刻限の歌唱魔術師【ソングプレイヤー】

輝月レイヤ

第1話 二足のわらじを持つ者(脚本)

刻限の歌唱魔術師【ソングプレイヤー】

輝月レイヤ

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〇荒野
  ──6年前・・・
ナハト(幼少期)「デヤァー!」
エリス・ミテルア「なんの!」
ナハト(幼少期)「よ・・・避けられた!?」
エリス・ミテルア「隙あり!」
ナハト(幼少期)「しま・・・」
ナハト(幼少期)「ぐはぁ!?」
ナハト(幼少期)「うぅ・・・。また負けた・・・」
エリス・ミテルア「・・・成長しましたね、ナハト」
ナハト(幼少期)「でも俺、負けちゃった・・・」
エリス・ミテルア「それで良いのです。人誰しも、最初から 直ぐに出来るものではないのです」
エリス・ミテルア「だけど貴方は、ここ数日の修行で瞬く間に ほぼ全ての武術と魔術をマスターしたではないですか」
ナハト(幼少期)「それ、俺以外の人達を皮肉ってません?」
エリス・ミテルア「あ!?」
エリス・ミテルア「確かにそうですね。このことは、他の人達には内緒ですよ?」
ナハト(幼少期)「わかってます。誰にも言いません。だから早く修行の続きしましょう」
エリス・ミテルア「はいはい、わかりました!」
  ──それから5年後、”あの悲劇“が起きようとは、その時の俺は知る由もなかった・・・

〇墓地
  ──6年後
ナハト「エリスさん。俺、今日からオルフォード王立学園の生徒になります。だから、天国から俺を見守っていてください・・・」
  ナハトは持っていた花束をエリスの墓の前に置き、スッと立ち上がる。
ナハト「・・・それじゃ、行ってきます」
  ナハトはその場を後にし、学園へと向かった。

〇コンサート会場
  オルフォード王立学園講堂
  オルフォード学園長の話が始まった。
  皆様。本日は我が校に入学、おめでとうございます。
  しかし、その声は誰にも聴こえてはなかった。
  だが、一人の教師の一喝が講堂内に響き渡る。
シオン・ビュティスカ「貴方達、静かにしなさい!!」
  その一声で、講堂内は静かになった。
シオン・ビュティスカ「学園長、話の続きを・・・」
  あぁ、ありがとうシオンさん。
  さて皆様。本校は知ってのとおり、聖響騎士団の隊長達にも教鞭を執ってもらっています。
  隊長達は、どの子を自身の隊に入隊させるか、見定める事も担っています。
  なので皆様には、卒業するまでに充分思う存分、自分の実力を発揮していただければと思います。
  それでは皆様。良い学園生活を!
  講堂内に、新入生達の拍手の音が響き渡った。

〇おしゃれな廊下
  講堂を後にしたナハトは、自分のクラスに向かっていた。
  が、その最中・・・
男子生徒「おい貴様。何ぶつかっているんだ!あぁ!」
ラレシィエンヌ「・・・」
男子生徒「おい!何とか言ったらどうだ!あぁ、」
ラレシィエンヌ「・・・」
  少女が何も言えない事にイラついた男子生徒は、彼女を突き倒した。
ナハト「あれは、見過ごせないな!」
  ナハトは、少女を助ける為、駆け寄る。
ナハト「おいお前、ちょっとやりすぎじゃないか!」
男子生徒「あぁ!誰だ貴様!」
ナハト「俺のことはどうでもいい。それよりも彼女に謝れ!」
男子生徒「あぁ!謝るのはそいつだろ!先にぶつかってきたんだからな!」
ナハト「いいや、謝るのは君だね」
男子生徒「あぁ!どういうことだ!?」
ナハト「俺には『過去読み』の力がある。それによると君は、自ら彼女にぶつかったみたいだね。だから謝るのは、君だ」
男子生徒「何?過去読みだと──」
男子生徒「ふざけるな!そんなもの、この世に──」
  『あるんだなぁー、それが』
  『そうです。存在するのです!』
男子生徒「あ・・・貴女方は!?」
ナハト「あ!」
  そこに現れたのは、二人の女子生徒だった。
  そして、ナハトは二人を見て驚愕。
男子生徒「そ・・・そそ・・・それでお二人は何故ここに──」
アイネ「何って、私達の可愛い弟に会いに来ただけよ。ねぇクライネ」
クライネ「はいアイネ」
男子生徒「弟さん・・・。どちらに?」
アイネ「どちらにって、そこにいるじゃない!」
クライネ「ねぇナハト!」
男子生徒「え?」
ナハト「ど・・・どうも。アイネとクライネの弟の、ナハトです」
男子生徒「・・・」
男子生徒「・・・」
男子生徒「・・・」
ナハト「あのー。大丈夫ですか?」
クライネ「ナハト。その人、立ったまま気絶している・・・」
アイネ「あら!本当ね・・・」
クライネ「ねぇアイネ?」
アイネ「どうしたのクライネ?」
クライネ「この人・・・どうする?」
アイネ「それなら、とりあえず廊下の端に寝かしときましょう!」
クライネ「はぁ~い!」
ナハト「あの人・・・大丈夫かなぁ──」
  アイネとクライネは、気絶した男子生徒を廊下端に寝かした。
  そして、その一部始終をを見ていたナハトは二人に問いかけた。
ナハト「ところで、姉さん達は何故ここに?」
クライネ「何故って・・・」

