第65話 知恵あるリトル・フィンガー(小指)(脚本)
〇古い洋館
2005年 神奈川県 変化武器専用集合住宅 炉郷荘 中庭
ランスロット「ゲライントいるか?少し話がしたい」
ゲライント「いいけど···何かあったの?」
ランスロット「それも含めて話す。とりあえず···屋上いくぞ」
〇物置のある屋上
炉郷荘 屋上
ゲライント「それで何話って···パパの事?それと入院中のママに何かあったの?」
ランスロット「お父様から言伝を預かっている」
ゲライント「直接言えない訳があるの?」
ランスロット「あぁ、だがお父様に『ワケを話すな』と言われているから言うことはできん」
ランスロットのそんな様子を見てゲライントは大きなため息を一つ吐く
ゲライント「··· ··· ···わかったわ。それで?パパの言伝って何?」
ランスロット「『愛しい我が子ゲライント。お前の皆を見る観察眼とリーダーシップを持つ子だと思っている』」
ランスロット「『皆我が強く、まとめ上げるのも苦労するだろう。私も頭を悩ませたものだよ』」
ランスロット「『皆をまとめ導くというのは誰にでもできることじゃない。俺はそんな力を持ったお前に期待しているよ』」
ランスロット「『俺ももう長くない。俺が生み出した変化武器達をお前と仲間達で導いてやってくれ』」
ゲライント「何これ?まるで遺言じゃない。パパは私に期待してるって言うけど···責任の押し付けでしょ?これ」
ランスロット「そう感じるのも無理は無いが···それでもお父様が褒めてくださったんだぞ?」
ゲライント「だから何?私たちはそんな事より『錆の治し方』が知りたいっていうのに」
ゲライント「ねぇランスちゃん、貴女も教えてもらってないの?『錆の治し方』」
ランスロット「あ、あぁ···お父様は口を閉ざしたままでな···」
ゲライント「そう··· ··· ···パパがその気でも、私は錆の治し方を探すわ。じゃあそういう事だから、よろしくね?」
ランスロット「待てゲライント!どこに行く気だ!」
ゲライント「Xヒーローの保管庫に行くわ。何かわかるかもしれないし」
こうして私はギルドの保管庫に数人引連れて行った。けど保管庫はギルドメンバーにしか入ることが出来ず
数日そこで格闘してる中、とある変化武器が伝えてくれた
剣神『飛鮫 司』が死んだ事を
結果としてランスちゃんが言った言伝が本当に『遺言』になってしまった。
シャルちゃんの言う通り。私は···『パパの言葉に囚われたまま』今も生きている。
こんな私をパパが見たら···嫌われちゃうかしら?そうだと···嫌だわ
〇オフィスのフロア
2021年 イリノイ州 ウィネベーゴ郡 ロックフォード 商業組合ビル最上階フロア
エンチャント魔導法士「お、起きたな。埋まった弾丸を取り出す時に気を失ったから焦ったわ」
ゲライント「そう···どれくらい気を失ってたの?」
エンチャント魔導法士「30分くらいだな。兵隊共が鸞とフェードが追っ払ったが、またいつ来るかわからん」
エンチャント魔導法士「それまでに動きたいが···鸞、斎王達の居場所見つけたか?」
鸞「いや見つからん。斎王達だけじゃない、露店の子供もいない···建物内か地下のどちらかにいる可能性がある」
するとゲライントは立ち上がろうと机によりかかり、ながら自身の体を起こした
エンチャント魔導法士「おい、無理に立つな・・・そんなフラフラで何をする気だ?」
ゲライント「街に行って・・・子供達を探すわ。貴方達は・・・ここに残って・・・」
エンチャント魔導法士「その体で探す気か?敵に見つかって終わりだぞ?しばらくここにいろ」
しかしゲライントはエンチャントの忠告を無視し、立ち上がろうとする。すると鸞が近づき
無理やりゲライントを座らせ、話し始める
鸞「お前···一体何を『焦っている?』どうしてそこまで『背負い込む』?」
ゲライント「貴女になんの関係もないでしょ?私は皆を守らなきゃいけないの。貴女達と違って···」
ゲライント「『責任』があるの。ロックフォードの皆を守るためには···私が行かなくちゃいけない」
ゲライント「だから···『邪魔』しないで」
そう言うとゲライントはライフルを出現させ、鸞に向けて銃口を突きつける。
しかし鸞はナイトクラブの時と同じく一切ひるむことなく、ゲライントをじっ···と見つめていた
鸞「『責任?』俺達を頼ることすらできない今のお前が取れる責任ってのはなんだ?」
鸞「1人でできる事にも限界がある。お前はそれを理解できないほど知能が低いとは思えない」
鸞「ゲライント···教えてくれ」
鸞「『何に囚われている?』」
その言葉を聞いたゲライントは目を逸らしながら、出現させたライフルを消失させる
ゲライント「囚われてないわ···『子は親に従う』。当然のことでしょ?私はパパの最後の言葉を守ってるだけ···」
ゲライント「これが私とパパの『繋がり』なの···だからお願い···私とパパの繋がりを『絶たないで』」
鸞はそんなゲライントを見ると、そっ···と抱きしめた
鸞「遺品が無くても···約束が無くても···思い出が無くても···」
鸞「『想い続ければそれが繋がりになる。』」
鸞「俺もそうだ···父との繋がりになる遺品も無いし、思い出もない」
鸞「あるのは母と話す父の姿だけ。それでも···父を想い続けている。俺はそれが父との繋がりだと思っている」
鸞「一つのことに縛られる必要は無いんだ、ゲライント···きっとお前は剣神といい別れ方をしなかったんだろうな」
鸞「後悔···してるだろうな。でも前を見ろ、周りを見ろ」
鸞「お前には『仲間がいる』。ロックフォードの皆、フィンガーズ、そして俺達」
鸞「お前は皆を導く力を持っている。だからこそ···俺達を『導いてくれ』」
ゲライントは言葉も無く、涙を流しながら鸞を抱きしめ返す。
すんすんと鼻をすする音が響くオフィス内で、ゲライントは鸞に小さく『ありがとう』と漏らす
そんな2人様子を見ながらフェードが外の様子を見ると、三人に話し始める
フェード「悪いが敵の援軍だ、数十人いるが・・・どうする?」
それを聞いたゲライントは涙を拭き、立ち上がり話し始める
ゲライント「··· ··· ···さっき来たのはWoOSの隊員だけど今来てるのは恐らく『州兵』よ」
ゲライント「WoOSが州兵を動かそうとしているけど、全軍を当てるわけにいかないから」
ゲライント「少数部隊の被害を出してから『正当防衛』で軍をだすつもりかも」
フェード「なら『相手を傷つけず打倒』しなければならないな。どうするか···」
ゲライント「···ねぇ、誰か『霧』とか出せないかしら?」
鸞「俺が出せるぞ、どうする気だ?」
ゲライント「悪い子達に『おしおき』してあげましょう?私について来て」
To Be Continued··· ··· ···