吸血鬼との共存を頑張ろう

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11話 何か足りない(脚本)

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〇中規模マンション
如月天音「いつもありがとう、みくるちゃん」
如月天音「今日も変わらず最高だったよ」
  ぎゅっ
華城みくる「ふふっどういたしまして♡」
華城みくる「私も天音くんの吸い方優しくて好きよ♡」
如月天音「あははっ照れるなぁ」
如月天音「はいこれ、お礼の報酬!」
華城みくる「え〜こんなの暇潰しでやってるからいいのに」
華城みくる「うち金持ちなのよ?」
如月天音「とか言って毎度きっちり貰っていくくせに笑」
華城みくる「えへっバレてた♡」
華城みくる「それじゃまた呼んでね〜!」
如月天音「うん!気をつけて〜」
如月天音(・・・なるべくなら次回までに)
如月天音(正式なパートナー見つけたいんだけどな)
如月天音(清香さんに謝罪のLIMEしたけど既読無視だし)
如月天音(はぁ、全然上手くいかないな・・・)
影野夜月「うわああ凄いの見ちゃった・・・!!」

〇ファミリーレストランの店内
影野夜月「で、僕がネギを買いに歩いてたら」
影野夜月「めちゃくちゃ可愛い彼女さんとマンションから出てきて」
影野夜月「甘い感じで抱き合ってたんです!」
影野夜月「流石天音さんですよね!」
赤城「それをなぜわざわざ俺に?嫌がらせか?」
影野夜月「それもあるんですけど」
赤城「それもあるんかい」
影野夜月「1個気になってる点があって・・・」
影野夜月「“報酬”とか言って厚めの封筒渡してたんですよ」
影野夜月「その方そんなに凄い御奉仕をしたんでしょうか?」
赤城「ハハ、それは絶対彼女じゃないな!」
影野夜月「分かりやすく喜ばないで下さい!!」
影野夜月「じゃあ何だって言うんですか?」
赤城「吸血鬼御用達の吸血サービス」
赤城「通称血フレってやつだな」
赤城「好みの人間を選んで金を払って血を吸わせてもらう」
赤城「肉体関係のセフレと似たようなものだ」
影野夜月「セセセッセ!?」
赤城「そこで反応するな、中学生か」
影野夜月「だって天音さんがセフレ紛いのことするなんて・・・!」
赤城「あいつの友達ほぼセフレだろ」
影野夜月「そんな、純愛より欲を選ぶなんて・・・」
影野夜月「ますます憧れます!!」
赤城「憧れるんかい」
赤城「血フレはやめておいた方がいいぞ」
赤城「契約と違って情がなく悪条件でな」
赤城「血、つまり体液商売だから異様に金額が高い」
赤城「吸血量の上限も厳しく設定されている」
赤城「しかも吸血鬼を金づるのように見下す」
赤城「悪趣味な連中が殆どだ」
赤城「俺も一回やったことあるが」
影野夜月「あっだからそんなに詳しいんですね」
影野夜月「どうでしたか?」
赤城「吸血鬼だとバラすと脅されぼったくられた」
影野夜月「心中お察しします・・・」
赤城「それ以来トラウマで」
赤城「輸血パックデリバリーも」
赤城「吸血鬼専用マッチングアプリも」
赤城「血濡れコスプレデリヘルも」
赤城「やりたくてもやれていない・・・」
影野夜月「なんか別の欲も出てますけど」
影野夜月「でも血フレ、良いかもしれませんね」
赤城「話聞いてたか?」
影野夜月「デメリットはよく分かりましたが」
影野夜月「その分メリットもあるはずです」
影野夜月「少なくとも天音さんといた方は良い人そうでしたし」
赤城「全部演技だぞ」
影野夜月「それでもいいんです」
影野夜月「どうせ僕は契約なんてできないですし」
影野夜月「唯一吸血鬼に理解のある藍原さんだって」
影野夜月「誰とも契約する気は無さそうですし」
赤城(俺としたけどな)
影野夜月「ていうかちょっと、かなり苦手ですし」
赤城(気持ちは分かるぞ)
影野夜月「僕には血フレが合っていると思うんです」
影野夜月「ていうかもう何でもいいから早く食料をGETして」
影野夜月「自立した豊かな生活を送りたいんです!」
赤城「むしろ荒むと思うが・・・」
影野夜月「まずは血フレの為にお金を稼がなきゃですね!」
影野夜月「けど腹が減っては戦はできないので」
影野夜月「仕事の前に血を飲まなきゃ!」
影野夜月「血を飲む為には血フレが必要で・・・あれ?」
赤城「ほら負の無限ループだぞ」
影野夜月「まぁとにかく天音さんを見習って頑張ります!」
赤城「あいつ反面教師側だろ」
影野夜月「それは赤城さんの方じゃないですか」
赤城「あ?」
影野夜月「大人気ない、頼りない、性格が悪い、お金が無い」
影野夜月「無い無い尽しじゃないですか」
影野夜月「僕赤城さんみたいな大人には絶対なりたくないです」
赤城「・・・言われすぎて怒る気力もなくなってきたな」

