ
納言麗奈「・・・なんですの?」
神月彩音「巻き込まれるって、まさか誘拐犯とか?」
  彼女が令嬢で、スーツ姿で追いかけているとすれば、とフィクションでよくある安直な考えを口にすると
納言麗奈「話さないと言ったでしょう」
  と彼女は即座にツンとした態度を取るが、やがて表情が歪むと
納言麗奈「・・・おそらくは」
神月彩音「えっ、超適当に言ったのに」
納言麗奈「案の定私を誘拐して身代金でも要求しようとしているのでしょう」
納言麗奈「まったく、身の程知らずにも程がありますわ」
神月彩音「・・・あれ、あの執事は?」
  教室に現れ啓に勝負を宣言した時、彼女の傍には執事がいた。そう思い返していると彼女は口を開き
納言麗奈「由良と共にいた所に彼らが現れ、由良一人に対して何人もいましたものですから・・・」
納言麗奈「彼が足止めをしている間に逃げてきたのです」
神月彩音「そもそも、なんでこんな所に?」
納言麗奈「今晩、近くのホテルで行われるお父様主催の会食パーティーに出席するつもりでしたの。その時間まで」
神月彩音「時間を潰していた・・・?」
  彩音は彼女から聞かされた話を整理しながら
神月彩音「納言さんの今の状況が反応して手紙が来たのかは分からないけど・・・」
神月彩音「どうしたらいいの? あの執事の人と合流すればいいのかな」
納言麗奈「理想は、彼と合流しつつ会場まで辿り着くことでしょうね」
神月彩音「でも、さっき追いかけられてるだけでもかなりの数いたし・・・そう簡単には合流出来ないんじゃないかな」
神月彩音「家の人に連絡して迎えに来てもらうとかは?」
  と問いかけると彼女はそれは出来ないと首を横に振った。
納言麗奈「お父様には有名ブランドや人気店を視察する折角の機会だからと許可を得ましたが、」
納言麗奈「こんな事があったと知られれば由良の立場に影響が出かねませんわ」
  執事である由良が同行しているという条件の元渋々ながら許可を得た為、
  危険に晒したとあればただでは済まないだろうと語る彼女に彩音は表情を顰めると
神月彩音「それは大変だ・・・」
納言麗奈「このようなことになるなんて・・・」
  ベストは時間までに彼女と彼女の執事が何事も無かったかのように目的地に着くこと。
  しかし未だに誰も来る気配のない部屋の中、彩音は彼女の不安げな表情に黙り込んでいた。

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