18話 リアリナの弟、リュカ登場(脚本)
〇警察署の医務室
リアリナ・シャルルド・グレイ「一つ聞きたいことがあるの」
医師「何なりと」
リアリナ・シャルルド・グレイ「あなたは、悪魔と対抗する祈祷師でもあるのよね?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「なら私に呪いがかけられているかどうか、見ることができる?」
リアリナ・シャルルド・グレイ(セミラミスが言っていた、呪いという言葉。何か、ループする秘密があるとか?)
医師「・・・ううむ」
医師「悪魔の果実を食べたものは、悪魔の気配を感じるのですが」
医師「あなたからは、そのような気配は感じません」
医師「それに、悪魔の果実を食べた者の場合、」
医師「身体のどこかに変化が見られます」
医師「それもありませんので」
リアリナ・シャルルド・グレイ「・・・そうね」
医師「そうご心配なさらずとも、よろしいかと」
リアリナ・シャルルド・グレイ「じゃあ、きっと杞憂だったのね」
〇黒
リアリナ・シャルルド・グレイ(呪いなんて・・・考えすぎよね)
リアリナ・シャルルド・グレイ(もし私に、ループする呪いがかけられているのなら・・・)
リアリナ・シャルルド・グレイ(ループから抜け出す方法がわかると思ったのに、残念だわ)
〇市場
リアリナ・シャルルド・グレイ「さあ、先に進みましょう」
リアリナ・シャルルド・グレイ「あ、また・・・」
テオフィル・ベフトン「リアリナ様!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ふう。間一髪だったわ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「あ、ありがとう。テオ」
テオフィル・ベフトン「もう少しお休みになられた方が・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ「平気よ。 ちょっと階段につまづいただけだから」
「・・・お姉様?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「この声は・・・」
リュカ・シャルルド・グレイ「リアリナ姉様!! どうしてここに?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「リュカ!」
リュカ・シャルルド・グレイ「ああ、姉様、今日も美しい!」
リュカ・シャルルド・グレイ「もしかして、僕を探しにきてくださったんですか?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「あ、そっか。 リュカは湯治に来ていたんだったわね」
リアリナ・シャルルド・グレイ「体の具合はどう?」
リュカ・シャルルド・グレイ「ええ、だいぶ落ち着きました」
リュカ・シャルルド・グレイ「回復したところをお見せしたいので」
リュカ・シャルルド・グレイ「あの辺りの山一つぐらいは、吹き飛ばして見せましょうか!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「いや、それは大丈夫よ」
リュカ・シャルルド・グレイ「そうですか? 5分ですみますが」
リアリナ・シャルルド・グレイ「遠慮するわ」
リアリナ・シャルルド・グレイ(5分で吹き飛ばされるために3日徹夜した絵師さんの気持ちを考えたら、胸が痛むから)
リュカ・シャルルド・グレイ「確かに、絵師を敵に回すのは良くないですね! やめときます!」
リュカ・シャルルド・グレイ「姉様は買い物・・・ですか?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ええ。プレゼントを買いに・・・」
リュカ・シャルルド・グレイ「ああ、そういえば、明日はテオの誕生日でしたね」
リアリナ・シャルルド・グレイ「あ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ(忘れてたぁー! だからテオったら反応してたのね!)
リュカ・シャルルド・グレイ「丁度、テオのプレゼント用にと買ったので、よろしければ、そちらを姉様にお譲りしましょう」
リアリナ・シャルルド・グレイ「いいの? 悪いわね!」
リュカ・シャルルド・グレイ「姉様のお力になれるなら!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「この中身はなんなの?」
リュカ・シャルルド・グレイ「飲むとカエル声になる飲み薬と、口臭がドブみたいな匂いになる錠剤です!」
リアリナ・シャルルド・グレイ(あ。やっぱ自分で探すわ)
リュカ・シャルルド・グレイ「やだな、姉様、冗談ですよ?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「もう元気なら、明日には戻って来れる?」
リュカ・シャルルド・グレイ「姉様! 僕がいなくて寂しいのですね! わかります!」
リュカ・シャルルド・グレイ「イケメンの摂取は、テオだけでは足りませんものね!」
リアリナ・シャルルド・グレイ(無邪気! テオを敵に回すつもりなの?)