〇ファミリーレストランの店内
赤城(契約なんて気取った呼び方しようが)
赤城(こっちだって血フレと何ら変わりない)
赤城(友達だの調子の良いことを抜かしてたしずくだって)
赤城(トマトジュースという報酬が無ければどうせ離れていく)
赤城(いつ切れるかも分からない関係だ)
  ぐうぅ・・・
佐藤「あら赤城くんお腹鳴ってるわよ」
佐藤「そろそろ休憩にしたら?」
赤城「あ、いや大丈夫です」
赤城(ここの賄いは確かに美味いが)
赤城(主食の血が無いから物足りない)
赤城(腹が膨れても脳が空腹状態じゃ無意味だ)
赤城(早くしずくの血が飲みたい・・・)
赤城「うわっ」
客「きゃっ!?」
赤城「大丈夫か!?」
赤城「じゃなかった大丈夫ですか!?」
客「はい、ちょっと指を怪我した程度で・・・」
赤城「!」
赤城(血、真っ赤な血だ)
赤城(傷口からじわりと溢れ出て)
赤城「美味そうだ・・・」
客「ちょっ店員さん!?」
赤城(もしかしたらしずくの血より美味いかもしれない)
赤城(その時はこの血に乗り換える手も・・・)
客「イヤアア助けてー!!」
赤城「え、あっ!?」
赤城(俺は今何を・・・!!)

〇一戸建て
赤城(パートナー以外の血に惹かれるなんて言語道断だ)
赤城(俺の方が約束を守れていない)
赤城(しかも相手は客)
赤城(これじゃしずくを無理矢理襲った時と同じじゃないか)
赤城(やっぱり吸血鬼は醜い・・・)
赤城「・・・・・・」
赤城(いやいや、人間だって欲に眩んで浮気するしな)
赤城(大丈夫だ、まだ大丈夫)
  ピンポーン
赤城「おーいしずく」
赤城「いつもより早いが血を・・・」
  (ドアが勢い良く開く)
赤城「うおっ何だ!?」
藍原しずく「あ、いたんだ赤城さん」
藍原しずく「今近くのスーパーで高級トマトジュースの大安売りやってるらしくて」
赤城「どんな大安売りだ」
藍原しずく「丁度いい、荷物持ってもらいたいから一緒に来て」
  グイッ
赤城「え?」

〇線路沿いの道
赤城「ちょっ走るなって!!」
藍原しずく「売り切れたら嫌だから急ぐ」
赤城「トマトジュース買うのお前くらいしかいないだろ!!」
  ※失礼
赤城(手を繋いで走るなんて)
赤城(これじゃまるで周囲から付き合ってるように思われ・・・)
赤城(るわけないか)
赤城(全く釣り合わないもんな)
通りすがりの人「あらあらあのカップル楽しそうね〜」
通りすがりの人「未来に向かって走ってるのね〜」
藍原しずく「!」
  ピタッ
赤城「ん、走り疲れたか?」
藍原しずく「今すぐ手離して」
赤城「いやお前が掴んだんだろうが」
藍原しずく「私の後ろに続いて」
藍原しずく「距離は15m空けて」
赤城「遠すぎるだろ」
赤城「なぜ急に他人行儀に・・・」
藍原しずく「友達だろうが他人だから」
  スタスタスタ
赤城「うわっ早いな!?」
赤城(あの時もこの早足で通り過ぎられていたら)
赤城(こいつとは出会えず)
赤城(俺も今頃ここにいなかったのか・・・)
藍原しずく「追いつけないと血もあげないよー」
赤城「クッ負けてたまるか!!」

〇スーパーの店内
赤城「ゲホッゲホ・・・」
赤城「息苦しさで肺が痛い・・・」
赤城「ついでに腰も痛い・・・」
藍原しずく「赤城さん運動不足酷すぎ・・・」
藍原しずく「ごほ、ごほっ・・・」
赤城「お前もやないかい」
赤城「喉カラカラだ、先に血飲ませてくれ」
藍原しずく「トマトジュースが先」
赤城「チッ仕方ないな・・・」
藍原しずく「やった、沢山残ってる」
赤城「いつもの小さい紙パックじゃなくて」
赤城「1Lのペットボトルか」
藍原しずく「うん、持ち運ぶんじゃなく家に保管しておくから」
藍原しずく「全部買い占めよっと」
赤城「全部!?他の客に迷惑だろ!」
藍原しずく「む・・・じゃあ一本だけ残して10本にする」
赤城「せめて5本にしろ」
藍原しずく「それじゃ5時間で無くなる」
赤城「せめて5日にしろ」
赤城「保管するんじゃなかったのか」
藍原しずく「保管できた試しがない」
赤城「意志が弱いな・・・」
藍原しずく「あなたに言われたくない」
赤城「そんなに飲んで腹大丈夫なのか?」
藍原しずく「無限に余裕」
藍原しずく「トマトジュースにだけ私の胃はブラックホールだから」
赤城「都合の良い胃だな」
赤城「だとしても凄い量出ることになるだろ」
藍原しずく「何が?」
赤城「その・・・尿が」
藍原しずく「・・・・・・」
  (冷たい目で睨む)
赤城「極めて純粋な意味だ!!」
藍原しずく「逆にどのくらいだと思う?」
赤城「何かを試してくるな」

