吸血鬼との共存を頑張ろう

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10話 喧騒の友・後編(脚本)

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〇映画館の座席
赤城「結局クソ映画だったな」
藍原しずく「本当にね」
赤城「レビューサイトに星5つけながら言うな」
藍原しずく「あ、吸血鬼あるあるのコラム記事見つけた」
赤城「くだらない、どうせデマだらけだろ」
藍原しずく「1.血が大好き」
藍原しずく「2.血のことばっかり」
赤城「何当たり前のことを」
藍原しずく「3.血に狂ってる」
藍原しずく「4.血に溺れてる」
藍原しずく「5.血の擬人化」
藍原しずく「6.血馬鹿」
赤城「そのコラム通報しといてくれ」
藍原しずく「いいねしておいた」
赤城「いいね罪で訴えるぞ」

〇映画館の座席
赤城「余計な神経使ったから腹減ったな」
赤城「なぁしずく」
藍原しずく「私は別に」
赤城「そりゃポップコーン全部食えばな」
赤城「俺が腹減ったって言ってるんだ」
赤城「なぁ」
藍原しずく「フードコート行ってこれば」
赤城「血を吸いたいって意味だ!!」
赤城「パートナーならすぐ察してくれ!!」
藍原しずく「えー映画館でも吸うの」
赤城「駄目か?」
藍原しずく「駄目でも我慢できないでしょ」
赤城「できるわけないだろ」
赤城「バレなきゃどこででも吸える」
藍原しずく「バレたらどうするの」
赤城「その時は・・・」
赤城「その時考えればいいだろ」
藍原しずく「本当に血のことしか考えてないね」
赤城「血馬鹿で悪かったな!!」
藍原しずく「そんなに血が好きなら」
藍原しずく「もしバレても構わず吸い続ければいいよ」
藍原しずく「ただの食事だって言い張って」
藍原しずく「認めない人は訴えればいい」
赤城「・・・そこまでの自信は無いな」
藍原しずく「なら公共の場所では我慢して」
赤城「はい」
藍原しずく「けど観客が全員出て行ったみたいだから」
藍原しずく「今だけ特別に吸わせてあげる」
赤城「いただきます!!」
  ガブッ
藍原しずく「わんこそば並みの瞬発力」
赤城「お前もトマトジュース飲むの速いだろ」
藍原しずく「ここまでではない」
赤城「だからちょっと謙遜するのやめろ」
赤城「まるでこっちが異常者みたいじゃないか」
藍原しずく「吸血鬼としては正常でしょ」
藍原しずく「流石血の擬人化」
赤城「黙れトマトジュースの擬人化」
赤城「・・・トマトジュースの擬人化って何だ?」
藍原しずく「さぁ」

