トート美術館

あさけの

1 トート美術館(脚本)

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〇森の中
  ー森の奥。私はとある美術館に足を運んだ。
  トート美術館。美術好きの間ではそこそこ名の知れた画家「トート」の作品ばかりを収集した美術館。
  そこは悪い噂の流れる、いわくつきの美術館だった・・・・・・

〇おしゃれな受付
アンナ「あ、いらっしゃいませ」
アンナ「すみませんすぐに気がつかなくて」
アンナ「久しぶりのお客様だったもので」
アンナ「あの・・・・・・おひとりさまですか?」
あなた「あ、はい」
アンナ「お連れ様とかは・・・・・・」
あなた「私1人・・・・・・ですね」
アンナ「大丈夫・・・・・・でしょうか?」
あなた「何がですか?」
アンナ「何がって・・・・・・お客様、こちらの美術館のことはご存知ですか?」
あなた「ええ、一応。画家のトートの作品ばかりを集めた美術館・・・・・・ですよね?」
アンナ「はい。おっしゃる通り、ここはトート美術館。ここに展示されている作品は全て、画家のトートによって描かれたものになります」
アンナ「私が心配しているのは、ここの美術館は最近、「呪われた美術館」なんて言われているからなんです」
あなた「呪われた、美術館?」
アンナ「はい。絵を見にきたお客様から絵画の子どもの目が動いただとか、作品の目の前に立った途端、悪寒が走ったとか・・・・・・」
アンナ「・・・・・・極め付けは先日、ここにきたお客様が1人、行方不明になるという事件が起きまして」
アンナ「・・・・・・いまだにその方は見つかっておりません」
あなた「・・・・・・」
アンナ「・・・・・・いかがいたしますか?」
あなた「え?」
アンナ「今ならまだ、引き返すことができますけど」
あなた「・・・・・・」
アンナ「・・・・・・」
あなた「いいえ、入ります」
アンナ「・・・・・・え?」
あなた「せっかくここまできたんです。何にもせずに帰るのはちょっと・・・・・・」
アンナ「やめておいた方がいいと思いますけど・・・・・・」
あなた「・・・・・・」
アンナ「はあ・・・・・・」
アンナ「わかりました」
アンナ「では、私が同行します」
アンナ「おそらくあなた以外のお客様は来ないでしょうし」
アンナ「絵画の解説もしながら、ご一緒させていただきます」
あなた「・・・・・・ありがとうございます」
アンナ「それでは、入場料をいただきますね」

〇美術館
  ー美術館、絵画の前。
アンナ「こちらが「遊ぶ子どもたち」」
アンナ「トートの家の近くには公園があって、子どもの声が近くで聞こえてきたそうです」
アンナ「そのため、初期の作品は子どもが描かれていることが多いのです。それに比べると・・・・・・」
アンナ「後期にかけてだんたんと作風に影がちらつくようになります。・・・・・・何があったのかはわかりませんが」
アンナ「そしてこちらが彼の遺作」
アンナ「・・・・・・こちらを描き上げて、彼は自死しました」
アンナ「あれ、電話なんて珍しい」
アンナ「すみません。少し失礼します」
アンナ「・・・・・・くれぐれも気をつけてくださいね」
ダリル「・・・・・・良い絵だが、やっぱり嫌なことを思い出してしまうね」
あなた「!?」
ダリル「ああ、驚かしてしまったようですまないね」
ダリル「久しぶりのお客様と聞いて少し気になってしまって」
あなた「あの・・・・・・あなたは?」
ダリル「申しおくれた、私はダリル」
あなた「ダリル・・・・・・さん」
ダリル「ここの美術館の館長で、トートの兄だ」
あなた「・・・・・・トートの、お兄さん?」
ダリル「・・・・・・気になるかい?」
あなた「え?」
ダリル「弟のこと」
あなた「それは・・・・・・」
ダリル「・・・少しだけ、私の昔話に付き合ってくれるかい?」

次のエピソード:2 ダリルとトート

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