Xヒーロー

語り部

第64話 錆(脚本)

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〇秘密基地のモニタールーム
  2021年 イリノイ州 ウィネベーゴ郡 ロックフォード 自然公園内部 地下 謎の施設
斎王幽羅「二人とも、アナザーはレーザービームを撃ってくる!気をつけてくれ!」
  斎王の忠告から間も開けず、アナザーは三人に一斉に指を向けレーザービームを撃ち始める
凪園無頼「うっぜぇ!風のビート、アストライア・・・」
斎王幽羅「凪園ダメだ!子供達も巻き込む!」
凪園無頼「えー!じゃあどーすんのさー!」
  斎王は周りを見渡した後凪園に『竜巻を起こしてくれ』と頼み、凪園はその場で小規模の竜巻を放つ
  斎王は自身の体を空気と一体化させ、その場から消えるとアナザーのレーザービームは竜巻を狙う
  しかしレーザービームが竜巻から現れたその時、レーザービームは『屈折』し明後日の方向へ放たれた
  できた!空気の『比重』を変化させて、レーザービームの方向を多少曲げれる!
凪園無頼「斎王すげー!」
  通常空気の比重を変化させると空気は『上か下』に流れる。空気にも重さが有り、それが重くなるかどうかで変化するのである
  しかし通常空気の比重は『空気中の水分量』に依存するので、光を曲げるには一定量の『水分』が必要である。
  今回場所が洞窟であり『湿度が高い』ため、レーザービームの方向を逸らす事に成功したのである
  そして今回斎王は空気の比重を『高めた』。それによりある事が起こった
アナザー「空気中の酸素量大幅低下、内部回路一部凍結により『Besides me(私以外)』を発射できません」
  空気凍結である。本来地上ではこのようなことは起きない。なぜなら通常空気は上から下へ流れる
  そして今回も例に漏れず、斎王が重くした空気は下へ降りた。しかし空気の比重を重くする=『空気を圧縮する』行為なのである
  本来はそうなった空気はただ湿度を高めるだけに終わるが、ここで凪園の竜巻に圧縮された空気が巻き込まれる。
  すると圧縮された空気は急速に周りの空気を取り込み、圧縮から逃れようとする。だが斎王の能力によって変化できないのである
  すると徐々に圧縮された空気が『冷え始める』、そしてその空気を吸ったアナザーの内部回路を凍結させたのである
ピーター・オルセン「空気と一体化した···?おいおい、斎王幽羅の能力は『潜り込む』ことじゃないのかよ!?」
アナザー「格闘モードに移行。対象を殺害します」
キング「来るぞ凪園、やってやろうぜ!」
  襲いかかるアナザーにキングは盾を使って殴りつけるも、アナザーは少しよろめく程度に終わる
キング「硬ってェな・・・!『岩』でも殴ってる気分だ!」
凪園無頼「マジでそれー!エル・シッドの所で戦ったアナザーより硬ぇーんだけど!」
キング「打撃がダメなら・・・こうだろう!」
  するとキングはアナザーに膝蹴りを打ち込み、前かがみになったアナザーの体を掴み足が上になるように持ち上げ
  自身が後ろに倒れ込みながらアナザーの頭上を、床に叩きつけた
アナザー「脳内回路に損傷を確認。戦闘続行」
キング「おいおい・・・垂直落下のブレーンバスターだぞ?どうなってんだ?」
  しかし効果が無い訳ではない様子であった。キングが技を仕掛けたアナザーは著しく行動が『鈍化』していた
キング「お?あのアナザー動きが鈍ってるぞ?効果がねえわけじゃ無さそうだな!」
凪園無頼「なら俺がやったら頭ぶっ壊せるんじゃねー!?」
  すると凪園はクラウチングスタートの構えを取りアナザーに突進する。キングは『ケイローン・ボレアース』が来ると予想し
  盾の姿に自身を変化させようとしたが、アナザーの拳が凪園に当たる刹那
凪園無頼「風のビート『ドルフィン・エテジア!!』」
  凪園は地面を蹴り上げ『ふわっ···』っと飛び上がる。アナザーが殴りかかろうとすると凪園は急スピードで落下し
  右足に風を起こし、体を回転させながらつま先をアナザーの顎に引っ掛け、アナザーの顔面を地面へ叩きつけた
  叩きつけられたアナザーは機械部が露出していた。だが···その姿は『異様』だった
キング「お、おい···何だありゃ···『機械』じゃねえのか?こいつら···」
凪園無頼「骨と眼球···眼球は作り物っぽいけど骨『本物』じゃん」
  そういえば大阪でミンさんが言ってた···赤ん坊の遺伝子配列を変え、光の異能を付与する。
  しかし光の異能を付与出来なかった赤ん坊は『クローン喧嘩王』として開発するって。
  あれ、兵士として育成するって考え方してたけど···『人体改造』して兵器運用するってことだったんだ···