〇無機質な扉
藍原しずく「はい、約束の血」
赤城「多目的トイレか、なかなか良い吸い場所だな」
  ※こいつらは悪人です 良い子の皆さんは決して真似しないで下さい
藍原しずく「トイレ以外の目的で使用禁止だからなるべく早くして」
赤城「お前が常識的なのなんか腹立つな」
  ガブッ
赤城「あ〜生き返る」
赤城「走った後の血は格別だな」
藍原しずく「・・・赤城さん」
赤城「ん?」
藍原しずく「ちょっと、駄目かも」
  (身体に寄りかかる)
赤城「なっ何してる!?」
赤城「トイレはトイレ以外で使用禁止じゃなかったのか!?」
赤城「俺をトイレだと思ってるのか!?」
藍原しずく「んん・・・」
赤城「!」
赤城(顔が青白い、貧血だ!)
赤城「おい大丈夫か!?起きろ!」
赤城「高級トマトジュース飲むんだろ!」
  ガクガク
藍原しずく「・・・・・・」
赤城(まずい、完全に動かなくなった)
赤城(血飲みすぎたか)
赤城(いや運動後に吸ったせいか)
赤城(俺のせいでこのまま死んだら・・・)
赤城(きゅ、救急車呼ぼう)
赤城(いや駄目だ、俺が吸血鬼だってバレる)
赤城(こうなったらトマトジュース頼みしかない・・・!)
赤城「オラァ!!」
  ※トマトジュースです
藍原しずく「んわっ」
赤城「よし成功だ!」
藍原しずく「・・・冷たい」
赤城「・・・すまん」
藍原しずく「貴重なトマトジュース無駄にしたね」
赤城「も、もう一本買ってこようか」
藍原しずく「別にいい」
藍原しずく「貧血を予測できなかった私も悪いし」
赤城「いやお前は悪くない」
赤城「俺が吸血鬼なせいで・・・」
藍原しずく「吸血鬼はそういう生き物だって」
藍原しずく「出会った時から分かりきってるし」
藍原しずく「貧血くらいの覚悟はできてる」
赤城「・・・そうか」
赤城「要するに諦めてるってことか」
藍原しずく「都合悪く解釈しないで」
藍原しずく「吸血鬼なら吸血鬼らしくいていい」
藍原しずく「あなたはそのままで構わない」
赤城「トマトジュースが貰えなくてもか?」
藍原しずく「トマトジュースは今関係ないでしょ」
赤城「その反応だと関係あるんだな」
藍原しずく「何なの」
赤城「反応ありきで肯定されてもな」
赤城「いっそ罵られる方がマシだ」
藍原しずく「ドMなの?」
赤城「ドMじゃない!!」
藍原しずく「自称ドMじゃない人って大抵ドMなんだって」
赤城「それこそ今関係ないだろ!!」
赤城「俺はお前のそういうところ」
赤城「血の為に諦めてるんだぞ!!」
赤城「もう先行くからな!!」
  バタン
藍原しずく「・・・ひねくれ者」
藍原しずく「ほんと私みたい」

〇線路沿いの道
華城みくる「♪きゅっきゅっきゅっ」
華城みくる「♪吸血鬼〜」
華城みくる「♪血のことしか考えてない〜」
華城みくる「♪きゅっきゅっきゅっ」
華城みくる「♪救急車〜」
華城みくる「♪身バレするから呼べない〜」
華城みくる「・・・何この馬鹿みたいな歌」
華城みくる「つい口ずさんじゃうけど」
華城みくる「どこで聞いたんだったかしら」
華城みくる「あ〜確かあいつが屋上で歌ってたのよ」
華城みくる「私の初恋相手の・・・」
赤城「クソッ俺はガキか!!」
赤城「血飲んだのに後味が悪い」
赤城「早く水で洗い流したい」
赤城「全部・・・」
華城みくる「そうそう、今通り過ぎたみたいな」
華城みくる「目つきが悪い赤髪の・・・」
華城みくる「えっシュウくん!?」
華城みくる「噂をすればまさかの本人登場!!」
華城みくる「こんなところに越してきてたなんて」
華城みくる「どうりでいくら探しても見つからなかったわけね」
華城みくる「今すぐ後ろから抱きつきたいところだけど」
華城みくる「次の客沢山待ってるのよね・・・」
華城みくる「見失わないように“あれ”付けておこっと♡」
華城みくる「待っててね、シュウくん♡」
  つづく🍅

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