Xヒーロー

語り部

第62話 守り手(脚本)

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〇個別オフィス
  2021年 イリノイ州 ウィネベーゴ郡 ロックフォード 商業組合ビル最上階 社長室
ゲライント「なるほど、うちの財政難の原因を探ってきてくれたのね。ありがとうね?」
エンチャント魔導法士「その様子だと前々から知っていた。って感じだな···他に目的があったのか?」
ゲライント「えぇ、街の皆に顔を覚えてもらおうと思って。でもそんな悠長なこと言ってる場合じゃ無くなったわ」
ゲライント「昨日ここに『WoOS』の工作員が3人来たの。返り討ちにはしたけど今日の様子を見るに···」
エンチャント魔導法士「また来ると?というかなぜWoOSの奴らとわかった?」
ゲライント「返り討ちにした後シャルちゃんの組織に送って、尋問してもらったけど」
ゲライント「あっさり吐いたらしいわ。だけど尋問の途中で死んだらしいの」
ゲライント「死体を調べたら死因は『脳幹出血による脳死』らしいわ」
フェード「口封じか。だがそれがどうした?諜報員や工作員の脳に外科手術で『小型爆弾』を埋め込むなんて普通にあるぞ」
ゲライント「それが『小型爆弾は見つからなかったの』。···何かの能力なんじゃないか?って思ってるんだけど···」
エンチャント魔導法士「脳に作用する能力···?聞いた事ないな···遠距離能力自体少ないからな、大抵は『付近で能力を使う』だろうしな」
エンチャント魔導法士(待てよ?どっかで聞いたことがあるぞ···脳を破壊することが出来る能力、あれは確か···)
  するとどこからとも無く『キーン』という甲高い音が鳴り、皆がその場で耳を抑える。
  ゲライントがパソコンを見ると鸞達に『ここで待ってて』と言い残し、社長室を後にする