〇洋館の一室
  昨日、夜。ナハトの実家にて・・・
ミシェラ「どうしましょう・・・」
ミシェラ「ナハトが虐められたら、どうしましょう・・・」
アイネ「・・・」
クライネ「・・・」
ミシェラ「二人は心配じゃない?」
クライネ「そりゃ心配だけど・・・」
アイネ「お母様は心配しすぎですよ!」
ミシェラ「でも・・・本当に虐められたりしたら──」
アイネ「もう──心配しすぎです!」
ミシェラ「でも──」
クライネ「だったら、私たちが見守ってあげるから、お母様は安心して下さい」
ミシェラ「うぅぅ・・・」

〇おしゃれな廊下
クライネ「──てな感じな事があった」
ナハト「母様、俺の事になると、何故か妙に心配性になるんだよなぁ、昔から」
アイネ「・・・」
アイネ「ところで・・・さ、あの子は大丈夫なの?」
ナハト「あの子って・・・」
ナハト「あ!」
ナハト「すっかり忘れてた・・・」
ナハト「君、ごめんよ。大丈夫かい?」
ラレシィエンヌ「・・・」
ナハト「・・・ん?」
ラレシィエンヌ「・・・」
ナハト「もしかして・・・君、言葉が出ないの?」
ラレシィエンヌ「・・・」
ナハト「話せないとなると・・・、あれを使うか──」
ラレシィエンヌ「・・・」
ナハト「『俺の声・・・聴こえる?』」
ラレシィエンヌ「!?」
  ナハトが使ったのは『念話』というもの
  それを使われたラレシエンヌは、驚きの表情をうかべた。
ラレシィエンヌ「『何・・・今の!?』」
ナハト「『今のが、君の声なんだね』」
ナハト「『何と言うか・・・その──』」
ナハト「『可愛い声だね!』」
ラレシィエンヌ「『!?』」
  ラレシエンヌは何故か走り去っていった。
ナハト「どうしたんだろう・・・急に──」
アイネ「ナチュナル──」
クライネ「イケメン──」
ナハト「何か言いました、姉さん達?」
アイネ「いいや。何も」
クライネ「それはそうとナハト」
ナハト「はい?」
クライネ「今日の放課後『集まり』があるから、必ず来てね」
ナハト「あぁわかりました。では姉さん達、後ほど──」
アイネ「それじゃ」
クライネ「じゃ〜ね〜」
ナハト「さてと。俺も教室に行くか」
  姉2人と別れたナハトは、教室に向かった。
  そして──
ラレシィエンヌ「『あんな事言われたの・・・初めて』」

〇ファンタジーの教室
  そして放課後──
  それでは皆、また明日。
  先生の一言で、生徒達は帰路に付いた。
ナハト「さてと、俺も帰るか──」
ナハト「・・・」
ナハト「あ!」
ナハト「帰れないんだった」
ナハト「あぁ・・・。行くの、何だか、嫌だなぁ──」
  ナハトは教室を゙後にし、ある場所へと向かった。

〇武骨な扉
  オルフォード王立学園のとある部屋の前──
ナハト「まぁ、来てみたは良いけれど──」
  『おいお前』
  『ここは聖響騎士団・隊長しか入れない部屋だから、さっさとどっか行け!』
  ナハトは警備の人に呼び止められた。
  なのでナハトは──
ナハト「仕方ない。使うか・・・」
  『な・・・何だ。』
  『何急に黙り込んで──』
ナハト?「『私を、通してくれる?』」
  『!?』
  『・・・どうぞ、お入りください──』
ナハト?「ありがとう」
  ナハトは、警備の人に何かをして部屋の中へ入った。

〇可愛らしい部屋
  ──翌朝
ナハト「いやぁ昨日は大変だったなぁ──」
ナハト「部屋に葉入った途端、母様が抱きついてきたんだもんなぁ・・・」
ナハト「はぁ~・・・」
ナハト「・・・」
ナハト「よし。気持ちを落ち着かせた」
ナハト「学園へと行くか」
  ナハトは学園へと向かった。

〇ファンタジーの教室
  オルフォード王立学園、教室
ナハト「先生来るの、遅いな──」
ナハト「あ!先生来た──」
ファム・ティターニア「皆〜、元気してる!」
ナハト「あ!・・・思わず時停魔法使っちゃった──」
ファム・ティターニア「ちょ・・・いきなり何するのよ!?」
ナハト「ご・・・ごめんよファム」
ファム・ティターニア「ま・・・まぁ良いけど」
ファム・ティターニア「ここでは私のことは先生と呼ぶように」
ナハト「はい先生」
ファム・ティターニア「それじゃ時間を動かして」
ナハト「わかった」
ファム・ティターニア「ありがとうナハト」
ナハト「いえいえ」
ファム・ティターニア「皆〜。今日から本格的に授業を開始しま~す!」
ファム・ティターニア「私は聖響騎士団・聖光隊・隊長のファム・ティターニアです」
ファム・ティターニア「普段は妖精たちの長をしています」
ファム・ティターニア「これからは皆さんの担任として頑張ります」
ファム・ティターニア「よろしくねぇ~」
  『おぉ~!可愛い先生来たぁ!』
  ファムの挨拶の後、授業が開始した

〇華やかな裏庭
  ──一ヶ月後
  『ねぇあの人──』
  『間違いない。ナハトさんだ!』
ナハト「ん?」
  『ナ・・・ナハトさん!』
ナハト「はい──」
ナハト「どうしました?」

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