  すると男の指鳴らしと共に発生した音波にキングと凪園は耳を塞ぎ、その場に膝を着いた。
  その能力···エドモンドさんの···!!
ピーター・オルセン「アナザー待機状態に移行。なんだ、羨ましいか?なら仲間の誰かに『付与』させてやろうか?」
  付与···?何を言ってる···
ピーター・オルセン「何って···エドモンド・サルガッソから音波を操る能力を『抽出』し他者に『付与』させれるんだよ」
  ··· ··· ···まさかその為に変化武器やエドモンドさんとキャプテンを···?
ピーター・オルセン「そうだが?おいなんだよ、アナザーの事詳しく知ってるからてっきり知ってるかと思ったぞ?」
ピーター・オルセン「まぁもっとも変化武器共は実験段階で殆どくたばって、異能抽出はもうできないがな」
キング「ならなんで···みんなを吊るしてやがる···!用がねえなら下ろせ!」
ピーター・オルセン「あー···言われてみればだな。まぁいいんじゃねぇの?変化武器なんて『無様な姿』がお似合いのクズ共だし」
  その言葉を聞いたキングは男に殴りかかろうとするも2体のアナザーがキングを地面に押さえつける
キング「離せオラッ!こんの···!俺達変化武器だって立派な生き物なのに···そんなに俺達が憎いのか!?」
ピーター・オルセン「憎い?お前は虫を殺す時『憎くて殺してるのか?』違うよな?『鬱陶しい』から殺してるよな?同じことだぜ」
  男がそう言いながら水鉄砲を三体のアナザーに渡してキングに狙いをつける
  凪園がそうはさせないと、止めようとするも凪園も2体のアナザーにその場で押さえつけられてしまう
ピーター・オルセン「興奮するなって。黙って見てろ」
  やめろ!キングにそんなもの向けるな!
ピーター・オルセン「ほーん?お前もしかして空気と一体化してる状態で操れるのは『自分の部位と同じ数』だけだな?」
ピーター・オルセン「割と融通が聞かないんだな。ははっ!じゃあ一体のアナザーの動きは止めれるが、残り2体のアナザーは止められねえんだな?」
ピーター・オルセン「お?返事がないって事はあたりか?アナザー攻撃命令。変化武器の『沈黙』を行え」
  そしてアナザーから放たれた水鉄砲の『液体』は斎王と凪園の制止の声虚しく、キングに浴びせられてしまう
凪園無頼「キング!!」
キング「がぁ···クッソ··· ···錆が···早すぎる··· ··· ···」
ピーター・オルセン「当たり前だ『錆発生剤』だからな」
  錆発生剤とは鉄骨と柱の接合部の摩擦力を高めるためにあえて錆させる為に使う物である。
  本来は内部まで錆びないようにある程度水に薄めて使うものだが、今回は原液で使用した為
  通常より錆の進行が早いのである
キング「俺··· ··· ···も···こ··· ··· ···こま···で··· ···か···」
凪園無頼「キング!諦めんな!!錆なんて吹きとばせ!!」
キング「無茶··· ···言···う··· ··· ···な」
  一かバチか···やるしか···!
  すると斎王は姿を現し、形見のロケットペンダントをキングに渡そうとする
ピーター・オルセン「アナザー、斎王幽羅の手に持ってるものを破壊しろ」
斎王幽羅「キング、受け取ってくれ···頼む···!」
  アナザー達は斎王からペンダントを奪おうと試みるも、その手は尽くすり抜ける
キング「受け··· ··· ···と··· ···れ···ねぇ··· ··· ···よ」
  意識が薄れていく中で、キングは斎王からペンダントを拒否し遂に人の姿を保てず『盾の姿』に戻ってしまう
凪園無頼「キング···嫌だ···なんでだよ···!」
  斎王はペンダントを盾に押さえつける形で置くと、アナザーがそれに群がった。
  しかし斎王が前に立ち、アナザー達に触れると
ピーター・オルセン「燃えた···?『空気摩擦』か」
斎王幽羅「湿度の高い空気と凪園の竜巻による空気の乾燥化。少し擦るだけで発火可能だ」
  すると凪園は隙を見てアナザー達を振りほどき、斎王の元へ駆け寄る
凪園無頼「なぁ···落ち着きすぎじゃね?キングが錆だらけにされてんだぞ!?」
  焦燥と怒りの感情を見せる凪園に対し、斎王は静かに答える
斎王幽羅「キングは戻ってくる。その瞬間まで···俺達2人でキングを守ろう」
  斎王は後ろにある盾を見る。
  そこには『ロケットペンダントは無く』サビだらけで元の色がわからない盾だけがあった。
斎王幽羅「··· ··· ···戻ってこいよ、『相棒』」
  To Be Continued··· ··· ···

次のエピソード:第65話 知恵あるリトル・フィンガー(小指)

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