吸血鬼との共存を頑張ろう

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1話 面白い生き物(脚本)

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〇住宅街の道
男「はぁ、はぁ・・・」
男(身体に力が入らない)
男(視界がぐにゃぐにゃ歪む)
男(空っぽの胃が苦しい)
男(もう吐き出す胃液もない)
男(死ぬ、死ぬ)
男(そうだ、死ねば楽に・・・)
男「・・・・・・」
男(いや、死ぬくらいならめちゃくちゃやってやろう)
男(ここをよく一人で通る)
男(銀髪のボブで切れ長の黒瞳の女)
男(ぼけっとしてだらだら歩いてるが)
男(何を考えてるんだろうな)
男「・・・どんな味がするんだろうな」

〇教室
  〜新月高校2年A組 昼休み〜
生徒「ねぇねぇ最近この辺に吸血鬼が出るんだって!」
生徒「え〜架空生物じゃなくて?」
生徒「仮にいたとしてもとっくに絶滅してるくね」
生徒「本当にいるんだって!」
生徒「ゾンビみたいに夜道徘徊してて」
生徒「目合った瞬間襲ってくるらしい」
生徒「それどこ情報?」
生徒「B組の子のTokTok」
生徒「信用ならねぇな」
生徒「令和の世はTokTokが命綱だからね」
生徒「そんなことはない」
生徒「怖くなって徹夜で調べたんだけど」
生徒「そんなくだらないことで徹夜すんな」
生徒「もし噛まれたら貧血とかPTSDになったりするらしい」
生徒「あといちばん最悪なのが・・・」
  キーンコーンカーンコーン
藍原しずく(あ、大事なところが聞こえなかった)
藍原しずく(まぁどうせ嘘だろうし気にしなくていいか)
藍原しずく(・・・とか油断してると出てくるんだよね)
藍原しずく(目に見えるものが全てじゃないし)
藍原しずく(今まで世を忍んで生きてきた吸血鬼が)
藍原しずく(ある日うっかり見つかっても有り得なくはない)
藍原しずく(遂に“これ”を使う時が来たかな)

〇住宅街の道
藍原しずく(帰りのHRで寝落ちしたせいで外が真っ暗だ)
藍原しずく(これは確実に出るな)
男「フフ・・・そこの女子高生、いかにも美味そうだな」
藍原しずく「ほらやっぱり」
男「え?」
藍原しずく「なんでもない、続けて」
男「その身に流れる瑞々しい生き血」
男「一滴残さず吸い尽くしてやる!!」
男「いっだぁぁ!!」
男「なんだ今の!?」
藍原しずく「スタンガン。見れば分かるでしょ」
男「見ても分からない、意図が・・・」
藍原しずく「一番お気に入りの武器だから持ち歩いてるの」
藍原しずく「コンパクトなのに威力抜群だし」
藍原しずく「護身とか暇潰しの鑑賞なんかで普段使いしやすいし」
男「武器を普段使いするな物騒すぎるだろ!!」
藍原しずく「物騒なあなたに言われたくない」
藍原しずく「これ以上近付いたら殺るよ」
男「だから怖いって・・・」
男「だが残念だったな」
男「吸血鬼は不老不死、誰も俺を殺すことはできない」
藍原しずく「えー無敵チートずるい」
男「フッフッフ・・・さぁ大人しく血を差し出すがいい!」
藍原しずく「オッケーベーグル、吸血鬼を殺す方法を教えて」
男「ま、待て、不安になってきた」
ベーグル「吸血鬼の弱点とされるものは十字架、ニンニク、日光です」
男「それなら大丈夫だ。現代の吸血鬼は進化しているからな」
ベーグル「水責めにする、心臓に杭を刺す、首を刎ねるなども効果的です」
男「あっ駄目かもしれない」
藍原しずく「吸血鬼弱点多すぎ」
藍原しずく「とりあえず全部試してみよっと」
男「分かった分かった吸わないから!!」
藍原しずく「都合の良い奴は信用できない」
藍原しずく「どちらにせよヴァンパイアハンターに捕まえてもらう」
男「そ、それだけはやめ・・・」
男「ヴッ」
  バタッ
藍原しずく「あれ、勝手に自滅した」
藍原しずく「騒ぐだけ騒いでおいて何だったんだろ」
男「ウゥ、俺は本当に血不足で辛いんだ・・・」
男「死にそうなんだ・・・」
藍原しずく「死なないんじゃなかったの?」
男「今のは例えだ!!」
男「あぁもう吸血鬼だからって避けられ見下され」
男「こんな人生あんまりだ・・・」
藍原しずく「人じゃないけどね。大丈夫?」
男「どう見ても大丈夫じゃないだろうが!!」
男「・・・・・・ゲホゲホッ」
藍原しずく「いちいちツッコまなきゃいいのに」
男「なぁ、ちょっとでいいから血を恵んでくれないか・・・?」
男「人助けだと思って・・・」
藍原しずく「人じゃないけどね」
藍原しずく「そうだ、そこのコンビニでチリソース売ってるよ」
男「だから血が欲しいって・・・言ってるだろ・・・」
藍原しずく(こんな蚊の鳴くようなツッコミ、もはやツッコミとは言えない)
藍原しずく「・・・仕方ないな」
  (腕引っ張る)
藍原しずく「ほら起きて」
藍原しずく「不老不死とか言っておきながら」
藍原しずく「くたばったら吸血鬼の恥だよ」
男「あぁ、ありがとう・・・」
男「・・・・・・」
男「かかったな馬鹿め!!」
  (首に噛み付く)
藍原しずく「最低だね」
男「フッ何とでも言え」
藍原しずく「ゴミクズ倫理観ゼロ害獣」
男「それは流石に言い過ぎだ」