〇オフィスのフロア
  最上階 オフィス内
ゲライント「あら···うちの子達を囲って何してるのかしら?説明してもらえる?」
  大勢の男達が組合員を拘束し1箇所に取り囲んでいる様子を見て、ゲライントは銃を出現させ銃口を向ける
  しかし男達は問答無用でゲライントに向け発砲し、ゲライントはそれを回避しながらデスクに身を潜める
ダニエル・カーター「お返しの言葉はこれで足りているか?ゲライント」
ゲライント「せっかちねヴァージン(初めて)かしら?氷帝の居場所知りたいんじゃないの?」
ダニエル・カーター「もちろんだ。だがアナザーオリジンのテスト相手としておびき出したいんでな」
ダニエル・カーター「死んでくれよ、ゲライント」
ゲライント「へぇ···なら早く来たらどう?ボスをおびき出すために私の死体が必要なんでしょ?」
  そう言いながらゲライントは脇腹を抑える。脇腹からは出血しており、先程の一斉射撃で被弾した様子であった
ゲライント(敵は12人、うち6人が人質を見張ってる···『幻惑の異能』でどうにかできるかしら···)
ダニエル・カーター「変化武器はこそこそ隠れ潜むのが似合うな。だがもっと似合う姿があるぞ?」
ダニエル・カーター「『エコー・ノイズ!』」
  敵の指鳴らしによって発生した音波 。ゲライントは耳を押さえるも、鳴り止む事ない指鳴らしに対して
  ゲライントはデスクから顔を出し応戦しようとする。しかし
  ゲライントは既に2人に囲まれており、その場で拘束されると男がゆっくり近づいてとどめを刺そうと指を近づける
ゲライント(私もここまでね。ならせめて···皆は助けてあげなきゃ···私は『パパに期待されてたんだもの』)
  今まさに指が鳴らされる瞬間、社長室から荒々しくドアを叩く音と共にゲライントの声で『開けろ』と聞こえる
  その場にいる全員はドアに目線をやると、男が命令しゲライントを立ち上がらせ見張りの2人にドアを開けるよう命じる
  ドアを開け、そこにあった光景は···
ダニエル・カーター「げほっ···ごほっ···『消化器』の煙か?中に入って確かめろ」
  こくりと頷き侵入しようとした男達に向かって、煙に向こうから2つの『蹴り』が飛来し2人の男は吹っ飛ぶ
  煙の向こうから現れた『鸞とフェード』はクナイとナイフでゲライントを拘束している男達を瞬時に制圧する
ダニエル・カーター「『エコー・ノイズ!!』」
  男が指を鳴らそうと鸞に指を向け、指鳴らしを行う。
鸞「鳥獣忍術『鳧(けり)!!』」
  鸞から発せられた声は甲高く、男の『指鳴らし』を相殺する威力を見せた。
  鸞が作った隙を見てゲライントは男の首に足を絡ませ、男を投げた
ダニエル・カーター「ぐあっ!ちっ···お前たち、人質を2人殺せ!俺が抑える!」
鸞「エンチャント!人質を助けろ!」
エンチャント魔導法士「でかい声出さんでもやっとるわ。ほほいのー···ほいっと」
ダニエル・カーター「命を作り出した!?いや···『作り替えた』のか!」
エンチャント魔導法士「お、若いのに理解が及ぶか。次からは『革のベルト』で拘束しないようにするんだな」
  組合員達を拘束している縄がいつの間にか『カエル』に変化しており、組合員達が一斉にゲライントの方へ走り出す
  そうはさせまいと男達が組合員達に発砲をするも、ゲライントが同時に発砲し全弾を『相殺』し撃ち落としてみせる
鸞「流石だ···一撃でキメる、行けそうか?ゲライント」
ゲライント「えぇ···合わせるわ」
  鸞、フェード、ゲライントが1箇所に固まっている男達に対し走り出す。無論反撃しようと銃を撃つも
  エンチャントの魔術によって『黒い粉』に変化させらてしまう
エンチャント魔導法士「当たっても害はないが『吸うなよ』?鉛筆の芯と同じ物に変化させたとはいえ鉛だからな」
鸞「わかった、行くぞ!!」
鸞「鳥獣忍術『ヒクイドリ!!』」
フェード「飛燕脚!!」
ゲライント「アレグロ・グラン・ジュテ!」
  3人の蹴りが同時に放たれ、男達は窓ガラスを突き破り全員が最上階からガラスと共に落下していった
フェード「終わったか···しかしあの能力どこかで見た覚えが···」
鸞「知略の雪傘下である魚人ギャング、エドモンド・ファミリーのリーダーの能力だ。斎王には内緒にしておいた方がいいかもな」
フェード「雪月頼の部下だった者の能力か···もしかして能力を移植したのか?」
エンチャント魔導法士「いや、前任の能力者が死ねばその能力は世界の『どこかで発生する』んだよ。揺るがすことが出来ないルールの1つだな」
フェード「音波の能力をあいつが引き継いだと···他に揺るがすことが出来ないルールはあるのか?」
エンチャント魔導法士「もう1つだけある。『同じ能力はこの世に存在できない』これもそうだな、覚醒能力は別らしいがな」
エンチャント魔導法士「雪月頼と鬼月冷羅は共に『冷気を操る能力』に覚醒し目覚めた。どうやら覚醒能力自体にこのルールは通用しないらしい」
  鸞が2人を呼びビルの下を見るよう促す。2人が下を見ると兵士達がぞろぞろとビルに入る様子が見えた。
  だがそれ以上に不可解なことがあった。それは···
鸞「落下した奴らの『死体がない』。見ろ、巨大な血溜まりはあっても肉片ひとつないのはおかしすぎる」
フェード「逃げられた···?でも一体どうやって···」
エンチャント魔導法士「音波だろうな。指鳴らしを連続で行って自身のダメージを軽減したんだろ」
  鸞はゲライントの元に行きこれからどうするか聞こうとする。しかしゲライントは脇腹を抑え座り込んでいた
鸞「お前···いつこの怪我を?」
エンチャント魔導法士「手をどけて見せてみろ。どうした?ほら見せんか」
ゲライント「私の事はいいから···皆を···避難させて?私の傷は大したことないから」
  頑なに傷を見せないゲライントの手をフェードが無理やり退けさせ、傷を見てみると
エンチャント魔導法士「まずいな···弾丸が中で止まっている。取り出さんと敗血症になるぞ」
  エンチャントが取り出す準備をしようとした時、ゲライントはエンチャントの肩を掴み懇願する
ゲライント「お願い···私はいいから、皆を避難させて···この子達は戦闘能力がないの。巻き込んで死なせたくない。だからお願い···」
  ゲライントの必死に要求する姿を見て、エンチャントは組合員に『デスクを1箇所にまとめろ』と指示をする
  1箇所に集められたデスクに魔法陣が掛かると、デスクは1つの大きな『橋』に変化し向かい側のビルへ繋げた
エンチャント魔導法士「繋げたぞ、幅はあるから急いで渡っても落ちはせん。ほれ行け」
  組合員達が次々に橋を渡っていく中、エレベーターの『チンッ』という到着音と共に複数の足音が聞こえてきた
エンチャント魔導法士「鸞、フェード、2人で相手してくれ。ワシはゲライントを治す」
  鸞とフェードはただこくりと頷いた
  To Be Continued··· ··· ···

次のエピソード:第63話 地に落ちた空賊

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