〇開けた交差点
如月天音「せ、清香さん!」
如月天音「一体どこまで歩いて・・・」
花園清香「は〜っ最高!」
花園清香「最高すぎて攫ってきちゃった♡」
如月天音「えっ僕攫われたの!?」
花園清香「あっごめんなさいつい!!」
花園清香「誰か狙ってる子とかいたかしら!?」
如月天音「いや、あそこには特に・・・」
花園清香「なら私と一緒ね♪」
如月天音(うわ笑顔かわいッ)
花園清香「ありがとう天音くん」
花園清香「私が言いたかったことを代弁してくれて!」
如月天音「いやぁ全然、思ったことを言っただけだよ」
花園清香「とっても嬉しかったわ〜!」
花園清香「合コンの席であんなに褒めてもらったの初めて!」
如月天音「えっそうなの?」
花園清香「悲しいことにそうなの」
花園清香「合コンって理想主義者とか差別主義者とか」
花園清香「だからモテないのよって人ばかり蔓延る魔境だから・・・」
如月天音「あははっ確かに笑」
花園清香「あっ天音くんは違うわよ!?」
如月天音「いやぁどうかな、僕も結構訳ありだから」
如月天音「モテてもすぐ別れちゃうんだよね」
花園清香「えっどんな訳!?教えて!」
如月天音「まだ内緒〜」
花園清香「うぅ意地悪・・・」
如月天音(教えたいのは山々だけど)
如月天音(下手にカミングアウトすると言いふらされる危険がある)
如月天音(一旦それっぽい話題で反応を見よう)
  〜5分後〜
如月天音「じゃあLIME交換できたことだし・・・」
花園清香「そうね、今日は遅いしこの辺で・・・」
如月天音「家の近くまで送ろっか?」
如月天音「最近吸血鬼が出るみたいだからさ」
花園清香「へっ?」
如月天音(さぁどう返す?)
花園清香「吸血鬼・・・うちの生徒たちもよく話してるわ」
花園清香「噂に過ぎなかったみたいだけど・・・」
花園清香「大丈夫、もしいても」
花園清香「パンチで一撃ノックアウトよ☆」
如月天音(ノックアウトされちゃった!!)
如月天音「そ、そっかぁ」
如月天音「でも血不足で暴走してるだけで」
如月天音「悪い生き物ではないらしいんだよね」
花園清香「あらそうなの?」
花園清香「天音くん吸血鬼に詳しいのね!」
如月天音「な、なんかネットに載っててね!」
花園清香「私はネットで調べてすらいなかったわ・・・」
花園清香「何事も曖昧な情報だけで決めつけちゃ駄目よね」
花園清香「血不足が原因なら、そうねぇ」
花園清香「私の血を吸わせなきゃ!」
如月天音「えっ!?」
花園清香「そして良い子に戻った吸血鬼ちゃんと」
花園清香「お友達になってみたいわ♡」
如月天音「えええ!?」
如月天音「いいの!?本当にいいの!?」
花園清香「そ、そんなに驚くことかしら?」
如月天音「いや驚いてるんじゃない」
如月天音「喜んでるんだよ!」
如月天音「君みたいな人間に出会ったのは初めてで・・・!」
如月天音「僕も君のこと攫っていいかな!?」
花園清香「どういう意味!?」

〇映画館の座席
藍原しずく「そういえば気になってたんだけど」
藍原しずく「赤城さんって下の名前何て言うの」
赤城「え?何だ急に」
赤城「別に何でもいいだろ」
藍原しずく「よくない」
藍原しずく「こっちが名乗ってたらあなたも名乗るのがマナーだよ」
赤城「じゃあ俺が口座番号言ったらお前も言うのか?」
藍原しずく「それとこれとは話が違う」
赤城「俺にとっては同レベルの機密情報だ」
藍原しずく「ふぅん、私のこと信用してないんだ」
赤城「いやそういうわけじゃ・・・」
藍原しずく「まぁ所詮他人だしね」
藍原しずく「私にも言いたくないことはあるし」
赤城「だろ?適切な距離感というものをだな」
藍原しずく「でも赤の他人じゃないよ」
赤城「じゃあ何だって言うんだ」
藍原しずく「あなたは例えるなら」
藍原しずく「トマトに付いてるヘタって感じ」
赤城「分かりづらい喩えだな」
藍原しずく「要するに友達ってこと」
赤城「えっ?」
藍原しずく「何か文句ある?」
赤城「まだ何も言ってないが」
藍原しずく「人とこんなに話したの初めてだし」
藍原しずく「あなたとは会話が続きやすい気がするから」
藍原しずく「特別にトマトジュース配達員から」
藍原しずく「友達に昇格させてあげる」
赤城「ほう・・・じゃあ俺も」
赤城「食料から友達に昇格させてやろう」
藍原しずく「何その上から目線」
藍原しずく「下僕に降格させるよ」
赤城「それが友達に対する態度か!!」
藍原しずく「友達の定義なんてどうでもいい」
赤城「常に言動が矛盾してるんだよな」
藍原しずく「私は一貫してる方だよ」
  ぐうぅ・・・
藍原しずく「ほら、体内の仕組みも単純」
藍原しずく「血吸われたからお腹空いた」
赤城「そういうもんか?」
藍原しずく「そういうもの」
藍原しずく「次はチュロス食べたい」
赤城「また奢らせる気だろ」
藍原しずく「食べたい食べたい食べたい」
  バタバタ
赤城「駄々こねるな!!」
赤城「代わりにトマトジュースの量減らしてもいいんだな?」
藍原しずく「友達はそんな器狭くない」
赤城「友達を都合良く解釈するな!!」
藍原しずく「今週何回でも血吸わせてあげるから、お願い」
赤城「仕方ないな、この500円で買ってこい」
藍原しずく「ちょろ」
赤城「お前もな」