リュカ・シャルルド・グレイ「でも、僕のこと推したくなりません?」
リアリナ・シャルルド・グレイ(絵師を抱き込んだわね)
リアリナ・シャルルド・グレイ(まあ、魔法に長けたリュカがいたら今の問題も全部解決しちゃうかもね)
リュカ・シャルルド・グレイ「僕も早く帰りたいのですが」
リュカ・シャルルド・グレイ「帰宅するには医師の許可を得なくてはならなくて・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ「そうなのね。残念だわ」
リュカ・シャルルド・グレイ「ああっ! そんな!」
リュカ・シャルルド・グレイ「切ない顔をする姉様も眩しい!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ(リュカ推しに変わった女子が、引いていく音が聞こえるわ)
リュカ・シャルルド・グレイ「問題ありません! そんな僕ごと愛してくださるので」
リアリナ・シャルルド・グレイ「そろそろ行くわ。 今日は行くところが沢山あるの」
リュカ・シャルルド・グレイ「今夜は、屋敷に戻られますか」
リアリナ・シャルルド・グレイ「その予定よ!」
リュカ・シャルルド・グレイ「そうですか。プレゼントも喜ばれるといいですね」
リアリナ・シャルルド・グレイ「そうね。じゃあ、そろそろ行くわ」
リュカ・シャルルド・グレイ「はい。姉様。 気をつけていってらっしゃいませ」
テオフィル・ベフトン「リュカ様、失礼致します」
リアリナ・シャルルド・グレイ「さてと、もう一件回ってもいいかしら?」
テオフィル・ベフトン「まだ、見られるのですか?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ええ。まだ欲しいものがあるの」
リュカ・シャルルド・グレイ「・・・」
〇綺麗な港町
リアリナ・シャルルド・グレイ「よし! 準備はできた! あとは公爵様を連れ出すのみね!」
〇原っぱ
スタンスラス・ブラン・エレオノール「・・・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ「殿下、ずっと気になっていたのですが」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「・・・なんだ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「何かおっしゃりたいことが?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ「娼館のことを気になさっているのでは?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「いいや?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「私、淫魔に会いに行きましたの」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「な、なんだと!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「な、なぜなのだ? なぜ淫魔などに?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「まさか、二人はそういう・・・!!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「んなわけありません!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「私は公爵家への手土産を用意するために会っただけです」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「そんなことのために危険を冒して娼館へ?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ギルバトル様は、殿下のご友人ですから。喜ばれるものを進呈しなければと思いまして」
リアリナ・シャルルド・グレイ「贈り物を買いに伺いましたの」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「そうだったのか」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「それを聞いて安心した」
リアリナ・シャルルド・グレイ(安心?)
リアリナ・シャルルド・グレイ(自分は聖女様といちゃついているくせに)
リアリナ・シャルルド・グレイ(モヤるんだけど)
〇宮殿の門
〇貴族の応接間
ギルバトル・フォルダンテ「ようこそ! 我がフォルダンテ家へ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「お目通りいたします。フォルダンテ閣下。 リアリナ・シャルルド・グレイと申します」
ギルバトル・フォルダンテ「こちらが噂のリアリナ嬢か」
ギルバトル・フォルダンテ「これは、これは、噂通りの美しさだな」
リアリナ・シャルルド・グレイ「お褒めいただきありがとうございます。閣下」
リアリナ・シャルルド・グレイ「本日は閣下にささやかな贈り物をご用意いたしました」
ギルバトル・フォルダンテ「ほお? なんである?」
ギルバトル・フォルダンテ「こ、これは!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「通称、”月の涙” またの名を”淫魔の媚薬”でございます」
ギルバトル・フォルダンテ「・・・ふはっ! まさか手土産に月の涙とは」
ギルバトル・フォルダンテ「淫魔は気まぐれゆえ、なかなか手に入らない貴重な品」
ギルバトル・フォルダンテ「一体、淫魔に何を差し出したのだ?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「さあ、なんでございましょう?」
ギルバトル・フォルダンテ「っふ!!」
ギルバトル・フォルダンテ「リアリナ嬢は美しいだけでなく、なかなかの策士であるな」
リアリナ・シャルルド・グレイ「光栄な響きでございます。閣下」
ギルバトル・フォルダンテ「つまり、これを持ってきたということは」
ギルバトル・フォルダンテ「当然、我が邸に泊まるのであろう?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「んんん? はい?」
ギルバトル・フォルダンテ「今宵は最高の晩になるな。なあスタン?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「んんっ!」
リアリナ・シャルルド・グレイ(ど、どういうことなの?)
スタンスラス・ブラン・エレオノール「リアリナ、ギルに渡したのは、本当に“月の涙”なのか?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「え、ええ。そのはずだけど・・・」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「月の涙を贈る意味をわかっていて渡したのか」
リアリナ・シャルルド・グレイ「贈る意味?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「月の涙は寝室に男を誘う時に使う隠語のようなものだ」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「つまりギルは、リアリナがギルの夜伽の相手をすると誘ったと捉えている」
- このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です! - 会員登録する(無料)