〇住宅街の道
  〜3分後〜
藍原しずく(痛い、意識が朦朧とする)
男「あ〜生き返る」
男「見込み通り極上の美味さだった、ご馳走様」
男「そうだ、血を吸われた人間がどうなるか知ってるか?」
藍原しずく「あ、まさか・・・」
男「そのまさかだ」
男「お前も今日から醜い吸血鬼の仲間入りだ!」
男「せいぜい吸血鬼を呪うがいい!」
男「・・・なんてな」
男「ゾンビじゃあるまいしそんなのただの迷信だ」
男「安心しろ、ちゃんとただの人間のままだぞ」
藍原しずく「う、欲しい・・・」
男「おい冗談だって」
藍原しずく「あの赤く美しい液体が欲しい・・・」
男「馬鹿な、本当に吸血鬼に!?」
男「一体どう責任を取れば!?」
藍原しずく「あぁ今すぐに・・・」
藍原しずく「トマトジュースが飲みたい!」
男「え?」
藍原しずく「ねぇ血飲ませてあげたんだから」
藍原しずく「あなたもそこのコンビニでトマトジュース買ってきて」
男「ト、トマトジュースってあのトマトジュースで合ってるよな?」
男「血の比喩じゃないよな?」
藍原しずく「そうだけど」
男「え、なんで?」
藍原しずく「いいから早く」
男「ほんとになん・・・」
男「分かった買ってくるからああ!!」
藍原しずく「・・・これが吸血鬼か」
藍原しずく「面白い生き物」

〇教室
  〜翌日〜
生徒「吸血鬼の動画嘘だったらしい」
生徒「コメ欄でフェイクだって散々馬鹿にされて」
生徒「動画もすぐに消されてた」
生徒「消したってことは図星ってことだよねぇ」
生徒「あーあ、信じて損した」
生徒「ねぇそれより藍原さんの机ヤバくない?」
生徒「大量のトマトジュース積み上げられてんだけど」
生徒「もしやあいつが吸血鬼だったりしてw」
生徒「うぇ〜キモw」
藍原しずく「・・・ぷはぁっ」
藍原しずく「美味しすぎる〜」
藍原しずく「トマトジュースがないと生きていけない〜」
  つづく🍅

次のエピソード:2話 ゴキブリ以下

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