〇開けた交差点
如月天音「君が美味しそうだから僕のものにしたいんだ!」
花園清香「あなた変態なの!?」
花園清香「訳ありってそういうことなの!?」
如月天音「違う違う!!」
如月天音「実は僕・・・」
花園清香「実は?」
如月天音「きゅ、きゅっ・・・」
花園清香「きゅ?」
如月天音「・・・・・・」
如月天音「休憩したくて☆」
如月天音(言えなぁい!!)
如月天音(吸血鬼って言葉が出てこない!!)
如月天音(言ったら楽になれるかもしれないのに)
如月天音(今まで散々傷付いてきたせいで)
如月天音(こんなに臆病になっちゃってるんだ)
花園清香「え、休憩って・・・」
花園清香「ラブホって意味!?!?」
如月天音「だ、だから違・・・!!」
如月天音(いや、もう面倒だし)
如月天音(そういうことにしちゃおうかな)
如月天音(血を差し置いてでもこの子とヤる価値あるし)
如月天音「・・・そういう意味だったらどうします?」
花園清香「こうするまでよ!!」
如月天音「グハッ・・・!!」
如月天音(え、なんか食らい覚えのあるラリアットなんだけど)
如月天音(最近ラリアット流行ってる感じ?)
如月天音(ヤバい、頭が回らなくて場違いなことばっかり・・・)
花園清香「その気にさせる為に筋肉褒めたのね!?」
花園清香「なんて悪質な!!」
花園清香「この筋肉はあなたの為についてるわけじゃないのよ!!」
花園清香「ペラッペラのあなたなんかその辺で野垂れ死ぬがいいわ!ふんっ!」
  スタスタ
如月天音「ウ、ゥ・・・」
如月天音「ヴエェェ結局傷付いてるじゃんかああ!!」

〇ショッピングモールの一階
藍原しずく「チュロスんまんま」
赤城「もう満足だろ、そろそろ帰るぞ」
藍原しずく「まだ帰りたくなーい」
赤城「俺は早く帰りたい」
藍原しずく「そんなにつまらなかった?」
赤城「普通だ」
藍原しずく「私も普通」
赤城「・・・・・・」
藍原しずく「・・・・・・」
藍原しずく「はいあーん」
赤城「ん」
  パクッ
赤城(ハッ、しまった!?)
赤城(ぼーっとしてたらつい直接!!)
藍原しずく「どう?あったかくてザクザクで美味しいでしょ」
藍原しずく「私の血の方が美味しいと思うけど」
赤城(・・・こいつ)
赤城(何考えてるのかよく分からんが)
赤城(友達ってことにしてくれるなら)
赤城(よく分からないままでいいか)
赤城「そこそこ美味いが、確かに」
赤城「お前の血には遠く及ばないな」
藍原しずく「ふふん、でしょ」
赤城(あれ、今一瞬笑わなかったか?)
藍原しずく「・・・・・・」
赤城(・・・気のせいか)

〇ファミリーレストランの店内
  〜翌日〜
如月天音「喧嘩するほど仲が良いとか言う人」
如月天音「よほど頭がハッピーセットなんだろうね」
如月天音「君たちもどうせ上手くいってないでしょ」
如月天音「マジで契約解除する5秒前でしょ」
藍原しずく「そんなこともないよ」
藍原しずく「そもそもあれ喧嘩じゃなくて」
藍原しずく「平等な話し合いだし」
赤城「だいぶ不平等だけどな」
藍原しずく「誤差の範囲内だよ」
赤城「お前『今週何回でも吸っていい』とか言っておきながら」
赤城「俺のLIME無視してるよな」
藍原しずく「吸わせたい時に吸わせる」
赤城「吸いたい時に吸わせろ!!」
藍原しずく「絶交だね」
赤城「望むところだ」
藍原しずく「ほら見て天音さん、やっぱり上手くいってない」
如月天音「君たちが一番のハッピーセットだね」
  つづく🍅

次のエピソード:11話 何か足りない

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