21話 定められた運命 (脚本)
〇黒
前回までのあらすじ
リアリナ・シャルルド・グレイ「ようやくギルバトルを屋敷から出せたわ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「けれども、どうにか、攫われた人たちを捕らえた牢屋まで辿り着かないといけない!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「スタンのプライドを煽って、ギルと決闘に持ち込んだけれど?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「一体どうなるのかしら?」
〇地下に続く階段
〇牢獄
さらわれた女性たち「・・・」
ミゲル「・・・ひっく、ひ・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ「みんな、助けに来たわ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「さあ、お家に帰りましょう」
リアリナ・シャルルド・グレイ「今、牢屋から出してあげるわ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「せい!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「さあっ。逃げるわよ!」
〇地下に続く階段
ヨハン村長「やはり、これが目的でしたか」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ヨハン村長!」
ヨハン村長「ここから先は、通すことはできません」
リアリナ・シャルルド・グレイ「今ね。合コンでダダ下がる空気を必死に盛り上げようとする女子みたいに」
リアリナ・シャルルド・グレイ「すごい! と、さすが!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ばかり言いすぎてカロリーヤバいの」
リアリナ・シャルルド・グレイ「だから、 とことんストレス発散させてもらうわ!」
ヨハン村長「とばっちり!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「痛い思いをしたくないなら」
リアリナ・シャルルド・グレイ「さっさと、彼女たちを解放してちょうだい!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「いう通りにしてくれたら、あなたの罪を軽くするよう、殿下に進言してあげる」
ヨハン村長「ふふふ。貴族はいつも甘い言葉で誘惑なさる」
ヨハン村長「そしていつも我々を、笑顔で蹂躙する」
〇黒
〇けばけばしい部屋
ヨハン母「いつまで食べてるんだい! 全くあんたはトロイんだから!」
ヨハン幼少期「でも・・・このパン固くて・・・」
ヨハン母「ほら早く!」
ヨハン母「客が来るから、さっさと箱に入るんだよ!」
ヨハン幼少期「う、うん」
〇謎の扉
「いいかい? 絶対に声を出すんじゃないよ!」
〇黒
「あら、伯爵様、いらっしゃい」
〇けばけばしい部屋
僕の母は、娼婦だった
僕は娼館で生まれ、女たちに囲まれて育った
〇謎の扉
母が働く間、僕は狭い箱の中で息を殺して、じっと耐えた
〇けばけばしい部屋
ヨハン母「っち。あんたが女だったら、客が取れたのに」
〇謎の扉
狭い箱の中で1日の大半を過ごしていた僕にとって
本は現実を忘れさせてくれるものだった
幸い、娼館の女たちは客に本をプレゼントされても
絵の如く眺めるだけだったから、拝借しても誰も咎めない
ヨハン幼少期「・・・昔々、あるところに」
ヨハン幼少期「一人の少年と一匹のドラゴンがいました」
ヨハン幼少期「少年は──」
〇水中
暗くて狭い箱の中、
僕は物語の底へと沈んだ──
〇ホテルのエントランス
娼婦1「ヨハン、あんた字が読めるんだね」
娼婦1「クローディア、このこを学校に通わせたらどうだい?」
ヨハン母「はあ? この穀潰しを学校に?」
ヨハン母「いくら金がかかると思ってんだい!」
娼婦1「商工会は金勘定ができれば、獣人だろうと雇うって話だ」
娼婦1「幸い、この子の父親はあの伯爵様だろ? うまくいけば伯爵家に認められるかもしれないよ」
ヨハン母「ヨハンが、伯爵家に・・・」
〇華やかな寮
母の思惑もあり、僕は学校へと通うようになった
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